平成23年12月16日 予算特別委員会質疑

平成23年12月16日(金)平成23年12月定例会予算特別委員会 石黒覚

1 知事就任以来の県政運営の評価と新年度の重点施策について

県政クラブの石黒覚でございます。今12月定例議会におきまして、予算特別委員会質疑の機会を頂戴致しました、何分初めての経験でございますので、ルールの不手際、表現のご無礼などございます時は、何卒、委員長のご指導よろしくお願い申し上げる次第でございます。

それでは、質問に入らせて頂きたいと存じます。まず県政運営につきまして吉村知事にお伺い致したいと存じます。

明治9年廃藩置県により初代山形県令三島通庸氏から数えて、第50代目、昭和22年4月の初代公選知事村山道雄氏以来、6人目の山形県知事として、平成21年2月14日就任されましてから、間もなく3年を迎えるところでございます。この間「あったかい県政を」スローガンに、本当に驚くようなバイタリティで県政運営に邁進されておりますことは、多くの県民皆様方の高い評価であろうと確信を致すところでございます。そして、そのフットワークの良さを持ってこれまで築いてこられた実績は1期目3年とは信じがたい大きなものであろうと確信いたすところでございます。平成22年3月に、概ね10年間の県づくりの方向性を示す「第3次山形県総合発展計画」を策定し、その基本目標である「緑と心が豊かに奏であい 一人ひとりが輝く山形」の実現に向け、「医療・福祉・子育て支援等の充実」、「地域産業の振興・活性化」、「農林水産業の再生」、「教育・人づくりの充実」、「県土環境の保全・創造・活用」の5つを柱に据えた施策を推進してこられました。こうした中で、つや姫の短期間でのブランド化をはじめとします農林水産業を起点とする産出額3,000億円に向けた着実な進展、高速道路をはじめとする社会資本の整備促進、などの成果は、吉村知事の的確できめ細やかで、活発な活動の見事な結実と言うべきものだと評価致すものでございます。そして、何と言っても3・11東日本大震災発生におきましては、まさに機動的かつ被災地を案ずる強い思いから「東日本大震災復興支援山形県会議」のいち早い立ち上げによる対応、避難者のスムーズな受入態勢づくり、きめ細やかな生活支援実施は、まさに「あったかい県政を」掲げる吉村知事だからこそ可能にするものだと存じます。さて、そこでいよいよ平成24年度予算編成時期を迎える現在、これまでの県政に対する知事ご自身の総括と、来年度、特に強力に推し進める政策について、ご所見をお伺い致したいと存じます。

2 環日本海交流の推進について(知事)

次に、こちらも吉村知事の取り組む大きな政策の一つでございます、対岸諸国との貿易・人的交流の推進につきまして、お伺い致したいと存じます。中国、ロシア、台湾、シンガポール、韓国など対岸の国々と本県との貿易交流拡大は、吉村知事のトップセールスを武器に、目覚しい進展を遂げていると言っても過言ではございません。しかしながら、東日本大震災、原発事故によります風評被害は未だ解決の方向になく、厳しい状況下にあると言わざるを得ません。私もこの秋、2年目を迎えたロシア、ハバロフスク及びウラジオストクでの商談会、中国ハルビン市での県事務所開設に立ち会う機会を頂戴いたしました。更には、ソウル事務所の現状調査など、本県の経済・産業の拡大における対岸貿易交流の重要性を肌で感じて参りました。しかし、現実を直視するならば対岸諸国の多くは、原発事故に対する大きな懸念を払拭できないことは明白で、例えば、昨年頂戴した東北では初めての中国への米輸出のためのくん蒸施設指定など、中々有効に活用して米の輸出拡大を図るには難しい現状にあると言わざるを得ないものと存じます。そんな中今月11日の山形新聞に在新潟中国総領事館の王華総領事が10日山形市を訪問された際、県が黒龍江省に開設したハルビン事務所に大きな期待感をお示しになられました。そのお言葉には「経済、文化、スポーツなど様々な分野で双方の交流が図られる。中国政府は今、黒龍江省を含む東北地方を重視しており、事務所設置は意義深い」とし、「酒田港を重視している」とも申しております。大震災、原発事故と言う未曾有の大災害によって、極めて厳しい状況にある対岸貿易交流の現状を打開していく必要があると考えます。

また、古来より、物の行き来によりまして互いの文化が栄えるためには、まず人と人との交流が、すべての始まりであることは言うまでもない歴史が示して下さる事実でございます。そうした視点から環日本海交流のもう一つの大きな鍵は、子供や若者、つぎの時代を担う世代が心と心で密接な交流が行われることだと考えます。先のハルビン事務所開設の折には、ハルビン旅行社と東方水上シルクロード貿易促進協議会の間で、まずは100名ほどのハルビンの子供たちを文化使節団として、来春本県に派遣下さることになっており、中国を中心に環日本海地域の人的交流促進を図っていく必要があります。こうした観点から、今後の環日本海交流を一歩でも前に進めるためには、今何をすべきとお考えか、吉村知事のご所見をお伺い申し上げたいと存じます。

3 市町村の実情に応じた事業展開に対する支援について(企画振興部長)

行財政改革と言う言葉が世の中に流布してかなりの年月が経っていると思いますが、県民や地域にとって本当の意味での行財政改革とは如何なるものなのか、についてお伺いを致したいと存じます。

無い袖はふれないのが当たり前としても、短絡的に予算を削ること、職員数を削減さえすれば、それが行財政改革だという昨今の風潮に大いに疑問を感じています。限られた財源や人材を有効に活かす創意工夫を引き出すことが、県民や地域にとっての真の行財政改革の要諦なのではないかと考えるものでございます。地域のことは地域が決めるという国の「地域主権改革」が様々な要因によって、中々進まない現状に忸怩たる思いがございます。

例えば、「地域自主戦略交付金」いわゆる一括交付金は、地方自治体が自由に使い道を決められる国からの財源と言う鳴り物入りで今年度創設されたところであります。しかし、来年度に向けた一括交付金をめぐる状況を見ますと、今年度は都道府県のみが対象となっていますが、来年度は本来全ての市町村に拡大の予定が、政令指定都市止まりで検討が進んでいます。その一つの原因に「慎重に検討してほしいとの全国市長会の意見がある」とのことです。

一方、本県については、先駆的な取り組みとして使途が特定され、様々な縛りのある市町村への県単独の補助金を統合し、弾力的な運用、市町村の実情に応じた事業展開を可能とする「市町村総合交付金制度」が平成10年度から実施されて来たことは、地域主権を大切にした先進的取組と評価致すところでございます。まさに市町村が、煩雑な事務手続きが必要な補助金制度を改善し、地域の実情を踏まえた創意工夫を引き出すことを可能にするなど、本来の行財政改革につながったのではないかと考えるのでございます。

しかし、最近の傾向を見ますと県の財政状況が大変厳しい中で、この「市町村総合交付金制度」の予算額は右肩下がりで推移しております。自由度がもっと高く、本来の姿の一括交付金的制度であれば、縛られる補助金よりも自由度の高い「市町村総合交付金制度」が膨らんでも不思議ではないような気がするのですが、市町村が知恵の結集や創意工夫に汗することから顔を背けているようなことはないのでしょうか。制度創設から13年ほどが経過した現在、制度の効果を検証し、今後は国に先駆けて「地域主権改革」を進める重要な政策と認識を新たに、制度の見直しは必要がないのか、現状に対する評価とこれらを通じた市町村支援のあり方について、企画振興部長にお伺い致したいと存じます。

4 選挙における障がい者の投票参加の促進について(企画振興部長)

今年8月5日公布されました、障害者基本法の一部を改正する法律によりまして、多くの改正並びに条文新設が行なわれました中に、『第28条(選挙等における配慮)が新設されました。内容は、国及び地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより行われる選挙、国民審査又は投票において、障害者が円滑に投票できるようにするため、投票所の施設又は設備の整備その他必要な施策を講じなければならない。』とするものでございます。

本年11月4日に行なわれました第6回マニフェスト大賞におきまして、私くしも属しております民主党山形県連が、4月の統一地方選のツールとして作成しました「やまがた未来コンパス2011」と言うマニフェストにグッド・マニフェスト優秀賞を頂戴致しました。残念ながら最優秀賞は逃しました。受賞の理由は、中身がグッドと言うことよりは、視覚障がい者の方々にもお伝えしたいとの思いから、機械によって文字を音声に変換する2次元バーコードを初めて採用した点に頂戴したものであります。そこで、選挙における障がい者の投票参加の促進について、どのような現状にあり、今後進めなければならない課題について、企画振興部長にお伺い致したいと存じます。

5 障がい者の雇用対策の促進について

(1)障がい者雇用率の向上対策について (生活環境部長)

障がい者の雇用につきましては、「障害者の雇用の促進等に関する法律」によって、障がいのある人が、障がいのない人と同様に、その能力と適性に応じた職業に就き、地域で自立した生活を送ることが出来るような社会の実現をめざし、障がいのある人の雇用対策を総合的に推進することとなっており、事業主に対しまして、一定割合以上の障がい者を雇用する義務付けがなされている所でございます。

本県における障がい者の雇用の現状ついて、調査データ等がございましたらお示しを頂きながら、「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づく達成状況、また法定雇用率達成企業の割合が中々伸びない要因、未だ企業側に障がい者を雇うより、義務不履行に伴う納付金を納めていれば良いとするような考え方がないのかどうか。県内の職業能力開発校などにおける、障がい者に対する職業訓練の状況やその後の就職状況も含め、本県における障がい者の雇用率向上に向けて、どのような取り組みを行なっておられるのか、さらに今後どのような展開がなされる方向にあるのか、生活環境部長にお伺い致したいと存じます。

(2)就労支援など障がい者福祉サービス事業の充実について(健康福祉部長)

去る11月中旬に、友人から是非との勧めがあり、「知的・精神・発達障がいを持つ方々のための、株式会社が運営するビジネススクール」を政務調査する機会を頂戴しました。内閣府の地域社会雇用創造事業を活用した、東京都指定就労移行支援事業所でございました。頂いた資料の中に、今年8月6日付け山形新聞13面の記事で紹介されたコピーがございました。記事には、知的・精神障がい者も企業で事務職として働きたい。そんな思いに応え、職業訓練から就労までサポートするビジネススクールが東京板橋に開校した、とありました。お会いしてわかったのですが、偶然にも酒田市出身の社長さんでした。スクールでは、企業で働くためのビジネスマナー、パソコン操作など、受講生のレベルに合わせ、急がず焦らずを基本に、皆さんがいきいきと学ばれている姿に感動した次第でございます。

このように、障がい者の雇用に向けた取組には、雇用対策の面からの取組と共に、障がい者自立支援法に基づき、障がい者の就労に向けた障がい者福祉サービスもあるわけでございます。これらの事業は、就労を希望する障がい者への生産活動、その他の活動の機会の提供を通じて、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行い、企業等への一般就労をめざす、就労移行支援事業があり、前段述べさせて頂いたビジネススクールは、これらに当たるものと思います。

政務調査で訪れましたビジネススクールの佐藤社長は、地元酒田に住む同級生で、互いに障がいを持つ子どもの親と言う、同様の境遇にある仲間と、大きな夢を描いていると話しをして下さいました。それは、山形県が誇る農業と言う分野において、障がい者が取組みやすい水耕栽培などを基本に、食糧生産に必要な知識や技術を学びながら、就労に向けた訓練の場を福祉サービス事業として提供しながら、一方で一般企業としての農業法人経営を立ち上げ、障がい者が生きがいを持って働ける場を創出する。そして、今や対岸貿易の拠点として位置づけられる酒田港から、大陸に向けて障がい者が作った美味しい野菜を世界に向けて販売したいという夢でございました。 そこで、県内においても、マナーや必要な知識・技能の習得のための訓練をする福祉サービス事業所があると思いますが、県内事業所の取組み状況をお示し頂くとともに、就労移行支援事業所を設置しようとする場合の支援策等について、健康福祉部長にお伺い致します。

6 教育の振興について (教育長)

(1)    教育山形さんさんプランの評価について

平成14年度からスタート致しました、教育山形「さんさんプラン」は、丁度10年目を迎えました今年度、中学3年生まで拡大されまして、義務教育9年間にわたる少人数学級編制の制度「さんさんプラン」の形が完成したと言えることになります。

山形県が先行実施致しました少人数学級編制は、その後、全国から注目を集める、極めて時代の要請に的確に呼応した取組として、高い評価を得たものと存じます。そのことは、国においても今年度から、小学1年生に35人学級を導入し、来年度以降も順次拡大していく考えのようであることから、覗える認識であろうと存じます。

教育山形「さんさんプラン」につきましては、先頃、平成23年度第1回教育山形「さんさん」プラン再構築会議が開催されたとお聞き致しております。学校現場の先生方や保護者の皆様方などの様々なご意見、再構築会議でのご議論を踏まえ、教育委員会として教育山形「さんさんプラン」をどのように評価を致し、今後どのような方向に進めて行くべきとお考えなのか、教育長のご所見をお伺い致したいと存じます。

(2)    小規模学級における指導について (教育長)

ただ今お伺い致しましたように、本県は教育山形「さんさんプラン」と言う、我が国における極めて先進的な教育政策を展開する中で、一つの学級規模を小さくし、少人数で授業を行なうことにメリットを見出し、これを進めてきました。

しかし一方で、県内には複式学級を行なわなければならない、極めて少人数な学級、小規模な学校も多くあります。これらの学校につきましては、それぞれの市町村において統廃合等を検討し、地域特性や適正規模を自ら定めながら、進めていると認識いたしております。

学校を統廃合するか否かについては、学校が地域の核であるとする認識が根強く存在し、廃校となれば地域から子供たちの元気な姿が消えてしまうこと、また片方では、学習する環境として余りに小さすぎれば、子どもの社会性を育てられるのかなど、保護者、地域住民には多様な意見があり、市町村教育委員会では悩みながら進めているのが実態であろうと存じます。蛇足になりますが、私の住む地元で十数年前、小学校の統合を巡って、双方の意見が合意に至らず、実現できなかったことがありました。地域から学校をなくすなとする地域の小学校は、今でも単独校で存続していますが、複数学年での複式学級を余儀なくされています。

これまで県教育委員会では、教育山形「さんさんプラン」によりまして児童・生徒数の多い学級の学習指導の充実に努めてきたわけでありますが、併せて、複式学級など児童生徒の極端に少ない学級についての指導について、どのような方向で進めるのか、教育長のご所見をお伺い致したいと存じます。

7 新たなエネルギー戦略について(企画振興部長)

今週12日月曜日に報告されました、山形県エネルギー戦略(仮称)中間とりまとめの概要に関しまして、お伺い致したいと存じます。

福島第1原発事故を受けまして、いち早く打ち出しました吉村知事の「卒原発」の考え方に、まさに賛同致すものでございます。そして、そのことが起点となる山形県エネルギー戦略会議が立ち上がり、短期間で取りまとめられましたことに、改めまして敬意を申し上げるところでございます。

最終とりまとめに向けましての、大いなる議論にご期待を致しながら、私からは再生可能エネルギー導入にあたっての推進施策についてお伺い致しておきたいと存じます。実際に事業化を図る際には、山形県自らが事業主体となって取り組むことも考えられますし、また、民間の方々による大小様々な参入にも大いに期待すると共に、あらゆる形態の参入が可能になるシステムであるべきと考えるところでございます。こうした点について、現段階でのお考えがございますれば企画振興部長よりお聞かせ頂ければと存じます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください