16.10.14《決算特別委員会総括質疑》石黒覚質疑要旨
1 知事トップセールスの成果について
(1) 知事トップセールスの成果と所感について
(知事)
吉村知事に置かれましては、2期目の終盤に差し掛かるわけでございますが、一貫して掲げます「心のかようあったかい県政」運営の中で、国内外を問わず、様々な面におきまして「トップセールス」という自らが出向いて、本県の魅力をアピールし、観光客の拡大や、農林水産物の販売拡大等に奔走されております。私もこれまで、何度かそうした場面で、ご一緒に活動をさせて頂いており、昨年平成27年度は、イタリア・ミラノ万博において、本県の新たな未来を拓くトップセールスを共有させて頂いたところでございます。
この度の平成27年度決算審査にあたりまして、これまで国内外を問わず積み重ねられてこられました、ご自身のトップセールスに対します成果と所感をお伺いいたしたいと存じます。
(2) トップセールスの成果を踏まえたインバウン
ド観光誘客の今後の展開方向について
(観光推進監)
次に、知事のトップセールスの成果を踏まえたインバウンド観光誘客の今後の展開方向についてお伺い致します。
今更申し上げるまでもないところではございますが、本県における観光客入込数につきましては、5年半前に発生いたしました東日本大震災並びに福島第一原発事故を境に大きく落ち込み、特に外国人観光客については風評被害等により大きな影響を受けたところです。これらの状況は、一県として、あるいは一県知事として昼夜を問わずトップセールスに奔走致しても、起死回生のような対策になるとは考えにくい状況であったと認識いたしておりました。
しかしながら、この5年半の知事を先頭に致します、本県あげての海外における観光誘客の取り組みは、大きな成果を生み出すためのイントロダクションであったと、高く評価を致すものでございます。その一方で、知事トップセールスの成果を、継続的でより実効性のあるものとするために、この先どのように取り組んでいくのかが重要ではないかと考えます。
そこで、平成27年度の知事トップセールスの成果を踏まえたインバウンド観光誘客の今後の展開方向について観光推進監にお伺い致します。
2 県有財産の維持管理について(総務部長)
まず初めに、平成27年度決算における、県有財産の内、主に一般財産の維持管理の現状と課題についてお伺いいたします。
人口減少社会の進展は、本県におきましても極めて深刻な課題の一つでございます。こうした中で県の財政は、今後ますます厳しさを増す状況に進むと言わざるを得ないところでございます。このような中で、本県が所有する施設の老朽化は、着実に進行していくことになります。
本県では、平成26年12月に「山形県県有財産総合管理(ファシリティマネジメント)基本方針」が策定されました。この基本方針によりますと、①県有財産の長寿命化と維持管理コストの低減、②県有財産の有効活用、③県有財産の総量縮小、が三本の柱となっています。
また、この基本方針に基づいて、平成27年10月には、「山形県県有建物長寿命化指針」が策定されました。この指針におきましては、建物の長寿命化を進めるにあたっては、従来の事後保全(不具合や故障が生じた段階で保全を行う)から予防保全(不具合の状態が深刻化する前に保全を行う)への転換を図り、劣化度調査の実施や優先度の判断により、中長期保全計画を作り、実際の予防保全計画は5年間の工事計画を検討するとされています。
なお、この件に関しましては、去る10月5日に行われました決算特別委員会におきまして、平成27年度決算におきます代表監査委員説明の中でも、「本県が保有する財産には老朽化が進行しているものが多く、今後、更新・大規模改修に多額の財政需要が生じることが見込まれることから、県有財産の長寿命化、維持管理コストの低減、遊休財産の有効活用など財産の総合的、計画的な管理を推進する必要があります」と述べられております。
では、県として、ファシリティマネジメント基本方針に基づき具体的にどうやって維持管理コストを低減していくつもりなのでしょうか。
私は先日、島根県の取組みを知る機会がありました。島根県では、県庁舎や各合同庁舎、単独公所を県内8つの地区に区分して、同一業務について地区内の複数施設について、一括発注することにより経費の縮減を実現しているとのことでした。業務の種類は、施設管理、清掃、警備など8つに区分され、年次計画を立てて業務の種類ごとにまとめて発注をしているとのことでした。
島根県のこの取組みは、県の監査において、「各所属の業務軽減と経費節減などの経済性及び効率性の観点から、評価できる取組みである。引き続き一元化対象施設の更なる拡大に努められたい。」と、高い評価を受けたとのことです。
そこで、本県の県有財産の状況はどうなっているのか。また、新たな「基本方針」をスタートさせた昨年度はどのような取組みを行ったのか。合わせて、先程述べたような他県の取組みも踏まえ、今後どのような取組みを行っていくつもりか、総務部長にお伺いします。
(答弁後)
コストの縮減に向けて、他県の例も見ながら、様々な取組みを行っていくことは、言わずもがなであります。
一方で、コスト縮減だけの視点で考えて良いものでしょうか。平成24年度に策定されました「山形県中小企業振興条例」におきましては、前文に「本県が誇る豊富な地域資源の活用による地域内での循環及び発展が図られることが重要である」とうたわれておりますし、さらに目的には、「本県における中小企業の存在の重要性にかんがみ、(中略)本県の経済の持続的な発展、本県における雇用の場の創出及び県民生活の安定及び向上に寄与することを目的とする」と記されております。こうした点を踏まえると、県有財産維持管理業務が、もっともっと県内企業から担って頂けるシステム構築が必要ではないかと、考えるところでございます。
また、こうした施設の維持管理業務、特に清掃業務などは障がい者雇用の受け皿になり得るのではと思っております。
酒田市にある東北エプソンの中に、会社内の清掃業務などを行っているエプソンスワンという子会社があります。ここでは、障がい者の方が活き活きと働いており、その中から、今回本県で開催されるアビリンピックに出場する職員さんもいるとのことです。
業務の委託先を考える場合、コストだけではなく、障がい者雇用の拡大についても、留意していただきたいと要望して質問を終わります。
3 教育における成果と課題について(教育長)
(1)新教育制度に係る初年度の取組み状況と成果につい
て
教育における成果と課題について、まず新教育制度に係る初年度の取り組み状況と成果についてお伺い致します。
平成27年度は、我が国の教育行政におきまして、昭和31年以来の極めて大きな制度改革が行われました。
教育委員会制度の改革によりまして、全ての地方公共団体の長に「教育、学術及び文化の振興に関する施策の大綱」の策定が、義務付けられるとともに、首長と教育委員会が協議と調整を行う場として「総合教育会議」を設置することとされました。
今回の教育委員会制度改正は、教育行政における責任体制を明確化するとともに、地域の民意を代表する首長が、教育委員会と密接に連携して教育行政を推進することを、目指すものだと認識致しております。
私くしも、昨年度に2回、総合教育会議を傍聴させていただきましたが、この会議により知事と教育委員との連携を一層強化することで、山形県らしい教育の推進に一丸となって取り組んでいかなければならないと、考えているところでございます。
そこで、教育委員会制度改正一年目における取組状況とその成果について、教育長にお伺い致します。
(2)小規模高校の魅力向上の取組みと県外からの志願者
の受入れについて(教育長)
次に、小規模高校の魅力向上の取組みと県外からの志願者の受入れについてお伺い致します。
平成27年度の実績をみますと、東桜学館中学校・高等学校の校舎整備が進められまして、今春、開校されました。これまでも再編整備によりまして、新しい学校づくりが進められ、酒田光陵高校や村山産業高校などが設置されてきました。
こうした再編整備により、新しい学校づくりが進められ、県の教育界にも新しい風が吹きこんだものと評価しているところです。
その一方で、歴史を重ねた旧くからある小規模校は、その地域活性化の核としての役割も担っておりますので、既存校の活性化や魅力向上が課題となっているものと考えられます。
こうした中にあって、庄内北部の小規模校である県立遊佐高校は、昨年度大きな転換期を迎えることになりました。これまでの普通科から総合学科へと改編されたわけであります。地域との連携強化による新たな高校教育に取り組みながら、地域の活性化にもその役割を広げ、高校教育の新しい価値の創出に、期待が膨らむところでございます。
折しも、先日、遊佐町を会場に開催されました「日沿道山形・秋田県境区間建設促進大会」の基調講演で講師をお務め下さった東北公益文科大学吉村学長が、「鳥海山を囲んだ広域連携について」と題したご講演の中で、遊佐町が独自の施策として、遊佐高校入学者に7万円の支援制度を開始したことに触れながら、「私は、遊佐町長に、遊佐高校に東京から生徒を呼ぼうと提案している。一刻も早く実現する覚悟だ」と述べておられました。
地域を挙げて、地域の遊佐高校を守るために、遊佐高校に県外から志願者を受け入れることも、重要な視点であります。
そこで、これまでの高校再編整備も踏まえつつ、県として、遊佐高校など小規模校の魅力向上と県外からの志願者受入れについてどう考えておられるのか、教育長にお伺いします。
4 慶應義塾大学先端生命科学研究所の成果につ
いて(商工労働観光部長)
(1) 慶應先端研と県内企業や他の研究機関との連携について
次に、慶應義塾大学先端生命科学研究所の成果についてお伺い致します。
平成13年に鶴岡市に開設されました、慶應義塾大学先端生命科学研究所は、今年15周年を迎えまして、去る9月17日に記念シンポジウムが開催されました。テーマは「YAMAGATA、TSURUOKAから世界を変える」、そして「ニッポンの再生は地方から」と、力強く宣言されておりました。
この世界に誇る慶應先端研が、県内企業や他の研究機関と連携を図ることで、さらに多くの成果が生まれるものと期待致すところでございます。
まず初めに、本県と致しまして、平成24年度から、県内企業と慶應先端研との共同研究に対する助成事業を行っているところでありますが、平成27年度の取組み状況はどのようになっておられるか、また、国内外の他の研究機関との連携強化に向けた取り組みはどのようになっているか、商工労働観光部長にお伺い致します。
(2) 慶應先端研の成果の波及等について
次に、慶應先端研におきましては、研究開発のみに留まらず、ベンチャー企業の設立による研究成果の事業化や、地元の高校と連携した人材育成の取組みなど、様々な面で地域に効果を及ぼしているものと認識致しておりますが、平成27年度はどのような成果があったのか、商工労働観光部長にお伺い致します。
5 県立病院と県立大学との連携の成果について
(病院事業管理者)
県立病院における県立大学との連携の成果についてお伺い致します。
大学には学術研究、人材育成に加えて、教育研究の成果を社会に提供することが新たな役割として期待されているところであり、私くし平成26年9月定例会におきまして一般質問させて頂きました折に、米沢栄養大学の成果を地域社会に提供するための連携につきましてご提案させて頂きました。
そして翌平成27年度には、早速事業化がなされ、県立病院と県立米沢栄養大学との連携事業がスタート致しました。
県立米沢栄養大学は、管理栄養士を育成する大学として、県民の大きな期待の中、開学されました。県立病院が大学と連携事業に取り組むことは、学生の皆様の資質向上はもとより、県民の健康増進など広く社会に貢献するものと思いますが、事業の目標、初年度の成果について、病院管理者にお伺い致します。
同様に、県立保健医療大学と県立中央病院の連携事業も展開されておりますが、こうした取組みは、卒業生の県内定着にも繋がるものと期待されるところであります。
県立保健医療大学との連携事業につきましても、平成27年度の事業の目標、どのような成果が得られたのか、併せて病院事業管理者にお伺い致します。