平成25年10月23日 決算特別委員会質疑

平成25年10月23日 決算特別委員会質疑

1 知事一期目の成果と今後の県政運営について(知事)

県政クラブの石黒覚でございます。私からも平成24年度決算について、お伺いいたしたいと存じます。平成24年度は、吉村美栄子知事一期目最終年度でありました。

平成21年2月の知事就任以来、吉村知事が掲げられました「あったかい県政」の推進が、県民皆様方に広く浸透されましたことは言うまでもなく、千年に一度とまで言われ、本当に多くの犠牲者を出した3・11東日本大震災、福島第一原発事故後にありながらも、被災地に寄り添い、避難者を温かくお迎えし、本県のできる限りのことを機敏に実施されてきたことに、心より敬意を表するものでございます。一方で、吉村知事が掲げられました多くの公約が見事に成果として現れた4年間であったと、私は認識をいたしているところでございます。

①雇用創出、②農林水産業産出額、③つや姫ブランド化、④海外との経済交流拡大、⑤教育分野では教育山形「さんさん」プランの完全実施、私学振興、⑥子育て分野では合計特殊出生率向上、⑦医療分野ではドクターヘリの導入、⑧産業振興では有機エレクトロニクス拠点整備、先端生命科学研究所を中心にしたバイオ技術開発支援、⑨山形県エネルギー戦略の策定から、再生可能エネルギー導入実施及び支援、⑩酒田港振興、日沿道、東北中央道などの社会資本整備、挙げればきりがないほどの成果でございます。しかし、そうした中においても、行財政改革の推進もしっかりと進められました。事務事業の見直し、人件費の削減、歳入の確保、実質的な県債残高の削減など、まさに持続可能な山形県づくりにまい進されたものと存じます。

知事一期目の成果を知事はどのように捉え、今後の県政の舵取りをどのように行っていかれるのか、吉村知事の御所見をお伺いいたしたいと存じます。

2 東日本大震災の教訓を踏まえた県の取組みについて

(1) 東日本大震災関連施策の全体と財源について(総務部長)

次に、東日本大震災の教訓を踏まえた県の取組みについて、何点かお聞きしたいと思います。

平成24年度において、県は、東日本大震災への直接的な対応として、引き続き、県内避難者の支援や風評被害対策・放射線対策などに取り組まれました。また、東日本大震災で顕在化した課題への対応として、「災害に強い県土づくりの推進」を最重要政策として打ち出され、「東北全体を俯瞰した復興・山形の再生」に向けて、公共インフラ等の代替性・補完性機能の確保や被害の軽減を図る防災機能の強化など、国に対する提言を重ねながら、本県独自の取組みなどを加えて施策を展開されました。さらに、知事が提唱された「卒原発」の実現に向けて、平成24年3月に「山形県エネルギー戦略」を策定し、再生可能エネルギーの導入推進に取り組まれております。

そこで、まず、平成24年度決算におけるこれら東日本大震災関連施策に要した費用の全体について、財源面を含め、総務部長にお伺いいたします。

(2) 避難者支援の取組みについて(危機管理監)

次に、避難者支援の取組みについてお伺いいたします。本県は、東日本大震災で甚大な被害を受けた被災県の隣県として、全国で最も多く避難された方を受け入れてきました。避難された方の数は減少傾向にあるものの、現在も約7千名の方々が未だに避難生活を余儀なくされています。本県へ避難された方々は、福島県の方が多く、原発事故による放射線の健康への影響を心配して避難された方、そのなかでも、父親を残して母親と子どもだけで避難された方が多くいらっしゃいます。震災から2年半以上が経過し、避難生活が長期化しているなかで、住み慣れた家と地域を離れて避難されている方にとっては、経済的な負担や、家族が離れて暮らすことによる精神的負担が増加していることが懸念されています。また、高齢者については、慣れない土地で地域に馴染めず、孤立することも危惧されるところです。

こうした状況の中で、平成24年度において、避難者支援にどのように取り組まれたのか、また、今後、どういった点に配慮しながら避難者支援に取り組んでいかれるのか、危機管理監にお伺いいたします。

(3) 津波対策の取組みについて(危機管理監)

次に、津波対策の取組みについてお伺いいたします。

東日本大震災では、太平洋沖の巨大地震に伴う大津波により、沿岸各地に甚大な被害がもたらされました。日本海においても、これまでに大きな地震やこれに伴う津波の被害が発生しています。将来、北海道北西沖から新潟県沖にかけての日本海東縁部でも、巨大地震が発生する可能性があると考えられており、本県でも東日本大震災を教訓に巨大津波への備えを進めておかなければなりません。2万1千人を超える死者・行方不明者を出した東日本大震災にあって、岩手県釜石市の小中学校では日頃の防災教育が活かされ、小中学生のほとんどが津波から逃れることができました。「釜石の奇跡」と言われるものであります。

巨大津波から身を守るには、ハード対策だけでは限界があり、「避難」を中心とするソフト対策も合わせた総合的な対策が重要であることを東日本大震災は示したわけですが、本県における津波防災対策、なかでも、避難などのソフト対策について、昨年度はどのような取組みがなされたのか、また、今後の津波防災対策をどのように進めていかれるお考えか、危機管理監にお伺いいたします。

(4) 格子状骨格道路ネットワークの整備促進について(知事)

次に、格子状骨格道路ネットワークの整備促進についてお伺いいたします。

東日本大震災では、日本海側ルートが太平洋側ルートを代替する役割を果たす一方で、高速道路のミッシングリンクや主要国道の脆弱性が明らかになったことから、県内の格子状骨格道路ネットワーク形成の重要性が再認識されたところです。このような中、今年度、「縦軸」となる、日本海沿岸東北自動車道は、沿線市町村や地元経済界など関係する方々の長年にわたる粘り強い活動がようやく実を結び、秋田・新潟両県境区間が同時に、待ちに待った新規事業化となり、また、「酒田みなと~遊佐」間は今月14日に起工式が開催され、全線開通の目途が立ちました。さらに、東北中央自動車道は、事業化されていない秋田県境部分の3区間について計画段階評価を進めるための調査が着手されるなど、県境区間のミッシングリンク解消に向けた、まさに画期的な進展が見られました。これもひとえに、地元の熱意に加え、知事の就任以来の積極的な取組み、さらに、東日本大震災を踏まえ、強いリーダーシップを発揮された賜物と認識しております。

また、「横軸」となる、地域高規格道路についても、今年度から新たに、国道47号の「高屋(たかや)道路」、国道113号の「梨郷(りんごう)道路」において、工事が着手されるなど、着実に整備が進められているところであり、地域経済の活性化、産業や観光の振興、防災、医療など様々な分野を支える格子状骨格道路ネットワークの早期完成が期待されるところです。

格子状骨格道路ネットワークの整備について、これまでの様々な取組みの成果をどのように見ておられるのか、また、更なる促進に向けて、今後、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。

3 庄内空港における乱気流観測調査の結果について(県土整備部長)

次に、庄内空港における乱気流観測調査の結果についてお伺いいたします。

平成22年度から平成24年度までの3カ年にわたりまして、庄内空港における乱気流観測調査が行われました。県から大阪大学への委託事業として、375万3,000円×(かける)3カ年、トータルで1,125万9,000円で行われたとのことでございます。金額としてはそんなに大きなものではございませんが、庄内空港の安全性確保にとりまして、極めて重要な調査と認識しておりますので、お伺いをいたしておきたいと思います。

この調査の最終年度でありました昨年12月8日、土曜日、午後10時26分頃、庄内空港では初めてのオーバーランが発生いたしました。直後から国土交通省として、航空重大インシデントとして調査を開始、間もなく1年近くになるところであります。残念ながら、調査結果につきましては、未だに報告されていない状況でありますが、国会議員を通じて状況をお尋ねいたしてみたところでございますが、運輸安全委員会と言うところは、中間報告をしないのが慣例とのことで、ペーパー1枚の概要書を頂戴したのみでございます。最終報告は、おおむね1年後ぐらいを目標とされているところですが、それを待つしかないところでございます。オーバーラン発生後、全日空本社を訪問してお話をお聞きいたしたのでありますが、庄内空港は、特に冬季間において、パイロットの方々にとっては、非常に緊張をする空港の一つだと言われているとのことでした。私も多く利用をする中で、本当に怖い思いをしたことが何度もあったことを思い出します。

さて、3カ年にわたります庄内空港乱気流観測調査につきまして、どのような目的で、どのような調査が行われ、観測結果はどのようなものであったのか。また、本県からの委託とともに、宇宙航空研究開発機構JAXAも大阪大学と共同研究のため観測を行っていたようであります。更には、これらの観測データの集積・分析から、今後、庄内空港のような乱気流発生が危惧される空港の安全性向上に、どのような技術的進歩が期待できるのか、併せて県土整備部長にお伺いいたします。

4 農林水産業創意工夫プロジェクト支援事業の成果について(農林水産部長)

次に、農林水産業創意工夫プロジェクト支援事業の成果についてお伺いいたします。農林水産業創意工夫プロジェクト支援事業が創設されてから、今年度で5年目になります。吉村知事が、初めて知事に立候補された時のマニフェストには、「農林水産業の現場、生産者支援を強化、農業者の求める事業をメニュー方式からオーダーメイド方式に転換」すると謳っており、まさにこれを実行に移された事業と言えます。本県の基盤産業である農林水産業を再生する、生産者を元気にするという強い意思で取り組まれ、農林水産業を起点とする産出額3,000億円の達成に向け、まさに中核をなす事業であり、多くの生産者が元気づけられた事業であります。

平成24年度は、酒田飽海地区においても、新規需要米や加工用米、そばの生産拡大に向けた取組みや、地元で生産される野菜を活用した食品製造業者の取組みなどが採択されておりますが、農林漁業者等の現場起点での自由な発想による創意工夫ある取組みを支援すること、そして個人の取組みまで支援対象とするなど、生産者の意欲を引き出しながら、農林水産業の活性化や雇用の創出が図られているものと考えております。

本事業は、生産者や市町村、農業団体等の期待も大きく、本県農林水産業の発展のためには、今後とも是非継続すべきものと考えておりますが、平成24年度の応募状況や事業の実績とその評価、今後の事業の方向性について、農林水産部長にお伺いいたします。

5 教育の振興について(教育長)

(1) 教育山形「さんさん」プランの検証について

次に、平成23年度に中学校3年生まで完全実施されました、教育山形「さんさん」プランにつきましてお伺いいたします。高橋和雄元知事が、全国に先駆けて教育県山形の象徴的取組みとして、平成14年度に小学校1年生から3年生までにおける少人数学級編制を導入されましてから10年、紆余曲折を経ながら完全実施されたことの意義はとても深いものがあると存じます。

9月定例会におきましても、「全国学力・学習状況調査」との関係等様々な角度から「さんさん」プランについて御議論がございました。もちろん、学力向上は、少人数学級編制の実施においての大きな目的の一つであります。しかしながら、子供たちを取り巻く環境が、極めて急速に変化をする現代、子供たちの「生きる力」をしっかりと育てる、一人一人の個性を大切に育てる、不登校やいじめのない学校づくりを進める、教師自ら研鑚を積み教師力の向上に資するなど、多方面にわたる目的達成のためのシステムを10年かけて作り上げてきた訳であります。今後は、これまでの成果と課題を踏まえながら、より「さんさん」プランを充実したものにしていく必要があると考えます。

県教育委員会では、平成23年度、24年度と、外部有識者を交えた「再構築会議」を設置し、総合的な検証作業を行ってきたとのことですが、その結果について教育長にお伺いいたします。また、今後も、「さんさん」プランの効果がどのように現れているかの検証を常に行っていく必要があると思いますが、「さんさん」プランをより良いものとしていくための今後の取組みについて、教育長の御所見をお伺いいたします。

(2) 県立酒田光陵高校開学1年目の評価について

最後に、県立酒田光陵高校開学1年目の評価について、お伺いいたします。今更申し上げるまでもないところではございますが、昨年4月、酒田市内の県立・市立の4校の統合により県立酒田光陵高校が誕生しました。公立高校としては東北・北海道最大のマンモス校として新たな歴史を刻み始めたところでございます。誠に残念ではございますが、今年8月、校舎4階から生徒が転落するという悲しい事故が発生してしまいました。しかし、奇跡的に一命を取り留め、しっかりと回復に向かっているとお聞きしており、安堵しているところでございます。先日、酒田光陵高校を訪問させていただきましたが、行き交う生徒の皆さんも、本当に元気に挨拶をしてくださり、学校内も落ち着いている様子に、ほっといたしたところでございます。

さて、現在、県内各地で高校再編が進む中におきまして、酒田光陵高校の開学は、今後の高校再編にも様々な教訓を残しているものと考えます。通学路として使用している県道の狭隘さが心配された訳ですが、交通事故などの報告もないものと思いますし、保護者の送迎車のトラブルもないと聞いております。校舎の工事関係につきましては、先日お邪魔した時点で、とても広い自転車置き場が完成するとほぼ終了とのことでした。マンモス校ゆえに校舎の中には先生たちの目が届きにくい個所なども、少しあるとの御指摘もPTAの方々からお聞きをいたしております。何よりも、生徒の皆様方が、楽しく勉学やスポーツ、文化活動に打ち込める学校環境が整っていることが重要であると考えます。

教職員の皆様方の状況なども含めて、酒田光陵高校開学1年目の評価について、教育長にお伺いいたします。

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