9月定例議会 「ネット配信」
学童保育・学区改編合併後の新たな視点を語る
5番、石黒覚でございます。
お疲れもピークのところとは存じますが、通告致しております点につきまして一般質問申し上げたいと存じます。16番目の質問と言うことで前者の質問と多くの点において、重複する点については何卒ご容赦頂きたく存じます。
今9月定例議会の議案審議あるいは一般質問におきましても、多くの議員から子供達の健全育成に関わる様々な視点での、ご議論が交わされて参りました。そして、それらの議論が尽くされることがないほど、現代社会が抱える病んだ状況は深刻なのだと改めて考えるところであります。あるいは急速すぎる社会変化に政治や行政の対応はもちろん、家族のあり方すら明快に見出せないジレンマの中で、社会自体が無秩序に一人歩きする奇妙な現象が起こり、情報化の進展が増殖剤となって、極めて危険な状態になってしまっているのではないかと思えてなりません。また、社会制度そのものがまさに極度の制度疲労状態、政治や行政の対応が後手後手、社会秩序を形成する大人がモラルを見失いかけて混迷、さらに追い討ちをかける格差社会の拡大、などなど良くないことを考え始めるとキリがない今の子供達を取り巻く環境なのではないでしょうか。しかしながら、現状をなげくのではなく、少なくともこの地域に生きる私達には次の世代に夢の持てるしっかりとした酒田を引き継ぐ責任があることを自覚し、知恵を振り絞り前向きな議論を続けなければならないと考えるところであります。
そうした立場から「子育て環境日本一の酒田を目指して」いくつかの現状課題について質問を申し上げたいと存じます。まず一点目と致しまして、急速にその役割が大きく求められてきた、学童保育に関してお尋ね致します。
学童保育は、我が子が健やかに育って欲しい、親である自分も安心して働き続けたいという人間としてごく当たり前の願いから生まれ、共働き・母子家庭・父子家庭の小学生の放課後、あるいは長期学校休業においては1日の時間帯にける生活を継続的に保障し、そのことを通して親の働く権利と家族の生活を守るという役割を担うものであり、その始まりは、戦後間もない大阪や東京など大都市部からとされ、社会構造の急速な変化の中で、その必要性が大きく拡大されてきたものと認識するところであります。
そうした経過の中で、1967年に結成された全国学童保育連絡協議会が1999年11月に発行した「テキスト指導員の仕事」によれば、日本国憲法第25条(国民の生存権)同じく第27条(国民の労働権)、児童福祉法第1条及び第2条の児童育成の理念と国と地方自治体の責任などに基づいた根拠を示しながら、協議会発足後、一貫して国及び地方自治体に学童保育の制度の確立を要望し続けた結果、1996年に国が学童保育の法制化の本格的検討を始め、1998年4月1日より「放課後児童健全育成事業」という名称で「児童福祉法」と「社会福祉事業法」に位置づけられた事業となったものであると記されています。全国学童保育連絡協議会の32年間にわたる地道な運動によって、わずか8年前に法制化されたばかりということになります。ちなみに2000年5月現在において全国1773市町村10,994箇所、登録児童数392,893人だったものが、昨年2005年5月現在、市町村数は平成の大合併によって比較できない数字となってしまっていると思いますが、1980市町村15,184箇所、登録児童数654,823人という飛躍的な増加を示し、その役割の重大さと必要性は極めて明確なものであります。
ところが、法制化はされたとはいいながら先ほど述べさせて頂いた関係法令に学童保育の位置づけをし、具体的には放課後児童健全育成事業の実施要綱という形で当時厚生省児童家庭局長通知として、
1、 趣旨
2、 実施主体
3、 対象児童
4、 運営 という4項目、A4サイズ1枚程度
同じく、放課後児童健全育成事業の実施についてという当時厚生省児童家庭局育成環境課長通知として、
1、 事業の実施について
2、 対象児童について
3、 事業の実施方法等について
4、 活動内容について
5、 費用について という5項目、こちらもA4サイズ1枚程度
の指針であり、曖昧で脆弱な内容であるといわざるを得ないものだと、私は受け止めています。
さて、そうした背景を踏まえながら、一つは本市における学童保育の現状と課題についてお尋ねを致します。
これまで酒田市が展開してきた学童保育事業、特に施設整備などへの取り組みについては高く評価を致すものであります。しかしながら、前段で述べさせて頂いたとおり法制化されているとは言え、国の示す学童保育の運営指針そのものが、極めて曖昧で脆弱な内容のもとでは、特にソフト面における本市の運営も同様の状態であることもまた事実ではないかと認識せざるを得ないものであります。頂いた資料によれば、現在4団体が12クラブ、603名程度の登録児童数、平成18年度当初予算による本市負担運営経費総額63,194千円、運営形態2制度となっているわけであります。
平成17年3月策定の酒田市子育て支援行動計画、施策の方向性3子どもと保護者の居場所づくりの推進の重点課題1学童保育の充実に示されているように、学童保育は民設民営型から公設民営型に移行した経過があり、多くの方々の地道な運動によって法制化され、国や地方自治体の役割が後で負荷された点において、行政対応が市民ニーズを追いかける状態、あるいは民間主導で発達した歴史的背景のもと消極的対応になってはいないか、さらには適切な表現とは言い難いかも知れませんが、お金は出しているが細かいことは任せる、発生するアクシデントにはケースバイケースで対応などが現状ではないかと心配するところであります。学童保育における子供達の安全確保、保護者達の求めているものに対して全市的に応えていくためには何が課題であるかについて率直な認識をお聞かせ頂きたいと存じます。具体的には学童保育が現在ない地域への対応をどのように考えておられるのか、また、そうした地域において学童保育を必要とする家庭の把握などはどのようになっているのかお伺い致します。
二つ目は、学童保育の可能性と運営形態に対する本市の姿勢と言う視点で、現状の「酒田市放課後児童健全育成事業委託要綱」並びに「酒田市放課後児童健全育成事業委託契約」に示されている委託業務内容を見てみると
(1)児童の健康管理、安全確保、情緒の安定
(2)遊びと生活の活動への意欲と態度の形成
(3)遊びと生活を通しての自主性、社会性、創造性を培う
(4)遊びと生活の活動状況の把握と家庭への連絡
(5)家庭や地域での遊びと生活の環境づくりへの支援
(6)その他児童の健全育成上必要な活動
とあるように、学童保育を利用する子どもの心の成長にとっては、まさに重要かつ重大な任務を担っているものだと認識するところであります。その任務の持つ大きな可能性は、計り知れないものがあると同時にそれを担う責任の重さもまた計り知れないものであると言わざるを得ません。そこで、子供達の指導あるいは安全について、行政と委託先それぞれが持つべき責任、保護者のかかわりはどうなっているのかについてお尋ねを致します。また、委託要綱に示されている事業計画書を含む添付書類についてどこまで把握し、事前協議などにより事故、事件などあってはならないことへの対応をされているのかお伺い致します。
三つ目は、これまで申し上げた点を踏まえ、学童保育の必要性は、ますます増大する社会情勢の下、行政の役割、運営形態、指導員の水準確保、指導員の安定した職業としての位置づけなどなど、運営の基本方針策定の必要性をどのように認識されているか。子供達の目線で考えるならば、学童保育において日常的に与えられる自立して生きていくための経験の全てが、一つの見方として本来、家庭という中で培われることが最も自然で好ましいと考える時、そこで出会う多くの大人達がより高い意識を備えた人たちでなければならないと考えるのであります。もちろん現状においての指導員の方々がまさにそうした高い意識を持った皆様であることは言うまでもありません。それを維持発展させるためには私自身は具体的に、条例制定あるいはガイドライン策定などが急務と認識致すところでありますがこの点についてのご所見をお伺い致します。
四つ目は、私の大きな思いであります、子育て日本一宣言都市をめざす先進的取組みの構築という視点で、放課後児童健全育成も含めた子育て支援に関する本市の姿勢についてお伺い致します。これまで述べさせて頂いた学童保育においては、放課後あるいは長期学校休業に対する支援であり、学校教育と家庭教育そして地域教育の密接な関わりの中で論じられるものであろうと考えるところでありますし、子どもたちの成長という一連の子育て支援として捉えなければならないことはいうまでもありません。そして、事業発達の経過の中であくまでも児童福祉としての視点のみで処理されることなく、子供たちが成長する全段階において一貫した方針の下に受けられる支援として強化拡大されなければならないと考えるのであります。そのためには子育て支援に関わる担当行政が全て参加し、横軸のネットワーク強化によって、一つの方針を示さなければならないと確信致すものであります。平成15年の次世代育成支援対策推進法成立に伴い、策定された「酒田市子育て支援行動計画」について合併後の総合計画策定に合わせ見直しを早め、子育てに関する本市の姿勢をより具体的に示すことで子育て日本一の酒田を目指すべきと考えるところでありますが、ご所見をお伺い致します。
次に大きな2点目と致しまして、学区改編についてお伺い致します。
まず一つ目は、旧市における学区改編審議会の答申に基づく学区改編に関する教育委員会及び関係地域を含めた議論の現状についてお尋ねを致します。
例えば、中学校における学区改編については、6中と鳥海中、2中と平田中、1中と5中という審議会答申に基づいて進められている点については、これまでの説明の中で承知しているところでありますが、まずはこれまでの協議の進展状況についてお知らせ頂きたいと存じます。
二つ目は、合併後新たに生じた学区改編に対する課題と言う視点で、いくつかの点についてお尋ね致します。
旧酒田市の学区改編審議会の答申で進める現在の学区改編作業に対して、1市3町合併がもたらした課題はないのか、教育委員会の率直な認識をお聞かせ頂きたいと存じます。例えば、南遊佐小学校については1市4町による合併協議が進む中で、遊佐町立西遊佐小学校との統合も内部議論として存在したやにお聞きいたしておりますが、現状では不可能な議論となってしまったわけであります。しかし、先日頂きました「教育人口推計資料」によりますと、旧市においても複式学級の小学校が発生する可能性が示されています。酒田市の基本方針では複式学級の学校は作らないとなっているわけでありますが、方針通りとするとどのような課題を抱えておられるのかお伺い致します。
また、旧3町においてはすでに学区改編議論を進めている、前者の質問にもあった八幡地域以外でも、平田地域、松山地域においても複式学級が存在している点について、どのような考え方なのか、どの時期に取組んでいかれるのか議論が進んでいるとすればその内容についてもお聞かせ頂きたいと存じます。
あるいは一つ目でお尋ねした中学校学区改編において、鳥海中学校区の関係者のお話によりますと、様々な考え方の中から、合併した八幡地域の八幡中学校との統合はありえないのかとの意見を持っている方から直接尋ねられたことがございます。やはりこの点も合併後新たに発生した課題であろうと考えるところですがいかがでしょうか。また、旧3町中学校においては現在すでに、酒田市が中学校の適正規模とする270人程度以上を大きく割り込んでいることも資料が示すところであります。
さらには、平田地域の飛鳥中学校に関して申し上げるならば、旧町議会で何度も質問した子供達の安心・安全の確保のため早急に耐震診断すべきとの主張に対して、昭和48年建設された学校と言うことで、平成16年3月議会の答弁に平成21年以降の20年代半ばでの全面改築を前提に、当面耐震診断・補強等の投資は控えるとの当時の答弁があったことから、当地域に適正規模の中学校を存続させるためには、その時期に適正規模270名から100名以上も下回と予想される中で、単独改築が現実的なのかどうか、現時点においても議論が急務な課題と言わざるを得ないと考えるものであります。確かに合併協議の中では、急激な変化に配慮することから、中学校区を含む学区改編は当面旧町単位を越えないとの方向は示されているものの、子供達の良好な教育環境確保で捉えるならば、5年先、10年先を見通した新たな議論が必要ではないのでしょうか。この点についての御所見もお伺い致します。
三つ目は、こうした現状や課題を率直に見据えた中で、教育環境整備基本計画の必要性についてお伺い致します。学区改編を進めるに当たっては投資額の大小はあるものの、増改築などが必要となることは間違いないことだと思います。合併を究極の行財政改革と位置づけるならば、出来る限り最小限の投資で最大の効果を上げる方策を追求すべきと考えます。このことを学区改編に当てはめて考える時、子供達にとって最もよい方法を考えることは基本であるわけですが、既存学区同士の改編がむしろ規模や投資に大きな較差を生むことが懸念されるのではないでしょうか。そうした認識に立つならば、合併を契機に新たな視点で見直す必要があるのではないかと考えるところでありますが、ご所見をお伺い致します
四つ目はそうした点を踏まえた学校施設改築・増築などハード面としての教育環境整備計画を新たに構築すべきと考えます。旧市の答申を現状のまま推し進めることが、旧町に中学校を存続させるとする配慮にむしろ歯止めをかけるのではないかと心配すると同時に、子供達の教育環境が今より良くなることをめざすには、新市全体での学区改編議論が急務ではないのでしょうか。ご所見をお伺い致します。
次に大きな3点目は、子育て日本一の街酒田づくりという視点から酒田駅前再開発の方向についてお尋ねを致します。
まず一つは、駅前再開発に本市は何を求めてきたかと言う点について考えてみると、鉄道やバスが交通の主体だった20世紀の駅前は、誰が疑うこともなく、賑わい形成を商業活動に担わせることで駅前という顔を作ってきたことは周知の通りであります。まさに日本有数の巨大スーパーが全国何処の駅を降りても最初に目に入る光景が日本の駅前だったのではないでしょうか。しかし残念ながら、我が地域では車社会の急速な進展によって、多くの地方都市がそうであるように国道バイパスにその役割が移っていく時代の中で、駅前の賑わいが衰退していかざるを得ない状況となってしまったわけであります。その後、民間活力に委ねられた再開発は、下層階を以前より小規模の商業施設、上層階を住宅施設とする多少発想転換はしたものの、バブル崩壊後の低迷した地域経済の中では成就し得ないまま現状に至ったことや、さらに社会情勢が大きく変化する中では、中途半端な発想の転換では現状打開は極めて厳しいものと言わざるを得ません。
そこで、通告申し上げた二つ目は21世紀の酒田駅前活性化の方向と可能性という視点で、一つの可能性として教育施設整備区域に位置づける発想の転換を申し述べる予定でありましたが、昨日荒生議員が同様の質問をされ、見事な答弁に納得なされたことを踏まえると、多少角度を変えた発想にしなければならないと考え、一晩中頭をひねって見たのですが、中々いいアイディアは浮かんでこないのが正直なところであります。
それでも例えばということで、既存の多くの施設に分散する生涯学習の拠点機能をメインに、新高校の音楽、美術など文化面の学習機能をサテライト的に配置したり、子どもからお年寄りまで将棋や囲碁など多彩な趣味のために集える機能、あるいは子ども図書館、絵画、書、写真、生花、アートなど市民作品自由展示ギャラリー、若者たちが自由に演奏できるストリートステージ、NPO、ボランティア団体の活動スペース、バザー、さらには観光客をよべるラーメン横丁、日本海の食菜横丁、土産物屋などなど、酒田の名物であった現代版柳小路の再現的空間を官民共同で再開発するなどは考えられないものでしょうか。子育て支援・児童生徒の健全育成という大きな目的を持たせながらであります。まずは、既成概念を取り払い市民参加で知恵の出し合えるシステムを作って見るのも大きな一歩ではないかと考えるのですが、ご所見をお伺い申し上げまして1問目と致します。
2問目 答弁を聞いて、
(1)学童保育に関する基本方針策定及び条例策定を目指す方向にあるか確認
(2)酒田市子育て支援行動計画見直しをして、本市の子育てに対する姿勢をよ り明確にする方向にあるか。
(3)合併後の市民要求、課題を踏まえ学区改編の考え方を旧市の枠から新市全 体を見据えたものに変える方向にあるか。同様に教育環境とりわけ施設整 備計画基本計画を策定する方向にあるか
(4)我が会派代表質問に対しての答弁で、債務処理が完了すれば土地買い上げ の検討もあり得るとの考えと合せて、駅前ジャスコ跡地の再開発に求める 賑わい創出の具体的手法を、既成概念にとらわれない大きな発想転換を図 るために、市民参加によるプロジェクト立ち上げなど具体的に模索する方 向にあるか。
最後に、「貢献する気持ち」という著書の作者、1993年財団法人日本交通文化協会理事長などを歴任された「滝久雄さん」という方は、人間の新しい本能「貢献心」を哲学的に検証した、かなり難解な本のなかで、貢献心を本能として、自分を他者のために役立てたいと志す自然な気持ちを「自然から授けられたもの」とし、これまで多くの哲学者が明確にしえなかった新しい本能「貢献する気持ち」を定義づけたものであります。
子育て支援という社会秩序は、本来、こうした人間の持つ本能的な貢献心から発するもののような気がしております。つまりは、子育てを終わった誰しもが次の世代の子育てに貢献したいと考えることは、永遠に繰り返される人間の本能だと考えるならば、これから確立されていく子育て支援においては、市民の方々の担う役割を明確にすることが大切だと考えます。また、こうした行政の取り組みは、地方分権の基本として捉え、歴史的背景や慣習などに根ざした独自性を持ったものであってしかるべきであると思います。酒田市独自の独創的子育て支援計画が早急に策定されることを希望して終わります。
【答弁含み48分42秒】
