平成29年度9月定例会◆石黒覚◆予算質疑

2017.9.29《9月定例会予算特別委員会》石黒覚質問要旨

1 広域水道について

(1) 広域水道料金の改定状況について(企業管理者)

まず初めに、広域水道料金の改定についてお伺い致します。
水は命の源、水道はまさに県民の生活に不可欠なライフラインの一つであることは、言うまでもありません。近年、人口減少によります、給水量(使用水量)の減少、あるいは水道施設などの老朽化、人材の不足等など厳しい経営環境にあると聞いております。
本県の市町村水道の料金は、全国的にも高い水準にあることは事実であり、水道の安定的供給を確保しながら、いかに料金を抑制するかが、大きな課題であるとの認識を致しております。
そこで、市町村水道の水源であります広域水道事業を実施している企業局にお伺い致すわけでありますが、そもそも広域水道は、市町村からの要望を受けて、企業局が整備し運営しているもので、県内35市町村のうち、約70%にあたる23市町に水道水を供給しています。現在の料金は、全国平均以下の安さとなっているものの、厳しい経営状況にある受水市町更なる料金の引き下げを求められているとの状況もあると伺っております。
今回、9月定例会におきまして、広域水道の料金について、10年に一度の見直しを行い、料金の改定案が提案されております。改定広域水道料金につきましては、一昨年の建設常任委員会あたりから、活発に議論がなされて参りましたが、受水市町の水道事業経営に大きな影響を与えるものと考えます。企業局では、今回の料金改定について、どのような考え方で、どのように見直しを行い、そして結果がどのように導かれたのか、企業管理者にお伺い致します。

(2) 経営基盤の強化に向けた取組みについて(企業管理者)

さて、そこで市町村水道におきましては、今後益々人口減少が進み、高齢化などにより一人暮らしの世帯が増加する中で、給水量はさらに減少していきますし、施設の老朽化対応などによる経費の増加や職員、中でも技術職員などの不足が、これまで以上に深刻な課題になっていくものと思われますし、市町村水道事業の経営は厳しさを増すばかりと考えます。新聞報道等によれば「将来的には、人口減少などにより水道料金が30年間において全国平均で1.6倍の値上げが必要になると試算されている」と報じています。本県におきましても大幅に料金が値上げされることになれば、県民にとりまして、極めて大きな負担になるものと心配致すところでございます。
一方、企業局の広域水道も市町村水道と同様の課題を抱えており、将来を展望した場合、厳しい経営環境となり、料金の更なる引き下げは困難であることは想像に難くないところでございます。
また、こうした状況におきまして、市町村水道と企業局(広域水道ということ)との連携や市町村水道に対する企業局の協力・支援が重要になってくるものと考えます。企業局は公営企業であり、企業会計の枠組みの中での対応になることは承知しながらも、企業局が有するマンパワーを活用しての支援や、受水市町との連携強化による、新たな水道事業の在り方などについて、研究していく取り組みが必要ではないかと考えます。
企業局として、市町村水道への支援や連携、将来に向けた取り組みをどのように進めていかれるのか、企業管理者にお伺い致します。

2 ふるさと納税について

総務省のホームページを見ますと、ふるさと納税は「地方で生まれ育ち都会に出てきた方のふるさとへの恩返ししたいと想いを、税制を通じて形にする」もので、三つの大きな意義が言われております。
一つ目は、納税者が寄付先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。それは、税に対する意識が高まり、納税の大切さを自分ごととしてとらえる貴重な機会になる。
二つ目は、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること。それは、人を育て、自然を守る、地方の環境を育む支援になる。 三つめは、自治体が国民に取り組みをアピールすることで、
ふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。それは、選んでもらうにふさわしい地域の在り方を改めて考えるきっかけへとつながる。
さらに、ふるさと納税を通じて、自治体は納税者の「志」に応えられる施策の向上を目指すようになり、納税者は地方行政への関心と参加意識を高めるようになる。いわば、自治体と納税者の両者が共に高めあう新しい関係を気づいてい
くことができる、とも謳われています。
こうした観点から平成20年度の税制改正により創設された、ふるさと納税制度は昨年度の寄付額が全国で対前年度に実績を伸ばし、それにより寄せられた資金は、子育てや教育まちづくりなどに活用され、地域の活性化に資すると共に、災害時における被災地支援としても役立てられているとされています。その一方で、ご案内のとおり、ふるさと納税の返礼品競争が激しくなり、自治体を応援する寄付という趣旨から逸脱している状況などが取りざたされ、今年4月に総務省から「ふるさと納税に係る返礼品の送付品の送付等について」という通知が出され、一時期様々な意見が出され、議論が交わされたところでございます。
現在は、状況もある程度落ち着いてきているようにも見えますが、一方で先日、全国的には平成29年度は1,767億円の住民税減収との報道もあり、制度の浸透に伴って、その長短や影響のある部分がみえてきたころかと思われます。
そこで改めてふるさと納税を再認識し、見つめなおす意味でお尋ねを致したいと思います。

(1) ふるさと納税の現状について(商工労働部長)

そこで、昨年度のふるさと納税の実績について、本県は市町村を含む県全体で、過去最高の受入額であり、北海道に次ぐ全国2位になるなど、実績を上げております。
また、県内の複数の市町村が全国でも有数の寄付額となっており、県内市町村それぞれにおいて、地域の活性化に結び付けようと各地の特産品を返礼品としてPRするなどの取組みが効果をあげているものと考えられ、納税いただくという点においては、本県の自治体はこの制度を上手く活用しているといえます。
一方で、ふるさと納税の仕組みとして、県内に住む住民がふるさと納税をすることによって、その自治体は本来住民が納税する住民税が控除され減収となります。
ともすれば、ふるさと納税の金額や返礼品だけが注目されがちですが、制度として、納税者の税に対する意識を高めることや、生まれ故郷やお世話になった地域等の力になれる制度といった、制度本来の趣旨に沿ってしっかりと活用していくためには、また、今後のふるさと納税の在り方を考えるには、この住民税が減収となることも含めて、しっかりと考えていかなければならないと思います。
まず、ふるさと納税受入による増収と住民が他の自治体に寄付することによる減収、このあたりの状況について、商工労働部長にお伺い致します。

(2) ふるさと納税の課題と対応について(商工労働部長)

はじめに申し上げましたとおり、ふるさと納税制度は、地方で生まれ育ち都会に出てきた方のふるさとへ恩返ししたい想いを、税制を通じて形にする制度であります。地方交付税による補填があるとは言っても、寄付額から住民税の控除額を差し引いた収支が初めてマイナスになったということは、制度本来の想定とは異なる方向に進んでいるとも考えられるのではないでしょうか。
なぜ、県の収支がマイナスになるのか、また、県としてそこにはどのような課題があると考えるのか、そしてその対応についてどう取り組まれるのか、商工労働部長にお伺い致します。

3 保健医療計画の改定について(健康福祉部長)

保健医療計画の改定についてお伺い致します。
ご承知のとおり、本県の保健医療計画は、医療法によって都道府県に策定が義務付けられている医療計画として、良質
かつ適切な医療を効率的に提供する体制を確保するためにの基本計画であるとともに、山形県総合発展計画の保健・医療に関する分野別計画として定めるものであります。また同時に、県内の市町村が県との協働のもとで保健医療行政の計画的な推進を図るための指針となるものでもあり、併せて、県民や保険、医療、福祉の関係団体が、県や市町村と協働して実施する活動を促進するための道しるべとなる、非常に重要な計画であると認識致します。
現行の「第6次山形県保健医療計画」は、第3次山形県総合発展計画の基本目標に基づき、「誰もが安心して活き活きと暮らせる県づくりに向けた保健・医療・福祉の充実強化」を基本理念として、平成25年3月に、平成29年度までの5ヶ年の計画として策定されました。
平成25年当時の本県保健医療を取り巻く状況を振り返ると、高齢化の一層の進行により医療や介護の需要が高い75歳以上の高齢者が急激に増加する中で、認知症などの精神疾患患者が増加するなど、保健医療を取り巻く環境が大きく変化しているとの認識が示されておりました。そのため、がん、脳卒中、小児医療など従来の4疾病5事業に、精神疾患について医療連携体制を構築する必要性を新たに加え、在宅医療、介護等の連携強化、医師、看護師等の確保対策などが、体系的に示されたものでありました。
そこで、今年度は計画の最終年度であり、計画期間はまだ半年を残しておりますが、「第6次山形県本県医療計画」の成果について、現時点においてどのように認識されておられるのか、そして、その成果や課題を踏まえ、主な施策についてお示しを頂きながら、次期第7次山形県保健医療計画が、どのような方向に向かうべきと考えておられるのか、健康福祉部長にお伺い致します。

4 津波災害警戒区域の指定について(危機管理・くらし安心局)

次に、津波災害警戒区域の指定についてお伺い致します。
平成23年3月11日に発生いたしました東日本大震災から、6年6か月が過ぎました。巨大地震と巨大津波による壊滅的な被災状況からは、一歩ずつ復興に向けて進んでいるものと思います。しかしながら、未だに避難生活を余儀なくされている多くの被災者がおりますことを、改めて認識をしなければならないものと考えます。
この間、地震、津波など多くの災害に対する防災対策が議論される中で、多くの法律が公布され、各都道府県、各市町村による、防災対策が具体的に示されて参りました。
今回はその中から、津波防災対策におきます津波災害警戒区域の指定について、本県の取組みの状況をお伺い致します。
平成23年12月14日「津波防災地域づくりに関する法律」が公布されて以来、県においては同年度内に、法律に基づかない暫定的な津波浸水予測図が作成され、平成24年度には、津波シミュレーションCG、パンフレットの作成・配布が行われました。同年、鶴岡市及び酒田市におきましては、津波ハザードマップの作成が行われました。また、県及び市町では津波警戒表示板の設置、津波避難路、避難誘導案内標識の設置などが進められました。更に平成26年度には、国から日本海側における統一的な津波断層モデルが公表され、平成27年度に県において、法律に基づく津波浸水想定の設定、公表が行われました。蛇足になりますが、この時の想定は、津波最高水位最大16.3m、高さ20cmの津波到達時間最短11分~1分未満、この時の議論に1分未満ということは、避難不能告知以外の何物でもないと申し上げた記憶があります。そして、平成28年度に県は、新たな津波シミュレーションCG、パンフレットの作成・配布を行い、市町は新たな津波ハザードマップの作成、見直しを行い、津波避難経路、避難誘導案内標識の設置を行いました。こうした中で、県の津波浸水想定図の色遣いと、市町のハザードマップの色遣いが全く違うことを指摘させて頂き、今後統一の必要性を訴えさせて頂いております。またこの間、津波避難訓練は各市町で毎年実施されておりました。更に県において平成28年度には、津波避難計画策定指針の策定が行われたものと認識を致しております。
このように、これまで津波防災対策について県では様々な取組みを進めてきたわけでございますが、これまでの取組みに加え、津波防災地域づくりに関する法律では、都道府県知事は「津波災害警戒区域」や「津波災害特別警戒区域」の指定することができるとされております。全国的にはこうした区域指定はまだまだ進んでいない中で、本県では区域指定の必要性や指定に向けた取組みについて、危機管理監にお伺い致します。

5 ごみゼロやまがたの実現に向けた取組みについて(環境エネルギー部長)

(1) 県民参加の促進に向けた取組みについて

本県では、平成24年3月、「県民協働で、低炭素社会に貢献するごみゼロやまがたの実現」を基本理念とする「第2次山形県循環型社会形成推進計画」を策定し、「全国一ごみの少ない県を目指して」と「リサイクル等の循環型産業を振興」という基本目標のもと、廃棄物の3R(リデュース、リユース、リサイクル)を実践する県民運動を展開し、関連産業の振興を図ってきました。
一方で、事業所などから排出される紙ごみなどの事業系一般廃棄物の増加、少子高齢化・人口減少に伴うごみ出し困難者や介護用品廃棄物の増加、大規模災害時における災害廃棄物処理体制の構築など、新たな課題への的確な対応が求められたことから、本県では「第2次山形県循環型社会形成推進計画」の平成23年から平成32年の中間年である平成27年度に中間見直しを行いました。
計画の基本理念にもある「県民協働によるごみゼロ山形の実現」を着実に進めるためには、やはり県民一人ひとりの参加意識をしっかりと作っていくことが大切だと思います。
そうすることで、地域社会における循環型社会の担い手として、自らのライフスタイルを見直したりごみを減らす取組みに参加することはもちろんのこと、不法投棄やポイ捨てを許さない意識が醸成され、本県の緑あふれる自然を将来の世代へ引き継ぐうえでも大切なことだと思います。
ポイ捨てごみなどきちんと処理されないごみが河川等を経由して海に流れ出した後、波や風の力で海岸に漂着するケースが多いと言われており、この海岸漂着物については、これまで」兼や沿岸市町、あるいはNPOや地域ボランティア団体が改修や清掃を行ってきていますが、県民参加の促進からすると、もっとNPOや地域ボランティア団体による清掃活動活発にしていくことが重要なことだと思います。
庄内海岸をきれいにするため、計画ではどのような目標を設定し、県ではどのような県民参加の取組みを行っているのか、環境エネルギー部長にお伺い致します。
一方、ゴミを減らす取組みに関して目を転じると、家庭からのごみ減量化についても県民一人ひとりの参加意識をしっかりと作ることが肝要であり、計画では、県民の取組みとして「ごみ処理有料化に強力し、適正なごみの排出に努める」と設定するとともに、市町村の取組みとして「ごみ処理有料化の導入を推進し、ゴミの減量化に効果的な料金設定を行う」
としています。ごみ処理有料化について、計画ではどのような目標設定をしているのか、また、県内市町村の取組み状況とその効果について、併せて環境エネルギー部長にお伺い致します。

(2) 県における率先的な取組みについて

「ごみゼロやまがたの実現」を推進する上で、まずは県民の模範となるべき取組みの展開が重要であることは、言うまでもない所でございます。その模範となるべき取組みの実践者は、まさに計画策定をして、県民の皆様にお示しをした県そのものであることは、今更申し上げるまでもないものと思います。
そこで、県が率先して模範的取組みを展開している様々な活動についての現状と課題についてお伺い致します。
例えば、今更の感はありますが、紙ベースの資料作成等の削減、リサイクルの状況など、計画樹立の取組みが新鮮な時期は、職場内全体が何となく盛り上がりを感じるのですが、時間の経過とともに、その思いが薄らいでしまいがちなのが、こうした日常における日々の取組みの難しさでもあると感じます。
例えば、県議会に初めて議席をお預かり致した当時は、何と大量の紙資料であろうかと驚きながら、同じ資料を何度も頂くことに違和感を覚えたものでありますし、机の上に資料を置いてもらうときに、封筒に入れて頂く必要があるのかと考えて、記入のない封筒はお返ししたこともありましたが、人間とは何とも弱いもので、時間が経過することで、それを当たり前の日常と思い込み、モラル低下に気づかない自分自身が、誠に情けない気が致します。
地球規模での資源を守るためには、ほんの些細な取組みの積み重ねでしかないのだろうと、今更ながら思うところでございます。最近県内の市町村議会等におきましても、紙ベースの資料から、タブレット端末などによる資料配布に取組むなどの先進的事例も出てきているようであります。私たち県議会においても、もっともっと「ごみゼロやまがたの実現」に強力に取組まなければならないことを自覚しつつ、まずは県におけるこうした取り組みの状況について、環境エネルギー部長にお伺い致します。

※ 吉村美栄子知事が「観光立県やまがた」を掲げ、インバウンドを含め本県観光振興におきまして「ごみゼロやまがたの実現」こそが、必要不可欠な取組みであろうと、私くしは考えるものであります。例えば、海外に行く機会には、必ず空港から高速道路などを経由して中心地や観光地に向かいます。その途中の道路や街のあちこちがゴミだらけ、落書きだらけという国があります。その国にもう一度行ってみたいかと聞かれて、行きたいと考えることはないと思います。この夏、酒田港には、初の外国船籍の外航クルーズ船が入港いたしました。お客様が最初に感じるのは、その港がゴミ一つなく、美しい港か否かということではないかと考えます。どんなに素晴らしい歌や踊りでお出迎えしようとも、ゴミのない美しい街の印象は、どこの国の方々でも同じではないかと思うのです。そうした意味で、これからの「ごみゼロやまがたの実現」には、観光振興という視点をしっかりと位置付けながら、全県民あげて「ごみゼロやまがたの実現」を早急に、強力に進める必要があろうと考えますので、大いに奮闘をご期待申し上げまして質疑を終わります。

一年ぶりの決算総括質疑

16.10.14《決算特別委員会総括質疑》石黒覚質疑要旨

 1 知事トップセールスの成果について
(1) 知事トップセールスの成果と所感について
                 (知事)

 吉村知事に置かれましては、2期目の終盤に差し掛かるわけでございますが、一貫して掲げます「心のかようあったかい県政」運営の中で、国内外を問わず、様々な面におきまして「トップセールス」という自らが出向いて、本県の魅力をアピールし、観光客の拡大や、農林水産物の販売拡大等に奔走されております。私もこれまで、何度かそうした場面で、ご一緒に活動をさせて頂いており、昨年平成27年度は、イタリア・ミラノ万博において、本県の新たな未来を拓くトップセールスを共有させて頂いたところでございます。
この度の平成27年度決算審査にあたりまして、これまで国内外を問わず積み重ねられてこられました、ご自身のトップセールスに対します成果と所感をお伺いいたしたいと存じます。

(2) トップセールスの成果を踏まえたインバウン
 ド観光誘客の今後の展開方向について
              (観光推進監)

 次に、知事のトップセールスの成果を踏まえたインバウンド観光誘客の今後の展開方向についてお伺い致します。
 今更申し上げるまでもないところではございますが、本県における観光客入込数につきましては、5年半前に発生いたしました東日本大震災並びに福島第一原発事故を境に大きく落ち込み、特に外国人観光客については風評被害等により大きな影響を受けたところです。これらの状況は、一県として、あるいは一県知事として昼夜を問わずトップセールスに奔走致しても、起死回生のような対策になるとは考えにくい状況であったと認識いたしておりました。
 しかしながら、この5年半の知事を先頭に致します、本県あげての海外における観光誘客の取り組みは、大きな成果を生み出すためのイントロダクションであったと、高く評価を致すものでございます。その一方で、知事トップセールスの成果を、継続的でより実効性のあるものとするために、この先どのように取り組んでいくのかが重要ではないかと考えます。
そこで、平成27年度の知事トップセールスの成果を踏まえたインバウンド観光誘客の今後の展開方向について観光推進監にお伺い致します。

 2 県有財産の維持管理について(総務部長)

  まず初めに、平成27年度決算における、県有財産の内、主に一般財産の維持管理の現状と課題についてお伺いいたします。
 人口減少社会の進展は、本県におきましても極めて深刻な課題の一つでございます。こうした中で県の財政は、今後ますます厳しさを増す状況に進むと言わざるを得ないところでございます。このような中で、本県が所有する施設の老朽化は、着実に進行していくことになります。
本県では、平成26年12月に「山形県県有財産総合管理(ファシリティマネジメント)基本方針」が策定されました。この基本方針によりますと、①県有財産の長寿命化と維持管理コストの低減、②県有財産の有効活用、③県有財産の総量縮小、が三本の柱となっています。
また、この基本方針に基づいて、平成27年10月には、「山形県県有建物長寿命化指針」が策定されました。この指針におきましては、建物の長寿命化を進めるにあたっては、従来の事後保全(不具合や故障が生じた段階で保全を行う)から予防保全(不具合の状態が深刻化する前に保全を行う)への転換を図り、劣化度調査の実施や優先度の判断により、中長期保全計画を作り、実際の予防保全計画は5年間の工事計画を検討するとされています。
なお、この件に関しましては、去る10月5日に行われました決算特別委員会におきまして、平成27年度決算におきます代表監査委員説明の中でも、「本県が保有する財産には老朽化が進行しているものが多く、今後、更新・大規模改修に多額の財政需要が生じることが見込まれることから、県有財産の長寿命化、維持管理コストの低減、遊休財産の有効活用など財産の総合的、計画的な管理を推進する必要があります」と述べられております。
では、県として、ファシリティマネジメント基本方針に基づき具体的にどうやって維持管理コストを低減していくつもりなのでしょうか。
私は先日、島根県の取組みを知る機会がありました。島根県では、県庁舎や各合同庁舎、単独公所を県内8つの地区に区分して、同一業務について地区内の複数施設について、一括発注することにより経費の縮減を実現しているとのことでした。業務の種類は、施設管理、清掃、警備など8つに区分され、年次計画を立てて業務の種類ごとにまとめて発注をしているとのことでした。
島根県のこの取組みは、県の監査において、「各所属の業務軽減と経費節減などの経済性及び効率性の観点から、評価できる取組みである。引き続き一元化対象施設の更なる拡大に努められたい。」と、高い評価を受けたとのことです。
そこで、本県の県有財産の状況はどうなっているのか。また、新たな「基本方針」をスタートさせた昨年度はどのような取組みを行ったのか。合わせて、先程述べたような他県の取組みも踏まえ、今後どのような取組みを行っていくつもりか、総務部長にお伺いします。

(答弁後)
コストの縮減に向けて、他県の例も見ながら、様々な取組みを行っていくことは、言わずもがなであります。
一方で、コスト縮減だけの視点で考えて良いものでしょうか。平成24年度に策定されました「山形県中小企業振興条例」におきましては、前文に「本県が誇る豊富な地域資源の活用による地域内での循環及び発展が図られることが重要である」とうたわれておりますし、さらに目的には、「本県における中小企業の存在の重要性にかんがみ、(中略)本県の経済の持続的な発展、本県における雇用の場の創出及び県民生活の安定及び向上に寄与することを目的とする」と記されております。こうした点を踏まえると、県有財産維持管理業務が、もっともっと県内企業から担って頂けるシステム構築が必要ではないかと、考えるところでございます。
また、こうした施設の維持管理業務、特に清掃業務などは障がい者雇用の受け皿になり得るのではと思っております。
酒田市にある東北エプソンの中に、会社内の清掃業務などを行っているエプソンスワンという子会社があります。ここでは、障がい者の方が活き活きと働いており、その中から、今回本県で開催されるアビリンピックに出場する職員さんもいるとのことです。
業務の委託先を考える場合、コストだけではなく、障がい者雇用の拡大についても、留意していただきたいと要望して質問を終わります。

 3 教育における成果と課題について(教育長)
(1)新教育制度に係る初年度の取組み状況と成果につい

 
教育における成果と課題について、まず新教育制度に係る初年度の取り組み状況と成果についてお伺い致します。
平成27年度は、我が国の教育行政におきまして、昭和31年以来の極めて大きな制度改革が行われました。
 教育委員会制度の改革によりまして、全ての地方公共団体の長に「教育、学術及び文化の振興に関する施策の大綱」の策定が、義務付けられるとともに、首長と教育委員会が協議と調整を行う場として「総合教育会議」を設置することとされました。
 今回の教育委員会制度改正は、教育行政における責任体制を明確化するとともに、地域の民意を代表する首長が、教育委員会と密接に連携して教育行政を推進することを、目指すものだと認識致しております。
 私くしも、昨年度に2回、総合教育会議を傍聴させていただきましたが、この会議により知事と教育委員との連携を一層強化することで、山形県らしい教育の推進に一丸となって取り組んでいかなければならないと、考えているところでございます。
そこで、教育委員会制度改正一年目における取組状況とその成果について、教育長にお伺い致します。

(2)小規模高校の魅力向上の取組みと県外からの志願者
の受入れについて(教育長)

 次に、小規模高校の魅力向上の取組みと県外からの志願者の受入れについてお伺い致します。
平成27年度の実績をみますと、東桜学館中学校・高等学校の校舎整備が進められまして、今春、開校されました。これまでも再編整備によりまして、新しい学校づくりが進められ、酒田光陵高校や村山産業高校などが設置されてきました。
こうした再編整備により、新しい学校づくりが進められ、県の教育界にも新しい風が吹きこんだものと評価しているところです。
その一方で、歴史を重ねた旧くからある小規模校は、その地域活性化の核としての役割も担っておりますので、既存校の活性化や魅力向上が課題となっているものと考えられます。
 こうした中にあって、庄内北部の小規模校である県立遊佐高校は、昨年度大きな転換期を迎えることになりました。これまでの普通科から総合学科へと改編されたわけであります。地域との連携強化による新たな高校教育に取り組みながら、地域の活性化にもその役割を広げ、高校教育の新しい価値の創出に、期待が膨らむところでございます。
折しも、先日、遊佐町を会場に開催されました「日沿道山形・秋田県境区間建設促進大会」の基調講演で講師をお務め下さった東北公益文科大学吉村学長が、「鳥海山を囲んだ広域連携について」と題したご講演の中で、遊佐町が独自の施策として、遊佐高校入学者に7万円の支援制度を開始したことに触れながら、「私は、遊佐町長に、遊佐高校に東京から生徒を呼ぼうと提案している。一刻も早く実現する覚悟だ」と述べておられました。
地域を挙げて、地域の遊佐高校を守るために、遊佐高校に県外から志願者を受け入れることも、重要な視点であります。
そこで、これまでの高校再編整備も踏まえつつ、県として、遊佐高校など小規模校の魅力向上と県外からの志願者受入れについてどう考えておられるのか、教育長にお伺いします。

4 慶應義塾大学先端生命科学研究所の成果につ
  いて(商工労働観光部長)
(1) 慶應先端研と県内企業や他の研究機関との連携について

 次に、慶應義塾大学先端生命科学研究所の成果についてお伺い致します。
 平成13年に鶴岡市に開設されました、慶應義塾大学先端生命科学研究所は、今年15周年を迎えまして、去る9月17日に記念シンポジウムが開催されました。テーマは「YAMAGATA、TSURUOKAから世界を変える」、そして「ニッポンの再生は地方から」と、力強く宣言されておりました。
 この世界に誇る慶應先端研が、県内企業や他の研究機関と連携を図ることで、さらに多くの成果が生まれるものと期待致すところでございます。
まず初めに、本県と致しまして、平成24年度から、県内企業と慶應先端研との共同研究に対する助成事業を行っているところでありますが、平成27年度の取組み状況はどのようになっておられるか、また、国内外の他の研究機関との連携強化に向けた取り組みはどのようになっているか、商工労働観光部長にお伺い致します。

(2) 慶應先端研の成果の波及等について

 次に、慶應先端研におきましては、研究開発のみに留まらず、ベンチャー企業の設立による研究成果の事業化や、地元の高校と連携した人材育成の取組みなど、様々な面で地域に効果を及ぼしているものと認識致しておりますが、平成27年度はどのような成果があったのか、商工労働観光部長にお伺い致します。


5 県立病院と県立大学との連携の成果について
(病院事業管理者)
 
県立病院における県立大学との連携の成果についてお伺い致します。
大学には学術研究、人材育成に加えて、教育研究の成果を社会に提供することが新たな役割として期待されているところであり、私くし平成26年9月定例会におきまして一般質問させて頂きました折に、米沢栄養大学の成果を地域社会に提供するための連携につきましてご提案させて頂きました。
そして翌平成27年度には、早速事業化がなされ、県立病院と県立米沢栄養大学との連携事業がスタート致しました。
県立米沢栄養大学は、管理栄養士を育成する大学として、県民の大きな期待の中、開学されました。県立病院が大学と連携事業に取り組むことは、学生の皆様の資質向上はもとより、県民の健康増進など広く社会に貢献するものと思いますが、事業の目標、初年度の成果について、病院管理者にお伺い致します。

同様に、県立保健医療大学と県立中央病院の連携事業も展開されておりますが、こうした取組みは、卒業生の県内定着にも繋がるものと期待されるところであります。
県立保健医療大学との連携事業につきましても、平成27年度の事業の目標、どのような成果が得られたのか、併せて病院事業管理者にお伺い致します。

石黒覚予算質疑に対する部長答弁山新一面に掲載

7月1日(水)山形新聞一面、昨日の予算特別委員会での私の質問に健康福祉部長が答弁された「日本版CCRC」についての記事が掲載されていました。まだまだ課題の多い政策ですので、今後議論を重ねる必要がありますが、私は基本的に、吉村知事のお考えに、異論はないことを表明いたしました。また、部長答弁を受けまして、丁寧な議論を促す意見は、後日議事録から転記致します。

Posted by 石黒 覚 on 2015年7月1日

平成27年度6月定例会予算特別委員会「石黒覚」質疑全文

15.6.30《6月定例会予算特別委員会》石黒覚質問要旨

お疲れ様でございます、先の統一地方選によります改選後、最初の6月定例会予算特別委員会質疑の機会を頂きましたことに、感謝申し上げます。

さて、山形県議会議員選挙につきましては、ご承知のように過去2回の選挙におきまして、19選挙区のうち11選挙区が無投票という状況でございました。私自身も70年ぶりと言われました酒田市飽海郡区で無投票を経験いたしました。4月の選挙前、山形新聞社が「立候補予定者56人に聞く」という特集を組まれました。3月30日の紙面で「現行の県内19選挙区を再編すべきか」とのアンケートの結果が掲載されておりました。①再編すべきが、最も多い27人、②再編すべきでないが10人、③どちらともいえないが15人との結果でした。ちなみに、当選を果たされました現職44名の議員の状況は、①再編すべきが22人、②再編すべきでないが8人、③どちらともいえないが9人となっているようです。

また、現行定数の44に関するアンケートでは56人中、①適正が30人、②多いが7人、少ないが1人、④どちらともいえないが15人でした。

こうした様々な現状を真摯に捉え、頂きました任期4年間、精いっぱい努めていかなければならないと、改めて肝に銘じますと共に、民主主義の根幹でございます「選挙」の活性化に向けます、制度改正等も含めた議論が高まる、伝統ある山形県議会を皆様方とご一緒に、前に進めていかなければならないと考えるところでございます。

改選後初めての質問の機会でございますので、私見を述べさせて頂きました。それでは質問に入らせて頂きます。

1 やまがた創生の取組みについて

(1)  教育大綱に込められた子供たちの未来像について(知事) 

本年2月定例会予算特別委員会におきまして、お尋ねをした経過があります「教育、学術及び文化の振興に関する施策の大綱」につきまして、改めてお伺いを致したいと存じます。先の定例会の質疑の時点では「大綱」の具体的骨格などが定まっていない中で、知事の目指すべき本県の教育、学術及び文化の振興についての基本的な考え方を承ったと思います。

その後、多くの協議あるいは県民の皆様方のお声を承りながら、5月18日に開催されました「第1回山形県総合教育会議」を経まして「山形県教育、学術及び文化の振興に関する施策の大綱」が策定されました。この日の会議は、本県の教育等の方向をこれまで教育委員会が担ってきた歴史から、大きく転換し、首長であります知事が、その方向を定めるという本県教育における歴史的場面であろうと思い、傍聴をさせて頂きました。示されました「基本的な方針7項目」に込められました吉村知事の思い、そして本県の未来を担う子供たちを、どのような子供たちに育て、その子供たちが未来の山形をどのように切り拓いていくのか。人口減少社会の中で、地方創生が叫ばれる現在、私たちが進めなければならない「やまがた創生」の観点から、改めましてご所見をお伺い致したいと存じます。

(2)財務省試算による教職員数の削減について(知事)

  次に、教育の充実が我が国の発展の根幹であり「地方創生・やまがた創生」の基本であることは、どなたも否定されることはないところだと、認識を致すものでございます。そしてそのことの実現のために、教職員の果たす役割の重要性は申すまでもないところでございます。

そうした中で、去る5月8日の新聞各紙に掲載されました、財務省による公立小中学校の教職員数削減試算が公表されました。現在の教育環境を維持した上でとの、注釈を付して、2024年度までの9年間で2015年度の約6%に当たる、約4万2千人削減できるとの試算でございます。私の読んだ山形新聞の記事によれば、この試算を基に、別の教育予算や財政再建に財源を回すべきだと主張する構えだが、教員不足で増員を求める声が根強い教育現場からの反発が予想され、議論は難航しそうだとの見解が述べられています。さらに、この試算に対して文部科学省は、2024年度に必要な教職員数を約68万7500人としており、財務省試算との差は、3万5900人にものぼり、大きな開きがございます。また、財務省試算どおりに削減すると、人件費の国庫負担分が約780億円圧縮できるとしています。法律で定められた基礎定数が、少子化による自然減で2024年度までに3万7700人減となり、少人数指導の実施などで上積みしている加配定数に関して2015年度と同じ水準に据え置いても約4200人減らせるとしているのございます。

我が県は、今さら申し上げるまでもなく、山形らしい人材育成を目指して、さんさんプランに象徴される少人数教育による、きめ細やかな教育を進めているところでございます。現時点では文部科学省も、まさに本県の考え方と同様な考え方を訴えていると、記事は伝えておりました。このことにつきましては、去る5月30日開催の山形県開発推進懇談会におきまして、突然ではございましたが、本県選出国会議員の方々にも教育こそ我が国繁栄の根幹であり、財政議論のみから教育環境を議論しないで頂きたい旨のご要望を申し上げさせて頂いたところでございます。そこで、改めまして、財務省試算による教職員削減の考え方について、吉村知事のご所見をお伺い致したいと存じます。

(3)日本創成会議提唱「東京圏高齢化危機回避戦略」について (知事)

次に、今月6月4日に日本創成会議の首都圏問題検討分科会が発表しました「東京圏高齢化危機回避戦略」について、吉村知事が6月8日の定例記者会見で表明されました考え方について、改めましてお伺いを致したいと存じます。

日本創成会議は、東京圏の75歳以上の高齢者が、今後10年間で急増するとして、医療、介護の施設や人材に余力がある地域として山形市を含む26道府県の41地域に、高齢者の移住を促すよう政府や自治体に求めると提言しました。これを受けまして、吉村知事は「東京圏での高齢化の進展や高齢社会を支える医療、介護の慢性的な人材不足を考えると、高齢者が元気なうちから地方に魅力を感じ、自ら希望して地方に移住することを促す取り組みは極めて重要」と述べられました。山形新聞の記事は「評価する姿勢を示した」と書いております。団塊の世代の高齢化が、この10年で着実に進むことは避けられない事実であり、戦後の高度成長期に怒涛のごとく東京を中心にした大都市に、人、モノなどすべてが集中していき、国土の均衡ある発展を阻害する状況から、人口減少社会に転じ、地方が疲弊しきった中で地方創生が叫ばれ始めました。歴史をひっくり返すことはできませんので、この現実を国民全体で克服していくことは言うまでもないところでございます。しかしながら、最初に「41地域は医療、福祉など高齢者が生活するうえで素晴らしい地域だ」と褒めたたえ「後は任せます」的な押し付けであってはならないと、考えるところでございます。吉村知事の「この取組みは極めて重要」とお受け止めになられたお考えには、異論はございませんが、こうした取り組みが現実として、受け入れる側の県民の皆様、移住してこられる長年大都市で生活してこられた方々、両方が幸せな生活を送ることができるシステムづくりを、しっかりとしなければならないと考えます。まずは、吉村知事のご所見を改めてお聞かせ頂きたいと存じます。

(4)「東京圏高齢化危機回避戦略」の取組みの方向について(健康福祉部長)

さて、「東京圏高齢化危機回避戦略」に対する吉村知事のお考えをお聞きいたしましたので、知事も解決しなければならないいくつかの課題について、ご指摘されておられる点も含めまして、具体的な取り組みの方向について、健康福祉部長にお伺い致します。

日本創成会議首都圏問題検討分科会の議論と並行する形で、5月14日開催の「日本版CCRC構想有識者会議」において、健常時から高齢の要介護時まで、移転することなく継続して暮らせる複合型コミュニティの日本版となる「日本版CCRC」についての地方自治体調査結果を、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局が報告されたようであります。ちなみに、私もいまだよく理解いたしておりませんが、CCRCというのは、Continuing Care Retirement Community(コンティニュウイング ケア リタイアメント コミュニティ)の略称で、アメリカで普及している高齢者コミュニティのことだそうでございます。その報告によりますと、政府はこれを参考にした「日本版CCRC」により、東京から地方への高齢者の移住を促進し、地方創生につなげたいと考えていることから、本年3月26日から4月15日にかけて、全都道府県・市町村1788自治体を対象に調査したようでございます。調査結果によりますと、日本版CCRC関連の取り組みを推進する意向が「ある」のは202自治体(11.3%)で、「ない」もほぼ同数の199自治体(11.1%)。残りは、「今後考える」(77.6%)だったようであります。この件についての本県の考え方も合わせまして、「東京圏高齢化危機回避戦略」の取り組みの方向につきまして、健康福祉部長にお伺い致します。

 (5)  地方への本社機能移転に向けた企業立地の取組みについて   (商工労働観光部長)

次に、本県の企業立地の取組みについてお伺い致します。県内の工業団地の分譲状況をみますと、県全体では約9割の分譲率となっており、地域別に見ても県内4地域全てで8割を超える分譲率となっているようでございます。

庄内地域の工業団地においても近年、工場や大規模なコールセンターの立地が進んでおります。 また、経済産業省の調査結果によれば、平成26年の本県の工場立地件数は23件で、件数としては東北では宮城県、福島県に次ぐ第3位でございますが、これまで県や市町村が企業誘致に取り組んできた成果もあり、ものづくり産業の集積は着実に進んでいると感じております。こうした中で、政府では昨年来、「地方創生」を掲げ、東京一極集中を是正し、地方への企業分散、地域産業の活性化を強く後押しする方針を打ち出しています。その一環として、地域再生法を改正し、企業が地方の本社機能を強化したり、東京から地方に本社機能を移転したりする場合に、税の優遇を図る「地方拠点強化税制」を施行することとしています。この優遇税制により、地方の本社機能の強化や、地方への本社機能の移転が期待されるところであります。企業の本社機能が移転してきた場合、若者や女性の雇用の受け皿として、事務系の雇用に大きな効果があると考えられ、また、社員が移転してきたり、地元企業への発注が増加したりすることで、人口減少や地域経済に対する効果も大きいものがあると思われます。政府が地方創生により、企業の本社機能の地方移転を促進する方向にある中で、本社機能移転の本県への誘致について、どのように取り組むべきとお考えか、商工労働観光部長にお伺い致します。

2 酒田港の機能強化と利用促進について

(1)貨物増大に対応する港湾機能の拡充と周辺環境整備について (県土整備部長)          

次に、酒田港の機能強化と利用促進についてお伺い致します。まず、コンテナ貨物の増大に対応する港湾機能の拡充と周辺環境整備について、県土整備部長にお伺い致します。

昨年の9月定例会一般質問で、増大する酒田港のコンテナ貨物に対する対応についてお尋ねをさせて頂きました。コンテナヤード内の最適な配置と3台目のリーチスタッカー導入というご答弁でございました。その後、さらに着実にコンテナ貨物が拡大している中で、先日の代表質問において、佐藤藤弥議員のご質問に、コンテナヤードの拡張も含めて検討していくとのご答弁でございました。コンテナ貨物がこのように順調に拡大しておりますことは、本県の経済活動に大きな元気を与えると同時に、海外戦略への弾みになるものと喜ばしく思うところでございます。 そこで、週6便化が実現された現在、そしてこの先の見通しなどから、酒田港の国際コンテナ埠頭の岸壁使用状況などから拡張の必要性、国に対する要望活動の現状はどのような状況にあるのか。また、臨港道路等の維持管理、整備などの状況ですが、たとえば冬季間の季節風によって、毎年飛砂によって臨港道路の通行を妨げる箇所があると聞いておりますが、今年3月の暴風時に、2~3日通行止めになるほどの、被害があったようでございます。あるいは、コンテナ輸送車であります、トレーラーが通過するのに困難な箇所等はないのか、利用者拡大あるいは荷主が酒田港視察などの折に、良くない印象を持たないための環境整備も重要な課題であろうと思うところでございます。こうした点についての現状と今後の対策について、県土整備部長にお伺い致します。

(2)コンテナ貨物の酒田港利用促進について  (商工労働観光部長)

次に、コンテナ貨物の酒田港利用促進について、お伺い致します。酒田港の国際定期コンテナ航路につきましては、平成7年に開設以来、本県の国際物流の拠点として、海外との貿易に大きな貢献を致してまいりました。最近の取扱コンテナ貨物量の増大はめざましく、就航便数もこの6月には国際定期コンテナ航路が開設されて以来、初めて週6便となりました。大変明るい、うれしいニュースであります。酒田港の利便性が高まったことは、利用荷主の方々への大きなアピールになるものと考えるところでございます。しかしながら、県内企業の酒田港利用率は、国土交通省の「平成25年全国輸出入コンテナ貨物流動調査」によりますと23.3%と、まだまだ低く、満足できる水準ではないように思われます。県では利用荷主に対する助成制度を設け利用拡大を促進していますが、先日、ある企業経営者と、酒田港についてのお話しの中で、助成制度についてはよくわからないと申しておりました。航路の拡充や助成制度についての企業への周知が少し不足しているのではないでしょうか。今般のコンテナ貨物取扱量の増加や増便により、酒田港の注目度も大変高まってきている今こそ、県内はもとより、近隣県においても狙いを絞った効果的なポートセールスや助成制度により、利用荷主の増大につなげるチャンスではないかと考えます。 そこで、酒田港の国際定期コンテナ航路が、多くの荷主の皆様から利用され、より一層拡大するように、今後のポートセールス活動にどのように取り組んでいかれるのか、商工労働観光部長にお伺います。 

3 農業の6次産業化の促進について(農林水産部長)

次に、農業の6次産業化の促進について、お伺い致します。食料供給県として、わが国の「食」を支え、本県の基盤産業であります農業を発展させていくことは、県民の所得の向上や雇用の創出、さらには地域の活力向上をもたらすものでございます。人口減少等による国内需要の縮小や、米の生産調整が平成30年に廃止されるなど、現在、農業を取り巻く環境は大きな転換点にさしかかっております。こうした中、農産物の生産に加え、加工、流通・販売にも一体的に取り組んでいく6次産業化を進めていくことは、新たな付加価値を産み出し、これからの本県の農業の安定・発展を実現するために不可欠なことであると考えております。身近な6次産業化の例としては、県内各地で展開されている産地直売所があげられます。新鮮な農産物を手軽に購入することができることもあり、消費者からも人気のある施設となっております。農業者にとっても、流通コストの削減等により所得の向上にもつながっているという声もお聞き致します。こうした農業者自身が自らの所得向上のために主体的に取り組んでいくことを応援し発展させていくことは、大切であると認識致すところでございます。一方、農林水産省の事例集では、農家が、生産から加工品づくりまでの力や、販売力をつけ、個々の農業者が農産物の生産に加え、加工や販売までを一手に行い、徐々に発展している例が取り上げられておりますが、実際の農業の現場を見ると、現実的には労力や資金面等多くの課題を抱え、簡単には進まない場合が多いのではないでしょうか。今、地域の農業に必要とされているのは、より多くの農業者の努力が、それぞれの所得の向上や地域の活性化につながるようにしていくことだと考えます。そのためには、食品製造業など食に関わる他産業とも連携し、農産物の生産拡大や付加価値の創出に結び付けるような取組みを進めていく必要があると思います。所得の向上や地域の活性化に向けた農業の6次産業化の取組みの現状と課題、それらの今後の推進方向について農林水産部長にお伺い致します。

4 こころの医療センターの現状と課題について (病院事業管理者)

最後に、こころの医療センターの現状と課題につきまして、お伺いいたします。

老朽化が進んでおりました鶴岡病院につきましては、鶴岡市郊外の山合いの高坂地区から、月山や鳥海山、出羽山地を見渡せます市街地の茅原(ちわら)地区に移転・改築されまして、本年3月に「こころの医療センター」として開院されたところでございます。市街地に移転・改築した理由と致しましては、精神科医療がこれまでの入院医療主体から、地域保健・医療・福祉などの連携によります通院医療主体に大きく転換していること、そして、ストレスを起因とするうつ病や不登校、発達障害など子供たちの心の病、さらには高齢社会を反映した認知症など、多様化するニーズに適切に対応するためとお聞き致しております。この医療センターは、重症の精神科救急患者を集中的に治療する「精神科救急入院病棟」、子供の精神疾患への専門的治療やストレスによるうつ病などの治療に対応する「子ども・ストレスケア病棟」などが新たに整備されており、県民の精神科医療の質の向上が期待されるところでございます。開院から3ヶ月ほど経過いたしまして、今後は、整備されました新病院の機能を十分に発揮し、本県の精神科医療の基幹病院として、大きな役割を果たしていくことが求められますが、現在の運営状況とともに、今後の課題と対応について、どのようにお考えか、病院事業管理者にお伺い致します。

石黒覚予算質疑に吉ヶ沢地区の皆さん傍聴と知事表敬

6月30日(火)11時10分から、予算特別委員会で質問に立ちました。今日は地元平田北俣吉ヶ沢自治会のサロンの皆様が、傍聴に来て下さいました。お昼休みに吉村知事を表敬訪問させて頂きました。皆さん、遠路わざわざお出で下さいまして、ありがとうございました。

Posted by 石黒 覚 on 2015年6月30日

2015年3月4日今期最後の予算質疑

2015.3.4《2月定例会予算特別委員会》石黒覚質問要旨

1 教育委員会制度改革(改正地方教育行政法施行)への対応について

(1)首長の権限拡大における知事の基本的考え方について(知事)
昨年6月13日参議院本会議で可決、成立した改正地方教育行政法が、いよいよこの4月から施行されることになります。この地方教育行政法の改正が必要と議論が高まったのは、2011年大津市で起きた「いじめ自殺問題」で指摘された教育委員会の対応の遅れや隠ぺい体質、責任の曖昧さを改善することが求められたものと認識致すところでございます。当時の論調によれば、教育委員会に教育行政の最終権限がある現行の大枠は変わらず、新制度が有効に機能するかどうかは、各自治体の運用に左右されるとの見方であったと記憶いたすところでございます。
現行制度における課題の整理としましては、①教育委員長と教育長のどちらが責任者かわかりにくい ②いじめ等の問題に対して必ずしも迅速に対応できていない ③教育委員会の審議が形骸化している ④地域住民の民意が十分に反映されていない、の4点が示されています。これまで教育における政治的中立性を確保する考え方から、教育においては首長の強権が及ぶことのない制度になっておりました。この度の改正法は、こうした点において大転換を図ったものと思います。これまで首長は議会の同意を得て教育委員を任命し、教育委員長並びに教育長は教育委員会により任命されておりました。改正法では、議会の同意を得て、首長が教育長並びに教育委員を任命する権限を有することになります。また、首長が設置する総合教育会議が、教育委員会とは別に設けられます。まさに首長がトップの会議であることは言うまでもありません。この会議の事務は知事部局が行うのが基本となる方向ならば、教育委員会との権限及び役割分担は、明確なものになっていくのでしょうか。さらには、教育等の振興に関する「大綱」の策定が首長において行われることになります。この大綱に予算や条例提案等の他に教科書採択の方針や教職員の人事異動の基準等についても記されることになれば、教育行政における首長の権限は、極めて大きいものとなることは、言うまでもありません。教育は100年の体系と申します。選挙で首長が変わるたびに教育の方向が変わるような社会であってはならないと、私は考えるところでございます。我が県は教育先進地であると自負致すところでございます。その一例が、国をも牽引してきた「さんさんプラン」に象徴される少人数学級制度、最近、国においては35人から40人に戻す議論が聞かれるようですが、こうした優れた我が県の教育に関する考え方を、更に充実強化するためには、この度の改正法をどのように運用していくことが、必要と考えていらっしゃるか、吉村知事にお尋ね申し上げます。

(2)知事が定める大綱と第6次山形県教育振興計画の策定
状況及び基本的方向について(教育長)

さて、次に具体的なところで、知事が定める「大綱」と「第6次山形県教育振興計画」の策定状況及びその基本的方向について教育長にお伺い致します。先ほど、知事にお伺い致したところでも触れましたが、「大綱」に盛り込まれる予定の具体的内容は基本的にどのような方向になるのか、また策定状況はどのようになっておられるのか。また、平成27年度からの本県の教育振興に係る第6次山形県教育振興計画の策定状況及び基本的方向についてお尋ねを致したいと思います。合わせまして、これら教育に関する2つの大きな柱が、どのように整合性を持ち、どのように役割分担が行われるのか、また先に述べました4つの大きな課題解決に、どのように寄与する「大綱」「計画」にしなければならないとお考えか、教育長にお尋ねいたします。

2 「子育てするなら山形県」における妊婦健康診査
の重要性と周産期医療の充実について

(1)  早産と新生児死亡等の現状と課題について
(健康福祉部)
次に、「子育てするなら山形県」における妊婦健康診査
の重要性と周産期医療の充実について、初めに「早産と新生児死亡等の現状と課題について」健康福祉部長にお伺い致します。
県勢の発展を担い、未来を築く子育て支援・人づくりの充実を進める吉村知事が「子育てするなら山形県」を目指し、合計特殊出生率1.7を目標に掲げ、様々な施策の展開によりまして、本県の子育て環境が着実に進展していることは、大きな評価を致すところでございます。
しかしながら、昨年の8月に行われました、知事と県医師会との懇談会におきまして、県医師会渡辺常任理事、県立中央病院副院長でいらっしゃいます渡辺先生から、県医師会提出議題の一つとして「妊婦健康診査の公費負担について」提起がなされております。その中で、まず、本県の新生児死亡がこの数年で全国最下位に近いという状態が続いているとのご指摘があります。原因は調査中ということのようでございますが、妊娠22週から24週の生存限界と言われる週数の分娩が全国に比べて非常に高くなっているとのことであります。資料によりますと、新生児死亡数が極端に増えているというよりは、例えば本県が平成17年出生1000人対で1.1に対して、全国が1.4で順位は42位だったものが、平成25年本県が1.7に増えている中で、全国が1.0に減少しているという状況のようでございます。また、乳児死亡率についても同様の傾向があるようにお聞きいたしているところでございます。ちなみに、渡辺先生は、この時期の妊婦健康診査に重点的に力を入れないと、全国最下位に近い新生児死亡率を改善させるのは難しいであろうとのご指摘をされています。
この点に関する現状と課題をどのようにとらえておられるのかお伺い致したいと思います。

(2) 妊婦健診の公費負担の現状と課題について
(子育て推進部)
さて次に、妊婦健康診査の公費負担の現状と課題について、子育て推進部長にお伺いを致したいと思います。昨年8月の知事と県医師会の懇談会で渡辺先生は、本県の妊婦健康診査に対する公費負担が全国で5番目に低いという現状であるとのご指摘をされております。日本産婦人科医会は標準的な妊婦健康診査の実施時期、回数、内容を示した上で、必要な金額は平成26年度、11万7660円に設定しているとのことでございます。本県の場合は8万2790円、全国平均が9万7494円だそうでございます。ちなみに、ワースト10は神奈川県、愛媛県、東京都、兵庫県、山形県、大阪府と続き、ベスト10は岐阜県、山口県、長野県、徳島県、高知県、福島県となっているそうでございます。
一概に金額の差が原因だと言えるものではないと思いますし、私のような不勉強なものが単純な話として申し上げることではないと思いつつも、本県におきます周産期医療の第一人者でございます渡辺先生が、ご指摘されているわけでございますので、極めて重いご指摘であろうと考えるところでございます。渡辺先生を中心に致します周産期医療グループの中で、様々な事案や調査に基づくご議論が行われ、現状のままの公費負担で、20週前後の妊婦健康診査にさらに力を入れるべきと言っても、中々難しいのではないかとのご指摘でございます。
生まれてくる命を失うことの無念さを思う時、加えて先ほど知事の目指すべき方向を改めて申し上げましたとおり、合計特殊出生率1.7を目指すためには、一人でも多くの生まれてくる大切な命を守らなければなりません。
そこで、本県における妊婦健康診査公費負担の現状と課題について子育て推進部長にお伺い致したいと存じます。

3 庄内~羽田便の5便化に向けた取組みについて
(企画振興部長)

次に、庄内~羽田便の5便化に向けた取組みについて、企画振興部長にお伺い致します。
平成3年に庄内33万県民の夢と希望をのせて開港した庄内空港は、当初、羽田便1便のみの空港でありましたが、順調に増便を重ね、現在では1日4便の運航となり、いまや、東京はもとより、羽田空港を経由して庄内地域と全国、さらには海外を結ぶ極めて重要な役割を担っております。
一方、開港以来順調な増加を続けてきた利用者数は、近年は、年間35万人前後で伸び悩む傾向にあり、庄内地域の市町や経済界により構成される庄内空港利用振興協議会では
かねてから、同便の5便化などさらなる利便性の向上を要望しているところでございますが、それらはなかなか実現に至らない状況にございます。
こうした状況の中、今年度は、10年ぶりの山形デスティネーションキャンペーンの実施や加茂水族館のリニューアルオープンのほか、新たな企業進出などにより、利用者が久しぶりに大きく増加しているようでございます。1月末現在で、前年度同期比103.5%の利用となっているとお聞きいたしているところでございます。増便を実現する好機が再び到来しているのではないかと考えているものでございます。
昨年6月、吉村知事は庄内地域の首長の皆様とともに庄内~羽田便を運航する全日空本社を訪問し、同社社長に対し「利便性の高い時間帯での羽田便の通年5便化」などを要望されました。
庄内空港利用振興協議会においては、各種利用拡大事業や航空会社等に対する要望活動などに懸命に取り組んでおります。
庄内地域においては、新たな観光需要の掘り起こしによる交流人の拡大や新産業の育成による雇用創出に本格的に取り組むこととしておりますが、これらの実現にあたっては、東京や全国との交流の基盤である庄内~羽田便の通年5便化が企業関係者や観光事業者からも強く期待されているところであります。
航空会社に対し増便を強く働きかけ、庄内~羽田便の増便に向け本格的に取り組むときと考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、企画振興部長にお伺いいたします。

4 高齢者を守るための消費者教育・啓発の推進について(危機管理監)

先日、全国における振込め詐欺などの特殊詐欺の被害額が昨年1年間で約559億円に上り、過去最悪を更新したとの報道がなされました。被害額が500億円を超えたのは初めてで、高齢者が被害に遭うケースが深刻化しているとの内容であります。
これに対し、本県の被害額は昨年1年間で約1億8千万円であり、過去最悪だった平成25年に比べ、約5千万円減少したとのことであります。件数も56件から48件に減少したとのことで、警察、金融機関、県や市町村、関係機関・団体が、懸命に被害防止策に取り組んでいただいた成果であると評価しているところであります。しかしながら、依然として、県内において、オレオレ詐欺などの被害に関する報道が後を絶たないのも事実であります。
消費者が被害に遭わないためには、賢い消費者になることが必要ではないかと考えるところです。
今、私が危惧しているのは、今後高齢化がますます進み、高齢者がだまされるケースが増えてくるのではないかという点であり、何とかして高齢者を守る取組みが必要になってくるのではないか、また、高齢者自身も自ら身を守ることが必要であると考えるところです。
最近の報道でも、市役所職員をかたる還付金詐欺、不動産投資等の金融商品詐欺等の被害が報じられ、悪質業者も悪知恵を働かせ、いかに消費者をだますか、あるいは強引な手口で買わせるかについて、専門的に知恵を絞っているようにも思えます。
高齢者が増えていく中で、今後、高齢者の被害や消費生活のトラブルが益々増えることが予想されます。高齢者を守るための教育や啓発が必要であると思いますが、県としてどのような取組みを行っていくのか、危機管理監にお伺いします。

5 庄内海浜県立自然公園計画策定状況について
(環境エネルギー部)
最後に、庄内海浜県立自然公園計画策定について、環境エネルギー部長にお伺い致します。
今さら申し上げるまでもないところでございますが、自然公園における「公園計画」は、公園の保護と利用を適切に行うため、「特別保護地域」「特別地域」「普通地域」に区分けして、それに応じて規制の強弱を定めるものだと理解致しております。庄内海浜県立自然公園は、昭和23年に県立自然公園に指定されて以来、その全域が普通地域となっており、その後区分けがなされておりません。ちなみに、山形県立自然公園6か所の内、未設定記区域は庄内海浜県立自然公園のみとなっております。
平成24年3月に策定されました、第3次山形県環境基本計画において「優れた自然の風景地として指定されている自然公園内には、風力発電の適地も多いことから、その導入を促進するため、自然公園の価値を著しく損なう恐れのある地域や貴重な動植物の生息・育成に重大な影響を及ぼす恐れのある地域を除き、風力発電施設の整備に配慮すると共に、公園計画未決定の自然公園については、その早期の策定を目指します」と書かれております。
現在、県企業局と酒田市が計画する風力発電事業の環境影響評価が進められております。本事業は、吉村知事が目指します「卒原発社会実現」への大きな柱として位置付けられるものと認識致しております。これまでも多くの機会を設け説明会を開催しながら慎重に進めておられます。先日も50名を超える県民の皆様が熱心にご議論されたとお聞きいたしております。今後は、準備書、評価書段階へと進み、評価書手続きが終わると、県立自然公園条例に基づく手続きがなされていくことになります。
これらの経過を踏まえながら、私くしは、本県が目指します、再生可能エネルギーによる環境共生社会の構築のためには、今回の風力発電事業は極めて重要な事業であるとの認識を持ち、本事業を県民皆様の理解のもと、スムーズに進んでいくためにも「第3次山形県環境基本計画」に示す公園計画の早期策定が必要であると考えるところでございます。そこで、計画策定の進捗状況及び策定の時期はどのように考えておられるのか、また、今回の風力発電事業で公園内での開発の是非を問うことなく、しっかりと公園のあり方を議論すべきと考えるが、いかがでしょうか。さらには、県には、森林保全、野生生物保護などの知見が蓄積されており、専門知識を持つ職員も大勢います。事業を行う部局だけで進めるのではなく、「開発」と「保護」両面から部局を超えて、知見を結集し、知事が目指します環境とエネルギーが調和した「卒原発社会」の実現に向けて進むべきと考えるところでございますが、環境エネルギー部長にお伺い致します

平成25年10月23日 決算特別委員会質疑

平成25年10月23日 決算特別委員会質疑

1 知事一期目の成果と今後の県政運営について(知事)

県政クラブの石黒覚でございます。私からも平成24年度決算について、お伺いいたしたいと存じます。平成24年度は、吉村美栄子知事一期目最終年度でありました。

平成21年2月の知事就任以来、吉村知事が掲げられました「あったかい県政」の推進が、県民皆様方に広く浸透されましたことは言うまでもなく、千年に一度とまで言われ、本当に多くの犠牲者を出した3・11東日本大震災、福島第一原発事故後にありながらも、被災地に寄り添い、避難者を温かくお迎えし、本県のできる限りのことを機敏に実施されてきたことに、心より敬意を表するものでございます。一方で、吉村知事が掲げられました多くの公約が見事に成果として現れた4年間であったと、私は認識をいたしているところでございます。

①雇用創出、②農林水産業産出額、③つや姫ブランド化、④海外との経済交流拡大、⑤教育分野では教育山形「さんさん」プランの完全実施、私学振興、⑥子育て分野では合計特殊出生率向上、⑦医療分野ではドクターヘリの導入、⑧産業振興では有機エレクトロニクス拠点整備、先端生命科学研究所を中心にしたバイオ技術開発支援、⑨山形県エネルギー戦略の策定から、再生可能エネルギー導入実施及び支援、⑩酒田港振興、日沿道、東北中央道などの社会資本整備、挙げればきりがないほどの成果でございます。しかし、そうした中においても、行財政改革の推進もしっかりと進められました。事務事業の見直し、人件費の削減、歳入の確保、実質的な県債残高の削減など、まさに持続可能な山形県づくりにまい進されたものと存じます。

知事一期目の成果を知事はどのように捉え、今後の県政の舵取りをどのように行っていかれるのか、吉村知事の御所見をお伺いいたしたいと存じます。

2 東日本大震災の教訓を踏まえた県の取組みについて

(1) 東日本大震災関連施策の全体と財源について(総務部長)

次に、東日本大震災の教訓を踏まえた県の取組みについて、何点かお聞きしたいと思います。

平成24年度において、県は、東日本大震災への直接的な対応として、引き続き、県内避難者の支援や風評被害対策・放射線対策などに取り組まれました。また、東日本大震災で顕在化した課題への対応として、「災害に強い県土づくりの推進」を最重要政策として打ち出され、「東北全体を俯瞰した復興・山形の再生」に向けて、公共インフラ等の代替性・補完性機能の確保や被害の軽減を図る防災機能の強化など、国に対する提言を重ねながら、本県独自の取組みなどを加えて施策を展開されました。さらに、知事が提唱された「卒原発」の実現に向けて、平成24年3月に「山形県エネルギー戦略」を策定し、再生可能エネルギーの導入推進に取り組まれております。

そこで、まず、平成24年度決算におけるこれら東日本大震災関連施策に要した費用の全体について、財源面を含め、総務部長にお伺いいたします。

(2) 避難者支援の取組みについて(危機管理監)

次に、避難者支援の取組みについてお伺いいたします。本県は、東日本大震災で甚大な被害を受けた被災県の隣県として、全国で最も多く避難された方を受け入れてきました。避難された方の数は減少傾向にあるものの、現在も約7千名の方々が未だに避難生活を余儀なくされています。本県へ避難された方々は、福島県の方が多く、原発事故による放射線の健康への影響を心配して避難された方、そのなかでも、父親を残して母親と子どもだけで避難された方が多くいらっしゃいます。震災から2年半以上が経過し、避難生活が長期化しているなかで、住み慣れた家と地域を離れて避難されている方にとっては、経済的な負担や、家族が離れて暮らすことによる精神的負担が増加していることが懸念されています。また、高齢者については、慣れない土地で地域に馴染めず、孤立することも危惧されるところです。

こうした状況の中で、平成24年度において、避難者支援にどのように取り組まれたのか、また、今後、どういった点に配慮しながら避難者支援に取り組んでいかれるのか、危機管理監にお伺いいたします。

(3) 津波対策の取組みについて(危機管理監)

次に、津波対策の取組みについてお伺いいたします。

東日本大震災では、太平洋沖の巨大地震に伴う大津波により、沿岸各地に甚大な被害がもたらされました。日本海においても、これまでに大きな地震やこれに伴う津波の被害が発生しています。将来、北海道北西沖から新潟県沖にかけての日本海東縁部でも、巨大地震が発生する可能性があると考えられており、本県でも東日本大震災を教訓に巨大津波への備えを進めておかなければなりません。2万1千人を超える死者・行方不明者を出した東日本大震災にあって、岩手県釜石市の小中学校では日頃の防災教育が活かされ、小中学生のほとんどが津波から逃れることができました。「釜石の奇跡」と言われるものであります。

巨大津波から身を守るには、ハード対策だけでは限界があり、「避難」を中心とするソフト対策も合わせた総合的な対策が重要であることを東日本大震災は示したわけですが、本県における津波防災対策、なかでも、避難などのソフト対策について、昨年度はどのような取組みがなされたのか、また、今後の津波防災対策をどのように進めていかれるお考えか、危機管理監にお伺いいたします。

(4) 格子状骨格道路ネットワークの整備促進について(知事)

次に、格子状骨格道路ネットワークの整備促進についてお伺いいたします。

東日本大震災では、日本海側ルートが太平洋側ルートを代替する役割を果たす一方で、高速道路のミッシングリンクや主要国道の脆弱性が明らかになったことから、県内の格子状骨格道路ネットワーク形成の重要性が再認識されたところです。このような中、今年度、「縦軸」となる、日本海沿岸東北自動車道は、沿線市町村や地元経済界など関係する方々の長年にわたる粘り強い活動がようやく実を結び、秋田・新潟両県境区間が同時に、待ちに待った新規事業化となり、また、「酒田みなと~遊佐」間は今月14日に起工式が開催され、全線開通の目途が立ちました。さらに、東北中央自動車道は、事業化されていない秋田県境部分の3区間について計画段階評価を進めるための調査が着手されるなど、県境区間のミッシングリンク解消に向けた、まさに画期的な進展が見られました。これもひとえに、地元の熱意に加え、知事の就任以来の積極的な取組み、さらに、東日本大震災を踏まえ、強いリーダーシップを発揮された賜物と認識しております。

また、「横軸」となる、地域高規格道路についても、今年度から新たに、国道47号の「高屋(たかや)道路」、国道113号の「梨郷(りんごう)道路」において、工事が着手されるなど、着実に整備が進められているところであり、地域経済の活性化、産業や観光の振興、防災、医療など様々な分野を支える格子状骨格道路ネットワークの早期完成が期待されるところです。

格子状骨格道路ネットワークの整備について、これまでの様々な取組みの成果をどのように見ておられるのか、また、更なる促進に向けて、今後、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。

3 庄内空港における乱気流観測調査の結果について(県土整備部長)

次に、庄内空港における乱気流観測調査の結果についてお伺いいたします。

平成22年度から平成24年度までの3カ年にわたりまして、庄内空港における乱気流観測調査が行われました。県から大阪大学への委託事業として、375万3,000円×(かける)3カ年、トータルで1,125万9,000円で行われたとのことでございます。金額としてはそんなに大きなものではございませんが、庄内空港の安全性確保にとりまして、極めて重要な調査と認識しておりますので、お伺いをいたしておきたいと思います。

この調査の最終年度でありました昨年12月8日、土曜日、午後10時26分頃、庄内空港では初めてのオーバーランが発生いたしました。直後から国土交通省として、航空重大インシデントとして調査を開始、間もなく1年近くになるところであります。残念ながら、調査結果につきましては、未だに報告されていない状況でありますが、国会議員を通じて状況をお尋ねいたしてみたところでございますが、運輸安全委員会と言うところは、中間報告をしないのが慣例とのことで、ペーパー1枚の概要書を頂戴したのみでございます。最終報告は、おおむね1年後ぐらいを目標とされているところですが、それを待つしかないところでございます。オーバーラン発生後、全日空本社を訪問してお話をお聞きいたしたのでありますが、庄内空港は、特に冬季間において、パイロットの方々にとっては、非常に緊張をする空港の一つだと言われているとのことでした。私も多く利用をする中で、本当に怖い思いをしたことが何度もあったことを思い出します。

さて、3カ年にわたります庄内空港乱気流観測調査につきまして、どのような目的で、どのような調査が行われ、観測結果はどのようなものであったのか。また、本県からの委託とともに、宇宙航空研究開発機構JAXAも大阪大学と共同研究のため観測を行っていたようであります。更には、これらの観測データの集積・分析から、今後、庄内空港のような乱気流発生が危惧される空港の安全性向上に、どのような技術的進歩が期待できるのか、併せて県土整備部長にお伺いいたします。

4 農林水産業創意工夫プロジェクト支援事業の成果について(農林水産部長)

次に、農林水産業創意工夫プロジェクト支援事業の成果についてお伺いいたします。農林水産業創意工夫プロジェクト支援事業が創設されてから、今年度で5年目になります。吉村知事が、初めて知事に立候補された時のマニフェストには、「農林水産業の現場、生産者支援を強化、農業者の求める事業をメニュー方式からオーダーメイド方式に転換」すると謳っており、まさにこれを実行に移された事業と言えます。本県の基盤産業である農林水産業を再生する、生産者を元気にするという強い意思で取り組まれ、農林水産業を起点とする産出額3,000億円の達成に向け、まさに中核をなす事業であり、多くの生産者が元気づけられた事業であります。

平成24年度は、酒田飽海地区においても、新規需要米や加工用米、そばの生産拡大に向けた取組みや、地元で生産される野菜を活用した食品製造業者の取組みなどが採択されておりますが、農林漁業者等の現場起点での自由な発想による創意工夫ある取組みを支援すること、そして個人の取組みまで支援対象とするなど、生産者の意欲を引き出しながら、農林水産業の活性化や雇用の創出が図られているものと考えております。

本事業は、生産者や市町村、農業団体等の期待も大きく、本県農林水産業の発展のためには、今後とも是非継続すべきものと考えておりますが、平成24年度の応募状況や事業の実績とその評価、今後の事業の方向性について、農林水産部長にお伺いいたします。

5 教育の振興について(教育長)

(1) 教育山形「さんさん」プランの検証について

次に、平成23年度に中学校3年生まで完全実施されました、教育山形「さんさん」プランにつきましてお伺いいたします。高橋和雄元知事が、全国に先駆けて教育県山形の象徴的取組みとして、平成14年度に小学校1年生から3年生までにおける少人数学級編制を導入されましてから10年、紆余曲折を経ながら完全実施されたことの意義はとても深いものがあると存じます。

9月定例会におきましても、「全国学力・学習状況調査」との関係等様々な角度から「さんさん」プランについて御議論がございました。もちろん、学力向上は、少人数学級編制の実施においての大きな目的の一つであります。しかしながら、子供たちを取り巻く環境が、極めて急速に変化をする現代、子供たちの「生きる力」をしっかりと育てる、一人一人の個性を大切に育てる、不登校やいじめのない学校づくりを進める、教師自ら研鑚を積み教師力の向上に資するなど、多方面にわたる目的達成のためのシステムを10年かけて作り上げてきた訳であります。今後は、これまでの成果と課題を踏まえながら、より「さんさん」プランを充実したものにしていく必要があると考えます。

県教育委員会では、平成23年度、24年度と、外部有識者を交えた「再構築会議」を設置し、総合的な検証作業を行ってきたとのことですが、その結果について教育長にお伺いいたします。また、今後も、「さんさん」プランの効果がどのように現れているかの検証を常に行っていく必要があると思いますが、「さんさん」プランをより良いものとしていくための今後の取組みについて、教育長の御所見をお伺いいたします。

(2) 県立酒田光陵高校開学1年目の評価について

最後に、県立酒田光陵高校開学1年目の評価について、お伺いいたします。今更申し上げるまでもないところではございますが、昨年4月、酒田市内の県立・市立の4校の統合により県立酒田光陵高校が誕生しました。公立高校としては東北・北海道最大のマンモス校として新たな歴史を刻み始めたところでございます。誠に残念ではございますが、今年8月、校舎4階から生徒が転落するという悲しい事故が発生してしまいました。しかし、奇跡的に一命を取り留め、しっかりと回復に向かっているとお聞きしており、安堵しているところでございます。先日、酒田光陵高校を訪問させていただきましたが、行き交う生徒の皆さんも、本当に元気に挨拶をしてくださり、学校内も落ち着いている様子に、ほっといたしたところでございます。

さて、現在、県内各地で高校再編が進む中におきまして、酒田光陵高校の開学は、今後の高校再編にも様々な教訓を残しているものと考えます。通学路として使用している県道の狭隘さが心配された訳ですが、交通事故などの報告もないものと思いますし、保護者の送迎車のトラブルもないと聞いております。校舎の工事関係につきましては、先日お邪魔した時点で、とても広い自転車置き場が完成するとほぼ終了とのことでした。マンモス校ゆえに校舎の中には先生たちの目が届きにくい個所なども、少しあるとの御指摘もPTAの方々からお聞きをいたしております。何よりも、生徒の皆様方が、楽しく勉学やスポーツ、文化活動に打ち込める学校環境が整っていることが重要であると考えます。

教職員の皆様方の状況なども含めて、酒田光陵高校開学1年目の評価について、教育長にお伺いいたします。