3月定例議会 「ネット配信」
50年後の酒田を見据え人口減少に対する姿勢質す
皆様大変お疲れのところとは存じますが、私くしからも通告に従いまして一般質問を申し上げたいと存じます。3月という季節、子供達にとりましては、卒業や進級、そして受験、あるいは進学や就職と、まさに目まぐるしく生活が変化する季節であります。別れがあり、そして新たな出会いがある、春の芽吹きのように大きく成長していくための船出の季節であります。18歳でふるさと酒田を離れて行く子供たちが、いずれかの時代にどのくらいの数戻ってきてくれるのでしょうか。不安と期待の両方が大きく広がるのは私だけではないと思います。
さて、そうした3月という人口移動の激しい季節の中で、去る3月1日付けの山形新聞の1面記事を読んだ日から、私の不安な気持ちがどんどん大きくなってしまっています。皆様もご承知のとおり、「5集落10年以内消滅も」と言うショッキングな大見出しで、サブタイトルは、「県が過疎地域調査、57集落が限界」といものでありました。
また、恐らくそれらの状況を受けて山形県総務部改革推進室企画課が所管する、地域コミュニティ研究会が開催されたようであります。その時の資料を拝見して、不安は一気に何倍にも膨れ上がってしまいました。
まず、新聞記事によりますと県内過疎地域1205集落の内、10年以内に消滅の可能性があるのが見出しのとおり「5集落」あると言うこと。65歳以上の高齢人口が集落人口の50%を超える「限界集落」が57集落になるとの調査結果を県議会一般質問に対する山形県総務部長答弁で明らかにされたと言うものでありました。そして、3月2日付けで県議会議員各位に送付された先ほど申し上げました「地域コミュニティ研究会の開催について(報告)」と言う5枚綴りの資料によりますと、山形県の人口は、2005年1,216,181人が、50年後の2055年には正に半分の631,618人まで減少するとした推計であります。
同資料の市町村別人口推計値を見ますと、私達の住む酒田市の人口は、同じく2005年117,577人が、50年後の2055年には、何と49,000人まで減少する推計となっているのであります。推計に用いた数値は、平成12年人口と平成17年人口の5年間における変化率が、将来も一定であると仮定したものであることから、市町村によっては極端な推計結果になっている場合もあるとしながらも、日本全体が人口減少社会なのだから仕方がないと、知恵をしぼった政策を打たなければ、50年先ではなく、40年先に早まってしまうと認識しなければならない、極めて厳しい現実であろうと、わたくしは捉えるものであります。
また、蛇足を申し上げるならば、本日当議場にいらっしゃる私を含めたほぼ99%の皆様が、実は50年後に元気でおられるとは思えないわけでありまして、来年の話をすると鬼が笑うと言われる中で、50年先の話しをすること自体、現実離れした話しであるかのように捉えられがちですが、実は全くそうではないと、私は認識するところであります。
例えば、先の12月議会において佐藤猛議員が類似の質問の中で明らかにされた、合併後1年間で酒田市の人口が、1320人減少した状況があります。今年2月27日に配布されました山形県統計協会発行の山形県の人口と世帯数と言う冊子によりますと、酒田市の人口は、平成17年10月1日現在と、平成18年10月1日現在の人口比較で、1274人減少したとあります。また、その時の佐藤議員の質問に対する阿部市長の答弁によりますと、「合併によって、旧3町の人口減がすなわち酒田市の人口減として数字に表れる。今までは旧3町の人口減の一部を酒田市が受入れていた」と応えられていますが、果たしてそうなのでしょうか。例えば、私の出身地平田地域の人口動態データによりますと、データベースとして一ヶ月ずれてはいますが、平成17年11月1日から平成18年11月1日までで26人の減少となっています。仮にこの減少率を平成17年10月1日現在の酒田市の人口、117,577人にかけると、427人減少に止まっていることになります。市長の言うように合併後、旧3町から旧酒田市に人口流入したことも考慮に入れたとしても、1,274人もの減少となるのでしょうか。データの正確な分析の大切さを痛感しながら、この驚くべき一年間で1274人人口減と言う数字が、仮に10年間続くとすると、今から10年後には、平田地域と松山地域の人口すべてが消えてしまうことになるわけです。
今年生まれてくる子供達が、50年後には、現在の私と同じ50歳になるわけです。その時代の酒田市がどのようになっているのか、そのことに対する責任は、まさに現在の責任世代である私達、とりわけ酒田市の行く末を方向付ける職にある、市長を中心とする行政と私達議会にあるものと考えるところでございます。
私自身、ただ今述べさせて頂いた人口推計値を、極めて画期的な政策を以ってしても、止めることが出来るとは思っておりません。しかしながら、このことを最重要課題と位置づける中で、徹底した少子化対策や住みたくなる酒田づくりの政策によって、出来る限りのスピードダウンを図ることは不可能ではないと考えるものであります。そして、この点については、やはり12月議会において、市長の答弁でも一致した見解が述べられています。ということは、いかに具体的な施策に打って出るかにかかっていると言っても過言ではないと思っております。
その第1歩が、現在進められている「総合計画樹立」ではないかと認識するものであります。
さてそこで、まず一点目は、人口減少の現状と「限界集落」の状況についてお尋ね致します。但し「限界集落」は、1991年に高知大学教授であった大野晃先生が提唱した、過疎化などで人口の50%以上が65歳以上の高齢者になり、冠婚葬祭などの社会的共同生活の維持が困難になった集落とする概念によるものであります。
この点について、平田地域の現状を調べて見ました。旧町時代から平田地域には39集落(区長がいる地区の数)があります。平成18年4月30日現在のデータですが、この集落は7世帯15人の小さな集落で、65歳以上の高齢者率が53.3%ですでに「限界集落」になっているようです。また、50世帯131人、37世帯123人という比較的大きな集落でも、すでに42%を超える数字を示す予備的集落がいくつか存在するのも事実です。
合併後の新酒田市の現状について率直にお聞かせいただければ幸いです。
二点目は、限界集落が更に進み集落消滅の危機に対する認識についてお伺い致します。集落が消滅するという現実を経験していない私には、絶対なくしてはいけないと言う単純な奇麗事の言葉になってしまいがちですが、豊富な行政経験と緻密なデータベースに基づく社会構造の変化を知る当局の率直なご所見をお聞かせ頂きたいと存じます。
三点目は、過疎地域の現状を直視しながら、これまで大きな努力を積み重ねてこられ、この4月1日から実施に移る、「集落営農」を初めとする新農業政策による大改革が、限界集落を抱える中山間地域や離島の状況に更に拍車をかけるようなことにならないのか、どのような影響が考えられるのかについて、率直な現状認識をお伺い致します。
四点目は、そうした地域の過疎化に拍車をかける一つの状況として、日常生活維持のための購買機能の低下や交通基盤の弱体化があると考えています。その点につきましての現状認識と課題についてお伺い致します。
例え話がどうしても出身地平田地域になってしまって誠に恐縮ですが、お許しを頂いて申し上げますと、平田地域の中山間地の入口であります、仁助新田地区に農協支所があります。農協合併前は数十人の職員がおり、Aコープ、ガソリンスタンドなど当地域の日常生活維持のための購買機能は、他の地域に劣ることがない状況が存在していました。現状は、Aコープは辛うじて存続していますが、支所職員はほんの数人になり、この先Aコープの存続すら危ぶまれるところと認識しています。高齢化が進み、自家用車で10数キロ買物に出かけることすら制約されつつある地域、こうした現実に政治や行政はどう対応すべきなのかが問われている気がしてなりません。集落はどんなことがあっても残すべきか、淘汰されることもやむを得ないとするのか、ご所見をお伺い申し上げます。
5点目は、まさに人口減少の歯止め策のキーワードと言っても過言ではない、子育て支援や小中学校区再編に対する施策のあり方についてであります。私自身、この点については、これまでも何度かお尋ねしてきたことでありますが、人口問題の視点から、改めてお尋ねしたいと存じます。
まず子育て支援について申し上げるならば、日本中何処の市町村でも取組んでいるレベルでは、酒田市の人口減少の歯止め策として機能しないであろうと言う、厳しい考え方をしております。
例えば、人口規模があまりにも違いすぎると受け付けて頂けないかも知れませんが、合併しない村として有名になった長野県下條村では、昭和45年人口4057人だったものが、平成2年3859人まで減少、しかしその後、格安な村営住宅建設や中学生まで医療費無料化、福祉センターでの徹底した子育て世代の健康管理・指導など等の施策を打ち出し、平成17年には4211人まで人口を増加させた実績があります。そしてこれらの施策を生み出す財政は国などに頼るだけではなく、職員数51人から35人に減らす、公共事業の削減、そのために必要最小限の社会資本維持管理については、村は資材提供をし、住民が自らボランティアで舗装補修などを行う地域コミュニティで支える地域づくりを構築した点において、画期的なものであると思うのであります。
また人口6千人強の福島県矢祭町では、子育て支援政策の一環で、これまでの幼稚園の給食費保護者負担減額を、新年度から小中学校にも拡大する議案をこの3月議会に提案されたと伝えられています。一食当たりの給食費、小学校249円を150円に、中学校290円を200円の保護者負担に軽減する、そしてこの政策によって必要となる財源11,000,000円は職員の人件費削減などで補うのだそうです。
酒田市も同じことをすべきと言うのではありません。私達は私達なりに発想の転換をして、知恵の結集による政策を作り上げることが大切だと思うのであります。しかしながら、このくらい大胆な政策を展開する勇気と実行力がなければ、50年後の人口推計を覆す力にはならないと言うことではないかと考えるのですが、総合計画樹立に向けて、現実にこうした具体策を議論する覚悟がおありかどうかお伺いしておきたいと思います。
また、12月議会でも申し上げた学区改編のあり方についても同様だと認識します。ここでは具体的な話を申し上げるつもりはございませんが、基本的な姿勢として、東京23区よりも広い酒田市エリアを守り続けて行くとするならば、大きい学校をより大きく残していこうとする従来型の考え方から脱却しない限り、50年後ならぬ、10年後、15年後に消えていかざるを得ない状況に拍車をかけることになると心配するものであります。
そうしないためには、酒田市としての徹底したデータ収集、分析による政策の立案が不可欠だと考えるところであります。
六点目は、人口減少時代における、自主自立を基本にした地域コミュニティ形成の方向についてであります。旧酒田市の指針に示されている地域コミュニティの方向については、異論を唱えるものではありません。しかしながら、限界集落等を抱える地域と、市街地域とでは、おのずとそのあり方が同一にはならない必然性があると思うのであります。そうした地域においての地域コミュニティ形成のあり方はどのような方向なのか、特に平田地域のように他地域とは異なる公民館体制が定着してきたところでは、小学校区単位のくくりでの成立は困難ではないのでしょうか。
昨年末に平田地域協議会と懇談する機会がありましたが、その折にある地区の区長さんから、議員として平田地域のコミュニティ振興組織のあり方についてどう考えるかとの質問を受けたことがあります。1議員がこうあるべきだと発言するのには、かなりの無理があったことは事実ですが、あくまでも個人的な見解ということで申し上げたのは、現在の十分館制度の維持が困難だとするならば、むしろ現在の中央公民館を中心に刻まれてきた歴史と実績を大切にする意味で、平田地域一つのコミュニティ振興組織もあり得ることではないかと発言させて頂いた経緯があります。2,100世帯7000人のコミュニティ振興組織は、酒田市の中で考えられる形態なのでしょうか。まさに地域のことは地域で決定していくとするコミュニティ振興組織本来のあり方が問われるところなのかもしれませんが、人口減少社会の中で、一定の方向を示す必要はないのでしょうか。他地域も含め話合いの現状を踏まえどのように考えておられるのかについてお伺い致します。
さて、50年後の酒田市を見据え、少子高齢化・人口減少のスピードダウンを徹底して実現するために、発想の転換、知恵の結集による政策立案、具現化の第一歩となる総合計画樹立の方向について、六つの視点からお伺いをさせて頂きました。
私からとやかく言うまでもなく、先日開催の総合計画勉強会において、ご説明頂いた計画案にまさに示されていることばかりなのかも知れません。しかしながら、どんなに立派な計画であっても、人口増加社会の中で形づくられた手法の踏襲だとするならば、大きな期待を持てるものとは言いがたいところではないかと認識するものであります。急激な人口減少に加えて、財政極めて厳しい現状を全ての市民の方々にお伝えしながら、かつて小泉総理が痛みは国民にだけ押し付けたような三位一体の改革とは違う、本当の意味での行政も市民も共に痛みを分かち合いながら、50年後なお元気な酒田市を継承するためには、まず、緊急の対応として「少子高齢化・人口減少対策プロジェクト」や「チーム」を立ち上げる必要性を強く求めるところであります。その際、これまで長年縦割り行政と言われてきた体質をかなぐり捨てて、各部署横断的に太い横軸のプロジェクトを構築することが何より重要だと訴えるものであります。酒田市の全ての事業が人口減少のスピードダウンにとって大切なものであることは、いうまでもないことでありますが、実は勇気を持って事業の見直しを行い、徹底して行財政改革の立場から、何かを取りやめてまでも、酒田市にしかない子育て支援政策、離島や中山間地域限界集落対策など新たな取組みを立ち上げることが、阿部市長3期目の極めて大きく重要な取り組みと認識するものであります。
就職環境は大変だが、子育て環境が整っている酒田市に住み続けたいという若者たちになってもらう政策。あるいは、仕事を変えても子育てのために酒田市に移り住みたいと思っていただく画期的な政策を打ち出す大きなチャンスの時だと考えるのでありますが、ご所見を賜りたいと存じます。
2問目(1) 頂いたデータについてコメント
(2) 集落消滅に対する認識を再確認
(3) 新農業政策に対して庄内農業が、自然、文化、環境保全における重 要性を再確認
(4) 購買機能・交通基盤・・・・宮城県丸森町視察で学んだことをお知 らせ。300世帯の三分の二の住民から2,000円の出資金を募り、商工 会が16坪の店舗運営を展開し、頑張っている事例。
(5) ①保育環境のこと(共働き率全国トップの本県)②給食費軽減の試算
③子育て世代が何を一番必要としているかについて、把握している か。なければ早速調査すべき。
④子育て支援NPO、ボランティア団体への強力な支援
最後に、昨年各常任委員会合同で実施されました飛島地域の視察研修に参加させて頂きましたが、その時に飛島診療所の杉山先生の講話を拝聴する機会に恵まれました。静岡県出身の先生が長年高度医療の第一線でご活躍されておられましたが、第2の人生は離島やへき地医療に尽くしたいと飛島に赴任下さり、現在も島民の皆様の健康維持のために多大なるご尽力を頂いていることに、改めて心からの敬意と感謝を申し上げる次第でございます。その杉山先生のお話は、飛島の極めて珍しい生態系や歴史風土、そして島民の生活、究極的には飛島地域そのものを守れなければ、結局、酒田市、庄内地域、果ては日本自体が崩壊していくことになるのだという、限界集落の中で共に行き続ける先生の、地球環境や人類存続の基本を知り尽くした極めて的確な「警鐘」とも言えるお言葉でした。私にとっては青天の霹靂とも言えるショッキングなものありました。
政治や行政がなすべきことは、何にも先行して社会的弱者の生活を守り続ける姿勢を貫き通すことであることをお訴え申し上げ、質問を終わります。
