9月定例会代表質問要旨
県政クラブの石黒覚でございます。平成30年9月定例会に当たりまして、県政クラブを代表致しまして、ご質問申し上げたいと存じます。
近年、我が国はもちろん、世界的な気候変動による大災害、巨大地震や火山の爆発など等、想定外という言葉が当たり前のように発せられる災害が、頻繁に発生する状況にあります。今年は、本県はもとより、各地で大雪による災害から始まり、記憶にないほどの猛暑、地震、噴火、台風、豪雨、あらゆる災害が人々の暮らしを脅かしております。こうした大災害により犠牲となられた多くの方々のご冥福をお祈り申し上げますと共に、避難生活を余儀なくされておられます多くの皆様方に、改めましてお見舞いを申し上げる次第でございます。本県におきましても、8月の初旬と下旬の豪雨災害、度重なる台風による農作物への被害など、県民生活にも極めて重大な影響が出ております。今9月定例会には、こうした災害へ迅速な対応を進めるための補正予算等が提案されております。一日も早い災害復旧を目指すと共に、県民の命と財産を守るために必要な、あらゆることを想定した施策の方向について、議論を深めることが急務であることを肝に銘じながら、質問に入らせて頂きます。
1 本県の国際戦略について(知事)
はじめに、本県の国際戦略についてお伺い致します。
本県では、平成22年度に「山形県国際経済戦略」と「山形県における国際化推進の方向性」という二つの計画を策定し、海外事業の展開、県産品の輸出振興、国際観光の振興、国際交流・協力の推進、県民の国際理解の促進、在住外国人の支援等を進めてきました。この二つの計画が平成26年度で終了することから、その推進状況を踏まえ、これまでの二つの計画を一本化して新たに「山形県国際戦略」が策定されました。この戦略では、国際交流から経済交流への発展、海外取引や海外からの観光誘客を担うグローバル人材の育成、食の輸出と観光誘客との連携など、国際交流、経済交流、観光交流の一体的な推進を図ることとしております。
計画では最終年度である平成31年度の目標値として、海外取引県内企業数240社、県産品輸出定番化品目数150件、外国人観光客県内受入数260,000人、同宿泊者数180,000人とするなど、その数値の達成に向け取組みを進めております。
このような中、最近の本県における海外での事業展開を見ますと、吉村知事のトップセールスを起点に、積極的に取り組んできた結果、特にインバウンドを中心として観光交流の拡大にも結び付いてきたところでございます。
外航クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号酒田港入港時には、酒田市の高校生たちの「おもてなし」の大活躍もありました。一方で、先日の宮城山形議員交流議連での分科会議論では、仙台空港民営化以降の本県との連携を含めたチーム東北としての連携、仙台空港に降り立つ外国人旅行者は、県境を越えて広域で周遊する現状から、更なる面的対応の重要性が指摘されました。また、去る8月24日から「友好県・省締結25周年記念式典」出席をメインに中国黒竜江省ハルビンを訪問させて頂きました。その際に吉村知事、小野副議長のご挨拶に応えて、王省長さん、範人民大会常務委員会副主任から、両国の地方政府同士や民間主体の交流の重要性が強調されました。更に王省長は中国の高齢化に触れられて、山形県が持つ高齢化社会に対する先進的ノウハウについて指導願いたいとの言葉もありました。また、現地では高級デパートから観光、芸術、教育などの広い分野の事業を展開する会社代表などに「やまがた特命観光・つや姫大使」の委嘱も行われたところです。現在、海外との交流を取り巻く環境は、これまで以上のスピードで進展しているものと考えます。
「山形県国際戦略」に掲げる目標の達成に向けて、「やまがた特命観光・つや姫大使」の活用も含め国際戦略を今後どのように進めていくのか、知事にお伺い申し上げます。
2 情報公開・提供の検証、見直しについて(総務部長)
次に、情報公開・提供の検証、見直しについてお伺い致します。
行政ニーズの多様化・高度化、情報通信技術(ICT)の発達・普及、個人情報保護への県民の意識の変化など、社会情勢は急速に変化致しております。このような中で、行政資料・情報の迅速かつ適切な公開・公表の推進により説明責任を果たし、行政の透明性を確保することは一層大切になっているものと考えます。
これまで、県は、情報公開条例や個人情報保護条例などに基づき、情報公開の推進や制度の適正な運用により、情報公開・提供全般にわたりまして、県民の期待に応える信頼性の高い県政運営に努めてこられたものと考えます。
一方で、国においては、森友問題・加計学園問題に端を発した公文書問題、労働法制改正等に伴う調査データ改ざん問題等などにより、行政への信頼が損なわれるという事態が生じたことは、記憶に新しいところでございます。再発防止に向けまして、7月に、政府の行政文書の管理の在り方等に関する閣僚会議が「公文書の適正の確保のための取組みについて」を取りまとめ、文書管理のPDCAサイクルの確立、政府全体での共通・一貫した文書管理のもと実務を根底から立て直すことなどが示されたと認識致しております。
こうした中、昨年度から議論が続けられて参りました、情報公開・提供の検証、見直し第三者委員会(通称:見える化委員会)による最終報告(案)がとりまとめられました。 11テーマについて多岐にわたる議論が重ねられており、その中には、極めて重要な視点が示されていると考えております。
例えば、文書管理では、公文書が県民共有の知的財産であることから、文書管理規程よりもさらに上位のルールが必要ではないか、あるいは、公文書の改ざんを防止する対策が急務ではないか、などでございます。
また、歴史公文書の保存におきましては、所蔵する歴史公文書の充実を図ることが示されておりますが、この点で私は、現在、西村山地域振興局にあります「公文書センター」の機能強化・拡充が必要ではないかと、考えるところでございます。
更には、事故や事件、災害が発生した場合における公表について、県として統一的な取り扱いが必要ではないか、オープンデータなどの推進が必要ではないかなど、見直しに向けた、極めて重要な視点が含まれているものと認識致すところでございます。
このような点を含め、見える化委員会の最終報告を受けて、今後県としてどのように対応していかれるのか、総務部長にお伺い致します。
3 今後の防災・減災対策について(危機管理監)
次に、今後の防災・減災対策についてお伺い致します。
本年、平成30年は平成最後の年になります。今年の冬は、本県大蔵村肘折で445cmの積雪を観測する大雪で、各地で「観測史上最大の積雪」という言葉が飛び交いました。本県では、死者が16名、重傷者が90名、軽傷者が63名という事態になりました。4月には、大分県中津市で大規模な土砂災害で6名がなくなりました。また、島根県西部で震度5強の地震発生。5月には、長野県北部で震度5強の地震。6月には、大阪府北部で震度6弱の地震。7月には西日本豪雨災害、8月初旬には、本県を含む豪雨災害、8月の下旬には、再び本県を含む豪雨災害。また巨大化した台風が大きな原因の一つで、これまで経験したことのない高潮によって、関西空港が大災害に見舞われましたことは、記憶に新しいところであります。そして先日、震度7の巨大地震である北海道胆振東部地震が発生しました。他にも、草津白根山、口永良部島、霧島山、吾妻山などの火山活動など等、今年1年終わらない中での、大災害がいつどこで、どのような災害が発生したのか、整理すらつかないままに、次から次へと「想定外」の大災害に見舞われる、安心して生活をおくることが困難な時代に、憂いを隠せません。
千年に一度と言われた東日本大震災から7年半が経過致し、その後も続く様々な大災害に、どのように対応していくのか、「国、県、市町村行政の果たす役割の新たな構築」が急務であります。一方で、国民、県民一人一人が、自らの命を守るための「防災・減災意識の啓発」や地域防災組織の確立、災害発生時の避難所運営や被災者支援の中核となる「防災士」の育成など等、あげればきりがないほど喫緊の課題が山積しています。
このような状況の中で、次々に発生する「想定外」の大災害から何を学び、県の地域防災計画に反映させていくのか、危機管理監にお伺いします。
また、被害を最小限にとどめる「減災」対策についても、「想定外」の大規模災害を教訓として改めて考えていくことが必要となってくることから、我々県民一人ひとりが自らの生命、身体を守るための防災意識の更なる醸成の取組みや、35市町村におられる防災士の方々と協働し、地域防災力を高めていく取組みについて、今後、どのように進めていかれるのか、併せて危機管理監にお伺い致します。
4 本県における水道・下水道の広域化について
(1) 水道事業の広域化の取組みについて(危機管理監)
次に、本県における水道・下水道の広域化についてお伺い致します。まず、水道事業の広域化の取組みについてお伺い致します。
水道事業の広域化につきましては、私も何度かお尋ねを申し上げ先の6月定例会では松田議員が一般質問しておりました。
今年3月に策定されました「山形県水道ビジョン」では、「人口減少等の課題に対応しながら、県民へ安全で安心な水を安定的に届け続ける山形の水道」と示されているように、命の源であります「水」を供給するのは事業者の使命であるところは言うまでもないところでございます。一つだけ、付け加えるとすれば県民の皆様方からご負担を頂く「水道料金」をできるだけ低価格でお届けすることも、極めて重要な使命であろうと考えます。水道ビジョンの中で示されている、本県の供給単価の推移予測によりますと、2021年以降、急激な右肩上がりの角度で上昇し、約20年後の2040年には1.67倍になるとの数字が示されております。しかしながら、変動の激しい現代社会を考えますと、気候変動や経済状況等様々な要因の中で、その数字がもっと大きくならないとも言い切れないと心配になるところでございます。
現に、庄内地区の鶴岡市、酒田市、庄内町が試算したところによれば、庄内町においては1.84倍、鶴岡市においては1.7倍、一番緩やかな酒田市でも1.5倍近くになる予測なのでございます。また、庄内町・鶴岡市 (三川町含む)・酒田市の給水収益は、平成22年度の6,639百万円から、平成28年度には6,056百万円と、6年間で庄内町の年間給水収益であります5億円を大きく上回る減少幅となっております。
こうした中、国におきましては、水道法の一部を改正する法律(案)が、先の通常国会に提案されました。この中で改正案の趣旨を「人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の直面する課題に対応し、水道の基盤の強化を図るため、所要の措置を講ずる」と説明したうえで、責務の明確化として、都道府県は水道事業者又は水道用水供給事業者の間の広域的な連携を推進するよう努めなければならないとしています。
本県の水道ビジョンでは、この法案を見据え「経営基盤を強化する有効手段として広域連携を検討」することを明記致しております。また、先の松田議員の質問には、県内の事業者を対象に研修会を開催し、全国の広域連携の動向や県内の先行事例を研修することや、県内4地域に市町村等の各水道事業者と県企業局等で構成する広域連携検討会の設置を進めると答弁されております。
広域化のメリットの一つとしては、広域化する事業を対象とする国の施設整備補助金の活用が挙げられます。この補助金は、5年以内の広域化が事業採択の条件とお聞き致しております。しかし、この補助金は平成41年度までとされており、早急に広域化の方向性を定めていく必要があると考えます。
しかしながら、県内4地域の水道事業には、それぞれ異なる背景があり、スタートラインに同時についたとしても、同一スピードで実施できるとは限りませんし、地域によって捉える広域化の具体的な姿は違ってくると思います。
庄内地域は、いわゆる平成の大合併が本県で唯一進んだ地域であり、水道事業の広域化についても先駆けて議論を進めてきたと認識致しております。庄内地域では、庄内2市1町が水道事業を統合する、いわゆる「水平統合」、さらには水道用水供給事業と庄内2市1町が統合する、いわゆる「垂直統合」を視野に入れております。
このような動きの中、今後は全県的に広域化に向けた議論が活発化してくると考えられますが、県内における水道事業の広域化の取組みについて、危機管理監に考えをお伺い致します。
(2) 下水道事業の広域化の取組みついて
(県土整備部長)
次に、水道事業の広域化と合わせて、表裏一体であります下水道事業の広域化について、お伺い致します。
平成28年3月に策定されました「第三次山形県生活排水処理施設整備基本構想」によりますと、平成26年末時点の普及率は約90%で全国15位、東北1位となっています。県民生活の向上を目指して、県並びに市町村が全国に先駆けた取組みを展開してきた賜物と大きな評価を致すところでございます。また、基本構想には平成37年度の普及率の目標として、96%を目指すことが示されております。県民生活の向上には大切な施策であります。
一方で、整備から長い年月が経過致した所の老朽化の進行も避けられない現状であろうと考えます。基本構想には、「既存施設の効率的な更新と運営管理」につきまして、①施設の統廃合と接続 ②長寿命化などに関する計画の策定が示されております。施設の統廃合では、農集排の統廃合、農集排を下水道へ接続、下水道を農集排へ接続、公共下水道を流域下水道へ接続など、様々な広域化の方式と市町村、地区が示され、接続等完了目標時期なども記載されているようでございます。
このような中におきまして、例えば、私の居住いたします酒田市平田地域は、合併以前の旧平田町時代に、まさに全国の農村地域に先駆けて、農業集落排水事業に積極的に取り組んだ先進地として、一時期全国的に注目された記憶がございます。旧酒田市は市街地が下水道、周辺農村部は農集排、松山地域と八幡地域は下水道と農集排、さらに中山間地域は合併浄化槽と、経過を振り返れば無駄とは言えないまでも、やはり合理的な広域化による処理・維持管理費の軽減が急務であることは、論を俟たないところではないかと考えます。
また、市町村域を超えた広域化と致しましては、県が運営している「流域下水道」があります。この流域下水道に市町村の公共下水道をつなぐという広域化も、県民の負担軽減につながるのではないかと考えるところでございます。このように、下水道の広域化を進める取組みは、実に様々な方法が考えられるところでございます。
そうした中、国におきましては、本年1月に国土交通省、総務省、農林水産省、環境省の4省が、各都道府県に対しまして、2022年度までに「広域化・共同化計画の策定」を行うように要請されたと伺っております。
合わせまして、効率的な運営管理のためには、自らの経営や資産の状況を正確に把握することが必要であり、国におきましては、県が管理する流域下水道及び人口3万人以上の市町村が管理する公共下水道に対して、2020年度までに公営企業会計へ移行するよう求めていると伺っております。
このような点に対する本県の対応の現状と今後の取組みについて、県土整備部長にお伺い致します。
5 本県における農福連携の取組みの現状と課題について
(健康福祉部長)
次に、本県における農福連携の取組みの現状と課題についてお伺い致します。
本県では、平成28年4月に「山形県障がいのある人もない人も共に生きる社会づくり条例」が施行されました。条例の前文に「全ての人は、基本的人権を享有するかけがえのない個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有しており、障がいの有無にかかわらず、誰もが互いにその人格と個性を尊重し、支え合いながら共に生きる社会こそ、私たちが目指す社会である」とうたわれ、第16条の雇用及び就労の支援では、「県は、障がい者の職業選択の自由を尊重しつつ、障がい者がその能力に適合する職業に従事することができるようにするため、障がい者の多様な就労の機会を確保するよう努める」とあります。
国におきましては、近年、人口減少や高齢化進行の中で、福祉分野と農業分野が連携した「農福連携」の取組みが各地で盛んになっていることを受けて、平成28年6月の閣議決定で「日本再興戦略」の中に「農福連携の推進」が盛り込まれました。
こうした点を踏まえまして、今年3月には、香川県と愛媛県の先進事例を調査、8月には北海道北広島市の調査をさせて頂きました。いずれの取組みでも共通している点は、①福祉と農業をマッチングさせるコーディネーター体制がしっかりと構築されている点、②農業側への障がい者ができる仕事はたくさんあることの理解促進活動が充実している点、③自ら農業経営を行う障がい者施設でも、農家等に通うスタイルの障がい者施設いずれにおいても、補助金頼みではなく障がい者が自立できる賃金を確保するという基本的考え方のもとに実践されている点、④太陽の下で働く農業が持つ大きな役割を障がい者自身が、生きがいを感じて楽しく気持ちよく仕事をして、貢献していることを実感している点であると教えて頂きました。
本県におきましては、平成28年度後半から農林業分野での障がい者就労モデル事業に取組み、今年度から健康福祉部にコーディネーターを1名配置して遅ればせながら本格的なプロジェクトがスタート致しました。スタートから約6ヶ月が経過しますが、この間の取組み状況と、その状況を踏まえ、今後どのように体制を整備し、事業を展開させていくのか健康福祉部長にお伺い致します。
6 自殺対策の今後の施策展開について(健康福祉部長)
次に、自殺対策の今後の施策展開について、お伺い致します。
国におきましては、平成18年に自殺対策基本法が制定されました。それ以前は「自殺はあくまで個人の問題」とされてきところでありましたが、法律制定以降におきましては、「自殺は社会の問題」という認識が広まったことは言うまでもないところでございます。私自身、酒田市議会、山形県議会に議席をお預かりする中で、幾度となくご議論させて頂いているところでございます。
今月9月6日に「妊産婦102人自殺 産後うつ一因か」という山形新聞の記事に目が留まり「自殺は社会の問題」という認識を新たにいたしたところでございます。全国で2015年~16年の2年間に102人の女性が妊娠中から産後にかけて自殺しており、妊産婦死亡の原因の中で最も多いとの調査結果を、国立成育医療研究センターなどのチームが明らかにしたという内容でした。
平成28年4月には改正自殺対策基本法が施行され、「自殺対策を総合的に推進して、自殺の防止を図り、あわせて自殺者の親族等の支援の充実を図り、もって国民が健康で生きがいを持って暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする」とうたわれております。また、改正法においては、政府は、「自殺総合対策大綱」を、都道府県は、「自殺対策計画」を、市町村は、大綱及び都道府県の計画並びに地域の実情を勘案して、「自殺対策計画」を定めるとされております。
こうした中、本県におきましては、本年3月に「いのち支える山形県自殺対策計画」を策定し、平成30年度から平成34年度までの5年間の目標値を示しながら、自殺対策の強化をスタートさせたところでございます。
自殺対策とは直接結びつくかは別ですが、先日佐賀県のNPOスチューデント・サポート・フェイス、略称S.S.Fという団体を訪問し、都道府県単位で全国初の「子ども・若者育成支援推進法に基づく協議会」が設置され、佐賀県から県内唯一の指定支援機関の指定を受け、各施策の連動性を高めるために、民間側がハブ機能を果たしている、極めて先進的な事例を研修させて頂きました。子供・若者育成に係る県・市町村の施策14事業の窓口をS.S.Fに一本化して、相談に来る子供や若者に必要な体制を整える、さらには一度二度の相談に留まらず、訪問支援など長期にわたるサポート体制を構築する、画期的な取組みでした。
自殺に追い込まれてしまう方々にとりましては、相談窓口までの距離も決して近いものではないように思います。相談窓口の在り方や、一人ひとり違う悩みを抱える県民にどう寄り添い、自殺対策を強化していかれるのか、健康福祉部長にお伺い致します。
7 産業技術短期大学校庄内校の活性化について
(商工労働部長)
最後に、産業技術短期大学校庄内校の活性化についてお伺い致します。
9月10日に開催されました「山形県議会議員と鶴岡東高等学校生徒との意見交換会」に出席の機会を賜りました。この会で生徒さんから、若い皆様方のしなやかな発想と新しい時代を切り拓いていく、たくさんの意見が出されました。その中の一つに、進学を目指す立場からとの意見として、山形県内にある大学、短大、専門学校等の高等教育機関の魅力アップが必要であり、そのことを実現すれば県内進学者がもっと増えるだろうという意見でした。まさにその通りであると同時に、高校三年生の彼らにとっては、県内の大学や短大、専門学校などが、まだまだ魅力不足という指摘であります。是非、皆さんにとっての魅力的な大学、短大、専門学校はどのようなものかを、提案して頂きたいとお願い致しました。その際に、県立産業技術短期大学校があることを付け加えましたが、庄内校が酒田にあることを知らない生徒がたくさんいたのです。そのことは単にPR不足と片付けるわけにはいかないのではないかと考えました。
例えば、平成9年4月に開校以来22年間、制御機械科、電子情報科、国際経営科の3学科とも20名の定員に対して、充足率100%を満たした年度は平成9年度、平成10年度、平成21年度の3年度に止まっています。それでも平成11年度から平成20年度までは、平均90%位は確保していましたが、開校当時の庄内地域の高校卒業者数4000名強から、平成29年度には2500名弱に減少していることや、雇用情勢の改善による影響などで、平成22年度以降急激に落ち込み、今年度は残念ながら45%になっているのが現状でございます。
現在政府は、地方大学の教育・研究環境の底上げを図るとともに、東京に集中する私立大学などの地方移転も促し、大学生の「東京一極集中」を解消するなどの狙いから、東京を中心にした大学の定員据え置きや公立高校を核として自治体や地元の大学、経済界が連携して地域振興に関する実践的な授業を展開するモデル事業を来年度から実施する方針を示しています。
こうした状況の中で、本県唯一の国際貿易港酒田港を有する酒田市に開校されている「県立産業技術短期大学校庄内校」が担うべき役割は、むしろ拡大しているものと考えます。一方で、産業技術短期大学校本校では、土木エンジニアリング科新設などによって、活気ある運営がなされていることは言うまでもないところでございます。
鶴岡東高校の生徒さんが述べられた、県内の大学、短大、専門学校の魅力アップこそが、本県の未来を拓くカギであることは、間違いないと確信いたすところでございます。
そこで、県立産業技術短期大学校庄内校の担うべき役割と、魅力向上による定員確保など庄内校の活性化に向けた取組みについて、商工労働部長にお伺い致します。
2017年2月定例議会代表質問
《質問要旨》
県政クラブの石黒覚でございます。県政クラブを代表いたしまして、平成29年2月定例会の代表質問を申し上げさせて頂きます。
吉村美栄子知事におかれましては、3期目のご当選を果たされましたこと、改めまして衷心よりお祝いを申し上げる次第でございます。2期連続の無投票当選は、全国で戦後3人目ということでございます。吉村知事が2期8年間に進めた「心の通う温かい県政」が、県民皆様に深く浸透し、その施策が県民皆様の幸せに、着実に繋がっている証と言うことだと思います。また、全国に3名しかいらっしゃらない女性知事の一人として、「チャレンジ やまがた創生!!」を旗頭に、日本の未来を地方から、山形から切り拓いていかれますことを、ご期待申し上げるものでございます。
また、細谷副知事におかれましては、この度ご勇退されますが、吉村県政がステップアップする2期目を、まさに全身全霊を傾注されまして、お支え下さったご功績に、県民の一人として心よりの敬意と御礼を申し上げる次第でございます。
さて、吉村知事におかれましては、3期目の選挙に向かうにあたりまして、2期8年の取り組みを総括する中で、5つのチャレンジという公約を発表されました。そして、それを土台にこの度、3期目のスタートに当たりまして、「自然と文明が調和した『新理想郷山形』」の実現に向けて、「平成29年度県政運営の基本的考え方」の7本の柱に沿った、平成29年度予算を提案されました。その予算には人口減少社会の中で、我が山形県が未来に向けてしっかりと発展するために、果敢に挑戦する吉村知事の最も基本的な政治姿勢が表れているものと思います。現場がより活発に動きやすくなるための考えに基づいているというところが際立った、大型事業進展により前年度マイナスながらも、新規事業が目白押しの極めて積極的な予算であると大いに評価致すものでございます。
さて、そのことを踏まえたうえで、吉村知事3期目の県政運営の方向性について、順次ご質問を申し上げたいと存じます。
1 非正規雇用労働者の正社員化・所得向上について(知事)
近年、我が国における非正規雇用労働者の増大は、人口減少社会進展に拍車をかける大きな原因となっていることは、言うまでもありません。今世紀の初頭、小泉構造改革によって「官から民へ」、「中央から地方へ」の掛け声のもと、行き過ぎた規制緩和が進み、その大きな負の遺産として、結婚して子供を育てたいと思っても、非正規雇用労働者という不安定かつ生活困難な年収により、そうした夢や希望すら奪われた世代が、今の若者世代であります。政府も働き方改革と称して、掛け声だけは聞こえてくるようでありますが、その具体的政策が中々見えてこない現状にあります。
例えば、一つ例を挙げさせて頂きますと、私がよく知る若者が、高校を卒業すると非正規雇用の典型というべき派遣会社に籍を置き、派遣社員としていくつかの職場を経験しながら仕事をしていました。賃金が安いことは言うまでもありません。しかし、経験を重ねていくにつれて、自分がしている仕事がどの程度社会に役立っているのだろうか、と疑問を感じはじめ、職種はそんなにこだわらないけれど、自分の仕事が社会の中で必要とされ、多くの人々に喜ばれているという実感がなく面白くないと父親に話をしたことを、友人であるその父親から聞いたことがあります。そう思うきっかけが、結婚を考える彼女と付き合い始めた頃と重なるのです。人は、社会的に必要とされる仕事を、責任を果たせる立場で、家族を養うために働きたいと考えることは、当たり前過ぎることだと思います。それがかなわない社会だとすれば、正常ではない社会と言わざるを得ません。
そうした中でこの度、吉村知事3期目の大きな目玉施策と言っても過言ではない「非正規雇用労働者の正社員化・所得向上を総合的に支援」する施策は、まさに地方創生を自ら進める極めて時宜を得た施策であると、大いに評価致すものでございます。国に先駆けて踏み出し、全国初となる「非正規雇用労働者の正社員化・所得向上を総合的に支援」する具体的内容について、吉村知事のお考えをお伺い致します。
2 若い世代の結婚、子育ての希望実現について(知事)
次に、吉村知事は、平成21年知事就任以来、一貫して「心の通う温かい県政」を基本に、その着実な歩みを進めておられます。そのことがまさに「郷土愛を育み未来を築く子育て支援・多彩に活躍する人づくり」に貫かれているものと思います。
これまでの2期8年間の施策推進によりまして「子育てするなら山形県」も大いに進展していると実感しております。そうした中で3期目においては、人口減少社会に果敢に挑む大きな施策として、「出会い・結婚・出産・子育ての希望の実現」に向けた施策展開により「子育ての負担軽減」に大きく踏み出す幅広い視点での具体的な施策の予算化がなされております。特にこの度の予算では、「出会い・結婚への支援」「妊娠・出産期の支援」「子育て家庭への経済的支援」「仕事と家庭両立への支援」など、まさにきめ細かな切れ目のない施策展開になるものと期待致すものでございます。
こうした状況を踏まえまして、吉村知事は、「やまがた創生」の実現に向け、来年度の県政運営の柱の1つとして「郷土愛をはぐくみ未来を築く子育て支援・多彩に活躍する人づくり」を掲げ、力強く施策展開されていこうとしているわけでありますが、人口減少社会にあって様々な課題がある中、今後、若者の出会い・結婚・出産・子育ての希望の実現についてどのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。
3 「やまがたウーマノミクス」の推進について(子育て推進部長)
次に、「やまがたウーマノミクス」の推進についてお伺い致します。
私も若い子育て世代の頃、残業で帰宅が夜中になることが当たり前の時代がありました。そうした生活の中で、子育てする妻の大変さをわかったふりをして、深夜のミルクやおしめの取り換えを受け持ったことがあります。そのことが妻の家事労働を、相当助けているものと勘違いして威張っていたことを思い出します。最近、男性が家事労働に協力する風潮は広がりつつあるようですが、家事労働の1割や2割も担っていると勘違いしている男性が多いことを指摘した話を聞いたときは驚きました。一般的に食事の支度や、掃除洗濯を週に一、二度手伝う程度では家事労働の1%にも満たないということでした。女性が活躍する社会を目指すためには、こうした男性側の認識を新たにすること、取り分け、企業の経営者や管理職の深い認識が自分の身に置き換えてみても、極めて重要なことだと考えるところでございます。
本県においては、「自然と文明が調和した『新理想郷山形』」の実現を目指し、「やまがたウーマノミクス推進」が、特に力を注ぐ取組みとして位置づけられております。女性の活躍を推進するためには、①企業トップの意識改革が必要、②男性の家事・育児・介護等への参画意識改革、③女性自身の働き方への意識改革・能力向上などが必要であると指摘されたと思います。そうした点を踏まえ、これまで取り組まれた事業の状況と成果についてお伺いします。
また、それを踏まえ平成29年度予算において具体的にどのような施策展開を図られるのか、子育て推進部長にお伺い致します。
4 医療現場におけるICT活用について(健康福祉部長)
次に、県民皆様のいのちと暮らしを守る施策の中で、重粒子線治療装置整備への支援を含むがん対策が大きく施策展開されるようでございます。一方「安心して健康で長生きできる社会の実現」を目指す公約の中に「脳卒中や心疾患等の急性期医療の充実による生存率向上」を図るというものがございます。
先日、東京の私立医大を訪ね、まさにこの吉村知事が目指します脳卒中・心疾患等から命を守り生存率を上げるために、ICTを活用したシステムの実用化を目指している現場を見てまいりました。私自身も脳のMRIを初体験させて頂きまして、脳内の末端毛細血管に脳卒中発生個所がかなりあることが判明しました。60歳を超えるとこのくらいは心配ないでしょう、とは言われましたが、小心者の私にとっては極めて重大な状況が明らかになったところでございます。合わせて血液検査も行って頂きました。このシステムの驚くところは、こうした診察の結果が、即座に自分のスマートフォンに表示されるのであります。もちろん病院内のシステムにより、多くの関係先生方が情報を共有することができ、主治医の先生が外国出張時でも、患者さんの変化をタイムリーに捉えることが可能とのことでした。さらには、こうしたシステムの開発が進むことにより、将来的には、消防救急隊との連動により、システムに登録された患者が急変して救急搬送という場面では、スマートフォンの情報から、瞬時に必要な医療手当を向かう病院に連絡することによって、病院到着と同時に専門医の治療が可能となり、生存率を飛躍的にアップさせることが期待できるとのことでございました。今後、こうした患者個人と主治医、病院、消防署、福祉施設などを含めた医療現場において先進的医療ICT導入の必要性を痛感致したところでございます。ちなみにこのシステムは国内の株式会社アルムというIT企業が開発したソフトでございまして、アメリカでは既に消防救急隊を含む運用が始まっているとのことであり、静岡県では富士山登山者での実証実験、和歌山県や長岡市でも研究中のようであります。
本県でも、医療現場におけるICTの活用が進んできている状況にあると思いますが、吉村知事の公約実現に向けて、最先端技術の導入による急性期医療の充実が必要であると考えます。
本県医療現場におけるICT活用の現状について、また、今後の急性期医療充実に向けてICTの活用をどのように進めていくお考えか健康福祉部長にお伺い致します。
5 中小企業スーパートータルサポ補助金について
(商工労働観光部長)
次に、吉村知事がめざす「自然と文明が調和した『新理想郷山形』の実現」におけるもう一つの大きな課題があります。本県の企業の99%は中小企業であり、中小企業が本県の経済や雇用を下支えしております。このような重要な役割を担っている中小企業の育成に向け、「新たな価値の創造・拡大・発信による活力ある産業の集積」を目指す施策の要ともいうべき「中小企業スーパートータルサポ補助金」についてお伺い致します。
全国的に経済は回復基調と言われております。本県の中小企業・小規模事業者についても、売上げの拡大、事業の持続的発展に取り組んでいくなど、機を逃さずに歩みを進めていくべきと考えます。
これまでも、国の「ものづくり補助金」を補完しながら一体的に運用する全国的にみても先進的な取組みである「中小企業トータルサポート補助金」を活用した中小企業振興施策が展開されていたものと認識を致しております。この「中小企業トータルサポート補助金」は、平成26年度に創設され、研究開発から設備投資、販路開拓まできめ細かくニーズに応える事業で、優れた技術を有する県内企業の取組み意欲の向上にも貢献しています。中でも、設備投資支援においては、これまで受けることができなかったような仕事も受けることができるようになったといった現場の喜びの声も寄せられていると聞いております。大変好評な事業であると思いますが、こうした取組みが、優れた発想や技術を持ちながらも、資金や設備などの経営資源に制約のある中小企業の新たなチャレンジをどのように後押ししてきたのか、また、人口減少による市場の縮小や国内産業の空洞化を招く急激なグローバル化が進展する中で、県民の生活に身近な存在である本県中小企業・小規模事業者が将来に渡り発展し続けるためには何が必要なのかなど、これまでの施策展開の実績、成果を踏まえて、平成29年度予算に盛り込まれた6億5千万円の「中小企業スーパートータルサポ補助金」により、具体的にどのような支援を行っていくお考えなのか、商工労働観光部長にお伺い致します。
6 県産品の販路拡大に向けた連携協定締結を契機とした農産物の輸出拡大について(農林水産部長)
次に、昨年12月9日に、ヤマト運輸株式会社と株式会社ANA総合研究所そして本県が、山形県産品の販路拡大に向けた連携協定を締結しました。本協定は、3者が相互に緊密に連携し、それぞれの資源を有効に活用した活動を推進することにより、山形県産品の販路拡大を図り、以って地域経済の活性化に資することを目的としております。昨年12月議会でも議論がありましたように、特に県産農産物の輸出については、国内の食市場が縮小する中、アジアを中心に世界の食市場が拡大していることから、これら地域の国々に加え、新たな市場への輸出拡大を積極的に展開していく必要があります。
今月初旬我が会派で、全日本空輸株式会社とヤマト運輸株式会社、そして沖縄県が進める「沖縄国際物流ハブ」の取組状況を現地調査する機会を頂戴しました。この取組みは、2007年に全日空と沖縄県が那覇空港における国際物流拠点の形成に向けて双方が協力することで合意し、その後ヤマト運輸も加わり、中国、東南アジア、我が国を含めた圏域20億人の巨大市場を約4時間で結ぶ那覇空港を一大物流ハブ空港として国際物流事業を展開しているものであり、また、ビジネスマッチングなどによる商流の拡大にも取り組んでおります。
例えば、このビジネスマッチングなどによる商流の拡大という取り組みでは、国内最大級の事前アポイント型個別商談会「沖縄大交易会」を開催していることを伺いました。平成28年11月に第3回沖縄大交易会には、海外バイヤー116社、国内バイヤー66社、全国からサプライヤー261社が参加したとのことであります。ちなみに、本県からは2社の参加があり、たまたま、この2社が酒田市の食品加工会社で2社とも私の自宅の近くに工場がある、ハンバーグ等を製造している酒田フーズさんと、味噌、醤油、柿酢などを製造している株式会社みどりサービスさんです。既に沖縄経由で香港や中国、台湾などに製品を輸出しているとのことでございます。
深夜1時半から3時過ぎまで、那覇空港物流ハブの現場を見ながら、本県農産物の海外輸出の大いなる未来が、開かれていることを実感することができました。
本県では中型機材も運行される庄内空港において、全日空により羽田便が4往復運行されており、旅客機を利用しての物流も大いに期待できるものと考えます。
本県が誇る果樹を中心とする売れる農産物をいかに新鮮なままで、様々な国々の食卓に乗せることができるか、知事の公約にも「海外、首都圏以外の大消費地への県産農産物の販路拡大」が掲げられておりますが、連携協定締結を契機とした輸出拡大に、今後どのように取り組んでいかれるのか、農林水産部長にお伺い致します。
7 酒田港の機能強化について(県土整備部長)
次に、本県唯一の国際貿易港であります酒田港は、平成15年4月に総合静脈物流拠点港いわゆるリサイクルポートに指定、平成22年8月に重点港湾に指定、平成23年11月に日本海側拠点港に選定されて以来、ご承知のように、花王の工場拡張に伴うコンテナ貨物輸出入の拡大をはじめとする国際コンテナ貨物の増大、それらに対応するための貨物船の増加など、目覚ましい発展を遂げております。
本年1月には、これらの目覚ましい発展が認められまして「ポート オブ ザ イヤー2016」に輝きました。先週20日には酒田市で祝賀会が開催されまして、この賞を創設されました旧運輸省技術総括審議官を務められ、その後、日本港湾協会会長を務められました栢原(かやはら)様から、酒田港の受賞は、何といっても「民間と行政が一体的にその発展を築いてきた歴史と実績が他にはない」との高い評価になっているとのお言葉を頂きました。本県にとりましての酒田港の重要性は、益々拡大することは言うまでもないところでございます。
昨年12月議会の建設常任委員会におきまして、私は、国際コンテナ貨物取扱量が増大する中で、国際コンテナ船の大型化に対応するには、コンテナクレーン1号機の機能強化が必要であると提案させていただきました。港湾整備の状況として、国において、国際コンテナふ頭高砂岸壁の貨物船2隻同時着岸を可能にする岸壁延伸工事が着手される中、吉村知事の大きな判断によりまして、コンテナクレーン1号機の更新・大型化を含む、酒田港の機能強化に対応するための平成29年度予算の具体的内容についてお示しを頂きました。吉村知事の公約である「チャレンジ5県土強靭化」と、県政運営の基本的考え方である「地域活力と多様な交流を生み出し災害に強い県土基盤の形成」を踏まえ、酒田港の発展に向けてどのように取り組んでいくのか、県土整備部長にお伺い致します。
8 外航クルーズ船入港に向けた準備状況と拡充策について(観光推進監)
次に、本年は、このように機能強化、整備される酒田港の活用の面では、また新たな展開のスタートの年を迎えるところとなります。
吉村知事が掲げます「世界に誇る山形の魅力を発信し国内外の旺盛な活力を引き込む『観光立県山形』の確立」を前進させる大きな事業として、外航クルーズ船初寄港を県民あげてお迎えする事業でございます。昨年イタリア船籍のコスタ・ネオロマンチカの酒田港寄港決定以来、国・県・酒田市をはじめとする市町村・民間関係団体等の連携により、鋭意議論を重ね、着々と準備が進んでいるものと思います。酒田市におきましても、平成29年度予算の中でクルーズ船受入れや誘致の経費を計上して、大成功を目指すとの覚悟のようです。
去る1月16日、新庄市で開催された酒田港ポートセミナーにおきまして、鳥取県・島根県が管理致します「境港」の外航クルーズ船誘致事業の企画・実施を担当された職員の方のご講演を拝聴させて頂きました。また1月30日に行われました北海道・東北6県議会議員研究交流大会分科会でも、外航クルーズ船誘致に関する意見交換がありました。いずれの議論の中でも、先進的に事業展開をされている、境港や青森港、函館港など、第1回目の受け入れが、その後拡大につながるのか、全てを決めると言っても過言ではないと教えて頂きました。吉村知事が、観光に力を入れる並々ならぬ思いは、観光文化スポーツ部創設にも表れている通り、外航クルーズ船誘致事業は、極めて重要な施策の一つでございます。
第1回目の受け入れ準備状況をお示し頂き、県民総参加のおもてなしづくり、さらには、日本遺産の出羽三山、ユネスコ無形文化遺産の新庄祭り山車行事、鳥海山・飛島ジオパーク、国の文化審議会が検討を進め2018年のユネスコ無形文化遺産登録の実現を目指している「来訪神:仮面・仮装の神々」の1つである「遊佐の小正月行事」いわゆる「アマハゲ」などをどのように魅力発信していくのか。外航クルーズ船が本県のこうした魅力を堪能することを目的に、メインの寄港地として選定して頂くまで、高めていかなければならないと考えるところでございますが、観光推進監の覚悟をお伺い致します。
9 SSH・SPH等の取組成果を踏まえた探究型学習の方向性について(教育長)
最後に、平成27年度に、我が国の教育行政におきまして、昭和31年以来の極めて大きな制度改革が行われました。こうした制度改革と並行して、教育内容についても大きな動きがございます。学力向上に向けた取組みは言うまでもないところでございますが、一方で、自ら考え、自ら解決方法を見つけ出していく力、その考えをしっかりと他者に伝える力など、総合力を身に着ける教育が求められている時代と認識致します。本県では、平成30年4月から、東北の公立高校では初めての探究科、普通科探究コースを設置し、探究型学習の一層の充実が図られると聞いております。
文部科学省では、SGH、SSH、SPHなどの指定校による、それぞれの課題研究や実践活動を展開してきました。本県におきましては、SSHスーパーサイエンススクールに、平成14年度からと平成24年度からの2度にわたり米沢興譲館高校、平成24年度から鶴岡南高校が取組みを進めてきました。
また、SPHスーパープロフェッショナルハイスクールは、平成26年度からは酒田光陵高校が、平成27年度からは加茂水産高校が、それぞれ取組みを進めてきました。昨年11月30日に行われました酒田光陵高校SPH事業成果発表会に参加させて頂きました折に、講評を述べて下さいました、文部科学省初等中等教育局鹿野教育課程調査官が、酒田光陵高校の取組みは、SPHの今後のモデルになるだろうという高い評価でございました。現在、鶴岡工業高校が、平成29年度SPH事業に申請中と伺っておりますし、探究科、普通科探究コースの設置を前に、これまでのSSH、SPHの取組みの成果を、今後の探究型学習の推進にどのように生かし、発展させていくのか、教育長にお伺い致します。
平成27年9月定例会 代表質問要旨
《9月定例会代表質問9/17②》石黒覚質問要旨
県政クラブの石黒覚でございます。私からも県政クラブを代表いたしまして、平成27年9月定例会の代表質問を申し上げさせて頂きます。
つい先日の台風18号による甚大な風水害に見舞われました、多くの方々に、心よりのお見舞いを申し上げる次第でございます。
また、東日本大震災から4年半が経過する中で、御嶽山、口の永良部島など等、ごく最近は桜島や阿蘇山の噴火、あるいは東京湾周辺での地震発生など、日本列島が本当に沈没するのではないかと思うほど、自然災害が多発し、その被害がこれまでのデータでは処理できないような甚大なものになっていることを、改めて知らされながら、県民の皆様方の安心・安全な生活確保のために、どのような施策が必要なのかを、行政、議会をあげてしっかりと構築していくことが、緊急課題の一つであることを、皆様と共有させて頂きたいと考えます。一方、国政におきましては、安全保障法制をめぐる政府与党のあまりにも非民主的対応に、日本中が不安に陥る状況にあります。昨日のテレビでも「安全保障法案が今国会で成立すべきか」との質問に、賛成19%、反対45%、どちらともいえない30%と報じられておりました。国民に対する政府の説明がしっかりとなされていないあかしであると、言わざるを得ません。今重要なのは、戦後70年間守られてきた、我が国の平和主義を大転換することではなく、国土の安全対策や東日本大震災からの復興、待ったなしの地方創生などに、全力を傾注する時であるとの認識に立ちながら、質問に入らせて頂きます。
1 「やまがた創生」の実現に向けた取組みについて
(1) これまでの県政運営の評価について(知事)
はじめに、「やまがた創生」の実現に向けた取組みについて3点お伺い致します。
一つ目は、これまでの県政運営の評価についてであります。
吉村知事は、県政運営の2期3年目を迎えまして、任期の後半に入っております。知事は2期目に当たり、これまでの取組みを加速、発展させ、さらに活力溢れる県づくりに挑戦する県政運営に取り組まれております。
加えて、現在、今後5年間を見据えた「やまがた創生総合戦略」の策定が大詰めを迎えており、地方創生に関する取り組みを加速させているところでございます。また、そうした地方創生の取組みが具体的に動き出す中で、来年度予算編成もスタート致すところでございます。
そこで、これまでの2期目の前半を振り返り、任期当初に示された、様々な施策を評価・検証しながら、後半につなげていく必要があるのではないかと考えております。
本県を取り巻く環境を見るとき、人口減少の加速化、少子高齢化の進展、経済面では地方に十分に行き渡っていない経済回復の効果、都市と地方の格差拡大が進んでいる状況でございます。
このような中において、私としては、産業振興による雇用の確保、観光等を通した交流人口の拡大、そして子どもを産み育てやすい環境づくりなどは、まさに喫緊の課題として取り組む必要があると考えるものでございます。
そこで、2期目はどのような施策に積極的に取り組み、どのような成果を挙げられてこられたのか、知事の御所見をお伺い致したいと存じます。
(2) 「やまがた創生総合戦略」について(知事)
二つ目は、「やまがた創生総合戦略」についてであります。
現在、国・地方を挙げて取り組んでおります地方創生は、昨年5月に有識者で構成する「日本創成会議」が発表した、2040年に全国の自治体の半数が消滅する可能性があるとしたレポートに端を発しております。私なりにこの地方創生について考えてみますと、人口減少の克服に係る課題は様々な分野にわたり、広く県民生活に関わるものであることから、県民とそれらの課題を共有しながら地方創生の取組みを進めていくことが重要であると考えております。
現在、昨年12月に国が示した「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」と「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を基に、全国の自治体において、地方人口ビジョン及び地方版総合戦略の今年度中の策定に向け取り組んでいる訳であります。本県におきましても、先般、知事をトップとする山形県総合戦略推進本部で「山形県人口ビジョン(案)」と「やまがた創生総合戦略(案)」を決定したところであり、今定例会冒頭に、議会にも説明がなされました。議会をはじめ、広く県民皆様から御意見をお聞きし、10月中には「やまがた創生総合戦略」等を策定するとのことでございます。そうしたことから、吉村知事の2期目の後半は、やまがた創生の最初の2年となるものであります。
私も本県が有する地域の特性を十分活かし、施策を展開していくことにより、やまがた創生を進めていくことが、極めて重要であると考えております。この度、示されました「やまがた創生総合戦略(案)」では、「挑みの八策」として特に力を注ぐ本県の特性を生かした取組みを掲げておりますが、「挑みの八策」については、これまでの2年間の取組みの成果の上に立って、これをさらに深化させ、地方創生の実現を目指すものであると考えます。
そこで、この度の「やまがた創生総合戦略」の取組みの中で、本県のどのような強みを活かし、具体的にどのような取組みを進めていこうとしているのか、知事の御所見をお伺い致します。
(3) 総合支庁の見直しにおける市町村との連携強化について
(総務部長)
三つ目は、総合支庁の見直しにおける総合支庁と市町村との連携強化についてであります。
本定例会冒頭の知事説明にもありましたが、県では、一昨年から総合支庁の見直しについて検討を進め、今年3月に「見直し方針」を策定し、先月、今後の見直しに向けた中間取りまとめを公表致しました。
その中で、これからの総合支庁の機能について、県庁と連携を強化すること、市町村支援への重点化を図ること、引き続き災害対応などの現場機能を担っていくこと、などが盛り込まれたところでございます。
地域に目を向けてみますと、少子高齢化を伴う人口減少問題をはじめ、若者流出や雇用問題、過疎・コミュニティ対策など多くの課題が顕在化し、基礎自治体である個々の市町村だけでは対応が困難な課題も多く見受けられる状況にございます。
また、市町村からは、総合支庁に対し、「災害対応など現場機能を発揮することはもとより、市町村間の垣根を越えた課題に積極的に取り組んで欲しい」、「総合支庁が加わることで、市町村同士の議論がしやすくなる」といった声も聞こえております。市町村との連携や市町村同士の連携調整などの機能を果たすことが期待されているように感じているところでございます。
こうした中で、これからの総合支庁の機能を、地域の市町村支援に重点化していくという見直しは、まさに時宜を得たものであり、心強い方向性が示されたものと認識致しております。
先ほどの「やまがた創生総合戦略」にも関連しますが、地方創生を進めるにあたっては、県・市町村が各々主体的に取り組むことはもちろんのこと、互いに手を携え、ともに連携しながら課題解決に当たることが、益々求められる時代であります。
今後、各市町村におきましても、県と歩調を合わせて地方版総合戦略を策定し、推進していくことになりますが、様々な面で、県との連携や県の支援が必要となりますことは、言うまでもありません。
そこで、今後、総合支庁の見直しを進める中で、市町村との連携を具体的にどのように強化していくお考えなのか、総務部長にお伺い致します。
2 政府関係機関の移転に係る提案について
(企画振興部長)
次に、政府関係機関の移転に係る提案についてお伺い致します。
国は今年3月に、東京の一極集中を是正するため、地方の自主創意工夫を前提に、地方における「しごと」と「ひと」の好循環を促進することとし、東京都に所在する政府関係機関と全ての研究機関や研修所を対象に、43道府県等からの政府関係機関の移転に関する提案の募集を開始したところでございます。
この地方からの政府関係機関の移転の提案は、8月に募集が締め切られ、42道府県から69機関に係る移転の提案があったとお聞き致しております。
これまで、国では、政府関係機関等の移転としては、国の機関移転や首都機能移転などがありましたが、いずれも地方への移転を進めるところには至らなかったこともあり、私は、県議会が主催した8月の講演会の場において、内閣官房の佐村地方創生総括官補に国の覚悟についてお伺い致しましたところ、「過去の同様の構想で実現しなかった原因は国会と密接にかかわる中央省庁の移転は現実的に難しかったが、今回は試験研究機関などの実現可能な移転を目指している」との回答をいただきました。私はそのお話を伺い、このたびの試験研究機関の移転は、地方にとりまして大きなチャンスであると受け止めました。さらに、地方への試験研究機関の移転は、地方における産業の更なる発展につながる可能性があるのではないかと感じたところであります。
本県におきましても、この機会をしっかりと捉えて、本県産業が有する特性を活かした具体的な試験研究機関の移転が実現されることを、大いに期待するものであります。
このような中、本県からは「国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所」、「国立研究開発法人 国立がん研究センター研究所」の2機関の移転を提案しておりますが、その提案の考え方がどのようなものであるのか、企画振興部長にお伺い致します。
3 「つや姫」の今後の展開について(農林水産部長)
(1) ブランド確立に向けた取組みについて
次に、「つや姫」の今後の展開につきまして、2点お伺い致します。
一つ目は、ブランド確立に向けた取組みについてであります。
本県のトップブランド米であります「つや姫」は、平成22年のデビューから6年目を迎えました。デビュー以来、日本穀物検定協会の食味ランキングにおいて、5年連続で最高評価の「特A」を獲得するなど、食味については県内外で高い評価を得ているところでございます。
また、価格についても、昨年、全国的に大幅な米価下落の中にあって高価格帯を維持し、県産米全体のけん引役として重要な役割を果たしているものと考えています。先日、27年産米のJAの概算金が決定されましたが、60キロで1万5,000円前後とされ、全国トップレベルの水準になるのではないかと期待しているところでございます。
さて、先般、知事をトップとする「山形つや姫ブランド化戦略推進本部」が開催され、来年産の「つや姫」の作付面積を今年より 1,100ヘクタール拡大し、8,800ヘクタール程度とすることが決定されました。また、生産者認定に関しましては、現行の面積要件に満たない中小規模の生産者を一定の条件を付して特別に認定するとの新たな方針も示されました。
少子高齢化や食生活の変化などにより、全国の米の消費量が年々減少する中で、つや姫について申し上げれば、米卸売業者からは「つや姫が足りない」と言った声も聞かれるようでございます。年々、生産面積を拡大することにより流通量も拡大してきているところでございますが、県外での好調な販売拡大の動きに対応しながら、流通量の一層の拡大が必要なのではないかと考えるものであります。
一方、品質については、戦略推進本部に出席した委員からは「品質とブランドは直結する、増産しても品質の維持が絶対に必要だ」との意見も出されたと伺っておりますが、生産拡大に伴う品質低下も懸念されるところでございます。
また、全国的には、本県以外の米産地において特Aの銘柄が増えるなど、技術の向上とともに良食味の銘柄が広がる傾向にあり、決して油断のできない情勢でございます。
このような状況の中で、これまで築いてきた消費者からの高い評価と信頼を更に広げ、全国ブランドを確固たるものとするため、作付面積の拡大と併行しながら、「つや姫」の基本的な強みである食味・品質の確保をどう図っていくお考えなのか、農林水産部長にお伺い致します。
(2) 「つや姫」の輸出拡大について
二つ目は、「つや姫」の輸出拡大についてであります。
「つや姫」は、国内で高級ブランド米として高い評価を受けておりますが、その品質・食味は日本を代表するお米と言っても過言ではないと考えます。特に食味については、海外においても十分通用するものと思うところでございます。
米価下落、国の米政策の大転換など、米を取り巻く様々な環境変化の中にあって、本県のトップブランド米であります「つや姫」の輸出拡大を進め、これを突破口に「はえぬき」など本県産米全体の輸出拡大を図っていくべきものと考えるところでございます。
本県では、「農業県やまがた」の豊かな食・食文化を発信し、 EUへの輸出につなげていくため、10月9日~10日の2日間、ミラノ国際博覧会に出展することとしている訳でございますが、この機会を通じ、地元イタリアはもとより、EUなど各国からの来館者に、ぜひ「つや姫」をPRしてほしいと思うところでございます。
また、こうした新たな市場への働き掛けとともに、これまで県産米の輸出に取り組んできております東アジア、ASEAN諸国に対しては、「つや姫」販路の開拓・拡大に向けPRを強化していく必要があります。このためには、各種フェア等でのPRに加え、インターネットを活用し、「つや姫」のみならず、産地山形の情報を発信し、PRしていくことも有効ではないかと考えております。
このような取組みにより、県産米の海外での認知を高めることは、おいしい農産物を生み出す産地「山形県」を知っていただき関心を高めていただくことにもつながり、本県への観光誘客の一助となることも期待できるものと、確信致すところでございます。
「つや姫」の輸出拡大に向けて、今後、どのように取り組んでいかれるのか、農林水産部長にお伺い致します。
4 河川整備と維持管理について(県土整備部長)
次に、河川整備と維持管理について、お伺い致します。
近年、地球温暖化の影響と言われておりますが、全国的に、局地的な豪雨が多発傾向にあり、また、台風等による降雨も激甚化しております。先日の台風18号等の際には、茨城県や宮城県において、堤防決壊等により多数の死者や行方不明者を出す甚大な洪水被害が発生しており、本県でも最上小国川等で床上浸水等の被害が発生致しました。被害にあわれた方々に対し、改めまして、心よりお見舞い申し上げる次第でございます。
一方、どの事業にも言えることですが、国、地方の公共事業予算が縮小していることから、河川整備予算の確保も年々厳しさを増しているものと思います。
こうした中で、県においては、鋭意、河川整備に取り組まれておりますが、酒田市の中野俣川を例に挙げますと、約30年前から改修事業に取り組んでいるものの、完了までになお時間を要する状況であると伺っております。河川整備が完了するまで、一定の期間が必要であることは理解しておりますが、地域の安全安心の確保に重要な事業であることから、一日も早く、かつ着実にその効果を出して行く必要があると考えます。
自然条件、社会条件ともに厳しさが増している中で、本県発展の基礎となる安全安心の確保に重要な役割を担う河川整備について、今後、どのように進めていくお考えでしょうか。
また、最近の県管理河川の状況を見ますと、堆積土砂による河川断面の不足や、水門等の河川施設の破損や老朽化等も少なからず見受けられます。地域の安全安心を継続して確保していくためには、河川整備と併せて、施設の適切な維持管理も重要であります。このためには、民間の力を活用することも大切であると考えます。
現在、県では、公募型の支障木伐採や河床掘削、また、施設の長寿命化に取り組んでいると聞いておりますが、これら取り組みの現状と今後の進め方について、併せて県土整備部長にお伺い致します。
5 庄内地域におけるバイオテクノロジー関連産業の集積について (商工労働観光部長)
次に、庄内地域におけるバイオテクノロジー関連産業の集積について、お伺い致します。
私くしは、国の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」にも記載があるとおり、地方に、「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む好循環を確立し、地方への新たな人の流れを生み出すこと、そして、その好循環を支える「まち」に活力を取り戻し、人々が安心して生活を営み、子どもを産み育てられる社会環境をつくり出すことが、地方創生、地域経済活性化に繋がっていくことから、積極的に「しごと」を生み出していくべきであると考えるのは言うまでもないことでございます。
先程、知事から答弁をいただきました「やまがた創生総合戦略(案)」では、「豊かな山形の資源を活かして雇用を創出」を基本目標に掲げられ、地方に「しごと」を生み出す政策の礎として期待をしているところでございます。
さてそこで、庄内地域には、バイオテクノロジーの知的源泉として慶應義塾大学先端生命科学研究所があり、世界最先端のバイオ技術の開発に数多く成功し、そこから、医療や合成クモ糸繊維などの技術を持つベンチャー企業4社が起業しております。
たとえば、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社は血液の分析による「うつ病診断等の技術」、サリバテック社は「唾液から癌などを早期発見する技術」、メタジェン社は「便を使っての腸内環境を把握する技術」など、素晴らしい技術を持った企業が生まれております。
特に、世界最先端の技術「合成クモ糸繊維」のSpiber (スパイバー)社では、合成クモ糸を量産化する技術の確立に向かっており、航空機や自動車の部品、人工血管などの医療分野、宇宙開発など、限りなく応用が広がると期待しております。また、先の報道によれば、スポーツ用品メーカー業界第4位でありますゴールドウイン社から30億円の出資を受けるとともに、スポーツ用品開発を共同で行う事業提携契約を締結するとのことであり、そうした具体的な動きが、庄内地域の産業発展や地域経済活性化につながるものとして、大きな期待を寄せているところでございます。
そこで、県では、こうした動きを踏まえ、庄内地域におけるバイオテクノロジーを活かした「産業の集積」をどのように進めていくお考えなのか、商工労働観光部長にお伺い致します。
6 特殊詐欺の撲滅に向けた取組みについて(警察本部長)
最後に、特殊詐欺の撲滅に向けた取組みについてお伺い致します。
平成26年中に山形県警が認知した特殊詐欺による被害総額は、約1億8千3百万円に上り、そのうち約75%に当たる約1億4千万円は高齢者が被害に遭ったものとお聞き致しております。
また、山形県警が被害者等を対象に実施したアンケートによれば、被害者の約9割の方は、オレオレ詐欺などの手口を認識しながら被害に遭っております。また今年に入り、県内の高齢女性が「ロト6の当選番号を教える」などの名目で約3千5百万円を騙し取られる事件が発生するなど被害額も高額化しており、大変深刻な状況にあるものと言わざるを得ません。
県警本部では「特殊詐欺対策強化推進本部」を設置して、抑止、検挙の両面から対策を強化しているものと承知を致しております。そうした取り組みの中で、官民連携した活動にも取り組まれており、例えば、金融機関の職員の方々が声を掛けるなどにより、水際で被害を阻止した金額が、平成26年は、平成25年と比較して大幅に増加したほか、県民と協働して犯人を検挙していく「だまされた振り作戦」を推進して犯人を逮捕するなど、抑止、検挙の両面で成果を挙げているものと評価を致しているところでございます。
しかしながら、例えば、振り込め詐欺は高齢者等が息子や孫など身内を装った犯人から、事故やトラブルに巻き込まれたなどと、電話口で相談されることから、気が動転してしまうこと、身内の恥を他人に知られたくない、という心理などが働き、様々な場面を想定した講習会等で勉強しても、結局、隠そうとする傾向が強く、結果的に高額を振り込み、詐欺被害に遭ってしまう方が多いと伺っております。こうした個別の心理状況を利用した特殊詐欺被害防止のための防犯意識を高めることは容易ではないものと推察いたします。
特殊詐欺グループは、東日本大震災や東京オリンピック・パラリンピックの開催、年金情報の漏洩など、時代の潮流を逆手に取った手口を編み出し、高齢者等に狙いを定めながら、次々に手を変え襲いかかってくるのでございます。手口の悪質化、巧妙化が進む特殊詐欺を撲滅するためには、特殊詐欺グループを徹底的に検挙するとともに、特殊詐欺に対する県民の抵抗力強化を図る官民一体となった取り組みが、極めて重要であることは、言うまでもないところでございます。
例えば、電話の更新時には、相手先通知機能がある機種を進めながら、高齢者の方は「非通知には出ない運動」や、家族同士の話し合いをしっかりすることから、息子や孫であっても「名前を告げてから話す」習慣づくりを行う運動などを展開することも、大切ではないかと考えるところでございます。
本県におきましても、特殊詐欺が急増傾向にある現状を踏まえ、撲滅に向けた取り組みをどのように強化されていかれるのか、警察本部長にお伺い致します。