平成22年12月14日(火)12月定例会 石黒覚一般質問
それでは、私からも通告に従いまして一般質問を申し上げさせて頂きたいと存じます。前者と重なる質問につきましては、何卒ご容赦賜わりたいと存じます。
平成17年11月に1市3町合併以来、早いもので5年が経過致しました。これまで、阿部市長と私たち議員が互いに2回の選挙を経て、平成17年12月定例議会及び昨年平成21年12月定例議会と2度の所信表明演説をお聞き致してまいりました。
合併直後の平成17年12月議会の所信表明では、新市発展の礎の構築を目指すために、まずは新市の一体化の促進を強調されました。また、昨年平成21年12月議会の所信表明演説では、合併の総仕上げ、心豊かに暮らし続けられるまちづくりを協力に推進していきたいと謳われました。そして、その際、大切にしていきたいことは、活力とぬくもりにあふれた市政ということであります。活力とは、市民皆様の夢、思い、力を大切にしながら、本市の経済や市民活動をさらに活発にしていくことであり、ぬくもりとは、厳しい経済社会情勢の中、本当に苦労されている市民の皆様に対し、頼りになる市役所として最大限のバックアップをしていくということであります。と述べられておりました。
しかし、果たして市民の皆様方は、これまでの酒田市の行政のあり方に、少しも疑問を感じていないのでしょうか。そこで、酒田市が向かう市民が主役の新たな時代の行政の役割について、お伺いを致したいと存じます。
前段述べさせて頂いた、市長の認識にいささかの疑いもないところでございます。しかしながら、最近の本市の政策形成プロセスには、本当にこれで良いのだろうかと言わざるを得ない場面が、多く見られると感じています。例えば、学区改編議論における校名問題、細かいことをほじくり返せば、給食や保育園の民間委託、さかのぼれば病院統合問題、総合計画策定過程、今回の過疎計画策定過程、そしてこの度、報告書が出された庁舎建設など、一部の有識者の考えを聴取しさえすれば、お墨付きを頂いているので、市民の細かい意見など一々聞くことが、かえって混乱の元になるとでも考えているのではないかと、疑ってしまいたくなるのであります。これまでも幾度となく議論をさせて頂きましたが、成熟した民主主義社会における政策形成とは、多くの時間がかかろうとも、きめ細かく市民意見を吸い上げる中から、議論を巻き起こし、その結果、市民との協働による政策形成が実現し、そこから生み出される政策は、まさに市民と一体となって進められるものに到達するものであろうと、私は考えるところであります。
例えば、庁舎建設に関して申し上げるならば、本年5月に完成した東京都立川市の市庁舎建設プロセスを見ると、まさに新たな時代の政策形成と言えるし、市民が主役の行政のあり方を教えられる気が致します。立川市は、新庁舎建設計画を進めるに当たり、公募により、多くの一般市民からなる100人委員会を設置し、「新庁舎建設基本構想市民案」及び「現庁舎敷地利用計画市民案」を作成したとあります。その構想市民案の冒頭には、次のようなことが書かれています。
『市庁舎は言うまでもなく、その都市を象徴する最も重要な公共建築です。世界の様々な地域において、その市庁舎の形やデザインは異なりますが、いずれの場合も、市民と行政と議会の三者がどのような関係になっているのか、あるいは市民が行政と議会に何を望んでいるのかを直接表現する建物が市庁舎です。言い換えれば、市庁舎を見ると、その都市の共同体や市民自治のありようがわかります。したがって、新市庁舎を建設するこの機会に、立川市の自治のあり方、行政のあり方、政治のあり方を根本的に議論することは、地方分権の流れの中で極めて重要であります。』と、書いてあるのであります。私は、今年機会を頂戴して視察をさせて頂きました、大分県杵築市と、宮城県石巻市において、杵築市はスーパーマーケット、石巻市は駅前のデパートだった建物を改造して、再利用をした市役所を見る機会を得ました。この二つの市の市民の皆様方と行政、議会の関係は、立川市の市民案に示されている通り、住民自治のありようが本当に良く見えると感じました。
前例踏襲の手法に依拠して、一部の有識者の方々の意見で進めるとするならば、市民が主役の新たな時代の行政の役割を果たしているというには、いささか疑問を感じるところであります。政策形成プロセスのあり方について、ご所見をお伺い致したいと存じます。
次に、合併後の大きな変革であると考えるものに、公民館制度からコミュニティ振興会制度への移行、区長制度から自治会長制度への移行があります。さかのぼること昭和の大合併から50年間統一されていなかった旧酒田市のコミュニティ振興会制度と公民館制度を含め、旧3町とも一斉に同一制度化されたことは、好ましいことだと思っています。しかし、コミュニティ振興会制度の本来の目的は何か、行政と住民との役割分担はどのように進化するのか、住民自ら進め責任を負う新たな時代の地域づくりの方向などについて、住民側が少し疑心暗鬼になっているように感じているのは、私だけではないと思うのですが、如何でしょうか。もしそうだとするならば、その原因は説明不足ではないかと、私は感じています。コミュニティ振興会の担う役割について、行政が何を求めているのか、新たな時代の住民との協働による地域づくり、住民自治についてしっかりと説明をして、議論を尽くす必要があると考えるところでありますが、ご所見をお伺い致したいと存じます。
次に2番目の項目であります、次の世代を担う子供たちの笑顔が輝く酒田市の教育の方向についてお伺いを致したいと存じます。
一つは、子供たちが笑顔を輝かせて学び、次代を担うために大きく成長するためには、基本となる教育委員会の安定した運営が不可欠であることは、言うまでもないことであります。酒田市教育委員会の状況は、決して安定した状況にあるとは言い難いと言わざるを得ないところであります。欠員が生じていることのみに留まらず、先の新聞報道による所に対する当局の明らかな説明も無いまま、不安定な状況が続き、教職員の方々に影響が生じないのか、そのことが子供たちの心のありように影響はないのか、心配でならないところであります。現状についての率直な認識をお聞かせ頂き、どのように打開して行こうと考えておられるのかお尋ねを致しておきたいと存じます。
次に学校現場における現状についてお伺い致したいと存じます。昨日も議論になっておりました、小中学校における不登校や学級崩壊などの状況はあるのか否か、現状についてお伺い致します。最近他地域において、低年齢の子供たちの自殺などの報道を耳にするたびに、私たちの地域の子供たちの心の状態が心配になってしまうのでございます。
二つ目は、酒田市の人口減少の一つのネックである、高校を卒業して大学進学の後に、地元に戻らない子供たちの状況がある中で、地域との交流学習を通して、子供たちが地域を知り、地域に愛着を持ち、地域に残る、あるいは地域に帰ってくるような子供たちを育てることが涵養かと考えるのでありますが、こうした取組みの現状と、今後の方向性についてご所見をお伺い致したいと存じます。それらの原因の大きな理由は、仕事がないと言うことであることも理解できないわけではありません。しかし、地域を愛する心がしっかりと育ってくれているならば、愛する地域で自らが起業する若者が沢山存在して良いのではないかと思うのですが、そうした状況にはないと言わざるを得ないわけであります。だとするならば、本市のそうした子供たち育成力が弱いのではないかと考えてしまうのですが如何でしょうか。こうした現状について調査した経過などはないのでしょうか。お伺い致したいと存じます。
三つ目は、この点もいつもお尋ねいたしているところでございますが、健全な子供たちの教育は、健全な先生たちの心でなされて、初めてその大きな目的が達せられるものだろうと考えています。教育現場の教職員の皆様方の心が病んでいたりする現状はないのかどうか。あるいは、それらの防止のためにどのような配慮がなされているのか、お尋ねを致しておきたいと存じます。
次に3番目の項目でございます、酒田市の産業・経済の新たな方向と酒田港の役割についてお伺い致したいと存じます。
一つは、昨日も論じられていましたが、重点港湾に指定された酒田港の現状と今後について、ご所見をお伺いいたしておきたいと存じます。酒田港の重点港湾指定は、改めて考えるまでもなく、本市のあらゆる知恵の結集と、市民、行政、議会と酒田市を上げて取組んだ努力の結果だと、誇らしく存じているところでございます。そして、これらの取組の中で、最も輝いていたのは市民の皆様方と民間経営者の皆様方であったと思います。改めまして心からの敬意と感謝を申し上げる次第でございます。しかしながら、8月の決定から既に4ヶ月が経過する中で、民間経営者の方々に置かれましては、新たな取組に着手したとのことであります。例えば、港湾管理の民営化の方向、リサイクル・環境産業の拡充、誘致活動など等であります。そこで、今回はこれらを踏まえて、管理者である山形県と地元酒田市の関係はどうあるべきなのか、酒田市がもっと主体的な立場を明らかにした上で、山形県を動かしていくと言う、議論を仕掛けるくらいの考えが必要ではないかと考えるところでありますが、どのように認識されているのかご所見をお伺い致します。酒田市として、重点港湾指定後、どのような港を目指すのか、そのためにはどのような政策が必要なのか、現状の認識と取組の方向についてお聞きを致しておきたいと存じます。
最後に、産業・経済活性化のための酒田市の既存企業育成に対する応援体制、政策の方向についてお伺い致したいと存じます。
このことにつきましても、何度となくご議論をさせて頂きました。産業・経済の活性化において企業誘致のような起死回生の対策は、極めて厳しく難しい現状を直視しながら、しからば頑張っている既存企業の皆様方を、いかに応援していくことができるかを真剣に考え、独自政策として打ち出す必要が急務であろうと思うところでございます。資金面の優遇策はもちろん、雇用拡大のためのきめ細かな支援制度創設で各企業1名雇用でも100社集まれば100名の雇用が生れるわけで、それらに対する具体的な支援は考えておられないのか、また、良いものをつくったら酒田市を上げて売っていくという体制づくりも必要ではないでしょうか。つや姫は吉村県知事のトップセールスによって、短期間のうちにとても高い評価を得ることができました。酒田の産物についても、もっともっと強力なトップセールスやパフォーマンスも必要なのではないでしょうか。ご所見をお伺い申し上げまして、1問目と致します。