平成29年度9月定例会◆石黒覚◆予算質疑

2017.9.29《9月定例会予算特別委員会》石黒覚質問要旨

1 広域水道について

(1) 広域水道料金の改定状況について(企業管理者)

まず初めに、広域水道料金の改定についてお伺い致します。
水は命の源、水道はまさに県民の生活に不可欠なライフラインの一つであることは、言うまでもありません。近年、人口減少によります、給水量(使用水量)の減少、あるいは水道施設などの老朽化、人材の不足等など厳しい経営環境にあると聞いております。
本県の市町村水道の料金は、全国的にも高い水準にあることは事実であり、水道の安定的供給を確保しながら、いかに料金を抑制するかが、大きな課題であるとの認識を致しております。
そこで、市町村水道の水源であります広域水道事業を実施している企業局にお伺い致すわけでありますが、そもそも広域水道は、市町村からの要望を受けて、企業局が整備し運営しているもので、県内35市町村のうち、約70%にあたる23市町に水道水を供給しています。現在の料金は、全国平均以下の安さとなっているものの、厳しい経営状況にある受水市町更なる料金の引き下げを求められているとの状況もあると伺っております。
今回、9月定例会におきまして、広域水道の料金について、10年に一度の見直しを行い、料金の改定案が提案されております。改定広域水道料金につきましては、一昨年の建設常任委員会あたりから、活発に議論がなされて参りましたが、受水市町の水道事業経営に大きな影響を与えるものと考えます。企業局では、今回の料金改定について、どのような考え方で、どのように見直しを行い、そして結果がどのように導かれたのか、企業管理者にお伺い致します。

(2) 経営基盤の強化に向けた取組みについて(企業管理者)

さて、そこで市町村水道におきましては、今後益々人口減少が進み、高齢化などにより一人暮らしの世帯が増加する中で、給水量はさらに減少していきますし、施設の老朽化対応などによる経費の増加や職員、中でも技術職員などの不足が、これまで以上に深刻な課題になっていくものと思われますし、市町村水道事業の経営は厳しさを増すばかりと考えます。新聞報道等によれば「将来的には、人口減少などにより水道料金が30年間において全国平均で1.6倍の値上げが必要になると試算されている」と報じています。本県におきましても大幅に料金が値上げされることになれば、県民にとりまして、極めて大きな負担になるものと心配致すところでございます。
一方、企業局の広域水道も市町村水道と同様の課題を抱えており、将来を展望した場合、厳しい経営環境となり、料金の更なる引き下げは困難であることは想像に難くないところでございます。
また、こうした状況におきまして、市町村水道と企業局(広域水道ということ)との連携や市町村水道に対する企業局の協力・支援が重要になってくるものと考えます。企業局は公営企業であり、企業会計の枠組みの中での対応になることは承知しながらも、企業局が有するマンパワーを活用しての支援や、受水市町との連携強化による、新たな水道事業の在り方などについて、研究していく取り組みが必要ではないかと考えます。
企業局として、市町村水道への支援や連携、将来に向けた取り組みをどのように進めていかれるのか、企業管理者にお伺い致します。

2 ふるさと納税について

総務省のホームページを見ますと、ふるさと納税は「地方で生まれ育ち都会に出てきた方のふるさとへの恩返ししたいと想いを、税制を通じて形にする」もので、三つの大きな意義が言われております。
一つ目は、納税者が寄付先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。それは、税に対する意識が高まり、納税の大切さを自分ごととしてとらえる貴重な機会になる。
二つ目は、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること。それは、人を育て、自然を守る、地方の環境を育む支援になる。 三つめは、自治体が国民に取り組みをアピールすることで、
ふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。それは、選んでもらうにふさわしい地域の在り方を改めて考えるきっかけへとつながる。
さらに、ふるさと納税を通じて、自治体は納税者の「志」に応えられる施策の向上を目指すようになり、納税者は地方行政への関心と参加意識を高めるようになる。いわば、自治体と納税者の両者が共に高めあう新しい関係を気づいてい
くことができる、とも謳われています。
こうした観点から平成20年度の税制改正により創設された、ふるさと納税制度は昨年度の寄付額が全国で対前年度に実績を伸ばし、それにより寄せられた資金は、子育てや教育まちづくりなどに活用され、地域の活性化に資すると共に、災害時における被災地支援としても役立てられているとされています。その一方で、ご案内のとおり、ふるさと納税の返礼品競争が激しくなり、自治体を応援する寄付という趣旨から逸脱している状況などが取りざたされ、今年4月に総務省から「ふるさと納税に係る返礼品の送付品の送付等について」という通知が出され、一時期様々な意見が出され、議論が交わされたところでございます。
現在は、状況もある程度落ち着いてきているようにも見えますが、一方で先日、全国的には平成29年度は1,767億円の住民税減収との報道もあり、制度の浸透に伴って、その長短や影響のある部分がみえてきたころかと思われます。
そこで改めてふるさと納税を再認識し、見つめなおす意味でお尋ねを致したいと思います。

(1) ふるさと納税の現状について(商工労働部長)

そこで、昨年度のふるさと納税の実績について、本県は市町村を含む県全体で、過去最高の受入額であり、北海道に次ぐ全国2位になるなど、実績を上げております。
また、県内の複数の市町村が全国でも有数の寄付額となっており、県内市町村それぞれにおいて、地域の活性化に結び付けようと各地の特産品を返礼品としてPRするなどの取組みが効果をあげているものと考えられ、納税いただくという点においては、本県の自治体はこの制度を上手く活用しているといえます。
一方で、ふるさと納税の仕組みとして、県内に住む住民がふるさと納税をすることによって、その自治体は本来住民が納税する住民税が控除され減収となります。
ともすれば、ふるさと納税の金額や返礼品だけが注目されがちですが、制度として、納税者の税に対する意識を高めることや、生まれ故郷やお世話になった地域等の力になれる制度といった、制度本来の趣旨に沿ってしっかりと活用していくためには、また、今後のふるさと納税の在り方を考えるには、この住民税が減収となることも含めて、しっかりと考えていかなければならないと思います。
まず、ふるさと納税受入による増収と住民が他の自治体に寄付することによる減収、このあたりの状況について、商工労働部長にお伺い致します。

(2) ふるさと納税の課題と対応について(商工労働部長)

はじめに申し上げましたとおり、ふるさと納税制度は、地方で生まれ育ち都会に出てきた方のふるさとへ恩返ししたい想いを、税制を通じて形にする制度であります。地方交付税による補填があるとは言っても、寄付額から住民税の控除額を差し引いた収支が初めてマイナスになったということは、制度本来の想定とは異なる方向に進んでいるとも考えられるのではないでしょうか。
なぜ、県の収支がマイナスになるのか、また、県としてそこにはどのような課題があると考えるのか、そしてその対応についてどう取り組まれるのか、商工労働部長にお伺い致します。

3 保健医療計画の改定について(健康福祉部長)

保健医療計画の改定についてお伺い致します。
ご承知のとおり、本県の保健医療計画は、医療法によって都道府県に策定が義務付けられている医療計画として、良質
かつ適切な医療を効率的に提供する体制を確保するためにの基本計画であるとともに、山形県総合発展計画の保健・医療に関する分野別計画として定めるものであります。また同時に、県内の市町村が県との協働のもとで保健医療行政の計画的な推進を図るための指針となるものでもあり、併せて、県民や保険、医療、福祉の関係団体が、県や市町村と協働して実施する活動を促進するための道しるべとなる、非常に重要な計画であると認識致します。
現行の「第6次山形県保健医療計画」は、第3次山形県総合発展計画の基本目標に基づき、「誰もが安心して活き活きと暮らせる県づくりに向けた保健・医療・福祉の充実強化」を基本理念として、平成25年3月に、平成29年度までの5ヶ年の計画として策定されました。
平成25年当時の本県保健医療を取り巻く状況を振り返ると、高齢化の一層の進行により医療や介護の需要が高い75歳以上の高齢者が急激に増加する中で、認知症などの精神疾患患者が増加するなど、保健医療を取り巻く環境が大きく変化しているとの認識が示されておりました。そのため、がん、脳卒中、小児医療など従来の4疾病5事業に、精神疾患について医療連携体制を構築する必要性を新たに加え、在宅医療、介護等の連携強化、医師、看護師等の確保対策などが、体系的に示されたものでありました。
そこで、今年度は計画の最終年度であり、計画期間はまだ半年を残しておりますが、「第6次山形県本県医療計画」の成果について、現時点においてどのように認識されておられるのか、そして、その成果や課題を踏まえ、主な施策についてお示しを頂きながら、次期第7次山形県保健医療計画が、どのような方向に向かうべきと考えておられるのか、健康福祉部長にお伺い致します。

4 津波災害警戒区域の指定について(危機管理・くらし安心局)

次に、津波災害警戒区域の指定についてお伺い致します。
平成23年3月11日に発生いたしました東日本大震災から、6年6か月が過ぎました。巨大地震と巨大津波による壊滅的な被災状況からは、一歩ずつ復興に向けて進んでいるものと思います。しかしながら、未だに避難生活を余儀なくされている多くの被災者がおりますことを、改めて認識をしなければならないものと考えます。
この間、地震、津波など多くの災害に対する防災対策が議論される中で、多くの法律が公布され、各都道府県、各市町村による、防災対策が具体的に示されて参りました。
今回はその中から、津波防災対策におきます津波災害警戒区域の指定について、本県の取組みの状況をお伺い致します。
平成23年12月14日「津波防災地域づくりに関する法律」が公布されて以来、県においては同年度内に、法律に基づかない暫定的な津波浸水予測図が作成され、平成24年度には、津波シミュレーションCG、パンフレットの作成・配布が行われました。同年、鶴岡市及び酒田市におきましては、津波ハザードマップの作成が行われました。また、県及び市町では津波警戒表示板の設置、津波避難路、避難誘導案内標識の設置などが進められました。更に平成26年度には、国から日本海側における統一的な津波断層モデルが公表され、平成27年度に県において、法律に基づく津波浸水想定の設定、公表が行われました。蛇足になりますが、この時の想定は、津波最高水位最大16.3m、高さ20cmの津波到達時間最短11分~1分未満、この時の議論に1分未満ということは、避難不能告知以外の何物でもないと申し上げた記憶があります。そして、平成28年度に県は、新たな津波シミュレーションCG、パンフレットの作成・配布を行い、市町は新たな津波ハザードマップの作成、見直しを行い、津波避難経路、避難誘導案内標識の設置を行いました。こうした中で、県の津波浸水想定図の色遣いと、市町のハザードマップの色遣いが全く違うことを指摘させて頂き、今後統一の必要性を訴えさせて頂いております。またこの間、津波避難訓練は各市町で毎年実施されておりました。更に県において平成28年度には、津波避難計画策定指針の策定が行われたものと認識を致しております。
このように、これまで津波防災対策について県では様々な取組みを進めてきたわけでございますが、これまでの取組みに加え、津波防災地域づくりに関する法律では、都道府県知事は「津波災害警戒区域」や「津波災害特別警戒区域」の指定することができるとされております。全国的にはこうした区域指定はまだまだ進んでいない中で、本県では区域指定の必要性や指定に向けた取組みについて、危機管理監にお伺い致します。

5 ごみゼロやまがたの実現に向けた取組みについて(環境エネルギー部長)

(1) 県民参加の促進に向けた取組みについて

本県では、平成24年3月、「県民協働で、低炭素社会に貢献するごみゼロやまがたの実現」を基本理念とする「第2次山形県循環型社会形成推進計画」を策定し、「全国一ごみの少ない県を目指して」と「リサイクル等の循環型産業を振興」という基本目標のもと、廃棄物の3R(リデュース、リユース、リサイクル)を実践する県民運動を展開し、関連産業の振興を図ってきました。
一方で、事業所などから排出される紙ごみなどの事業系一般廃棄物の増加、少子高齢化・人口減少に伴うごみ出し困難者や介護用品廃棄物の増加、大規模災害時における災害廃棄物処理体制の構築など、新たな課題への的確な対応が求められたことから、本県では「第2次山形県循環型社会形成推進計画」の平成23年から平成32年の中間年である平成27年度に中間見直しを行いました。
計画の基本理念にもある「県民協働によるごみゼロ山形の実現」を着実に進めるためには、やはり県民一人ひとりの参加意識をしっかりと作っていくことが大切だと思います。
そうすることで、地域社会における循環型社会の担い手として、自らのライフスタイルを見直したりごみを減らす取組みに参加することはもちろんのこと、不法投棄やポイ捨てを許さない意識が醸成され、本県の緑あふれる自然を将来の世代へ引き継ぐうえでも大切なことだと思います。
ポイ捨てごみなどきちんと処理されないごみが河川等を経由して海に流れ出した後、波や風の力で海岸に漂着するケースが多いと言われており、この海岸漂着物については、これまで」兼や沿岸市町、あるいはNPOや地域ボランティア団体が改修や清掃を行ってきていますが、県民参加の促進からすると、もっとNPOや地域ボランティア団体による清掃活動活発にしていくことが重要なことだと思います。
庄内海岸をきれいにするため、計画ではどのような目標を設定し、県ではどのような県民参加の取組みを行っているのか、環境エネルギー部長にお伺い致します。
一方、ゴミを減らす取組みに関して目を転じると、家庭からのごみ減量化についても県民一人ひとりの参加意識をしっかりと作ることが肝要であり、計画では、県民の取組みとして「ごみ処理有料化に強力し、適正なごみの排出に努める」と設定するとともに、市町村の取組みとして「ごみ処理有料化の導入を推進し、ゴミの減量化に効果的な料金設定を行う」
としています。ごみ処理有料化について、計画ではどのような目標設定をしているのか、また、県内市町村の取組み状況とその効果について、併せて環境エネルギー部長にお伺い致します。

(2) 県における率先的な取組みについて

「ごみゼロやまがたの実現」を推進する上で、まずは県民の模範となるべき取組みの展開が重要であることは、言うまでもない所でございます。その模範となるべき取組みの実践者は、まさに計画策定をして、県民の皆様にお示しをした県そのものであることは、今更申し上げるまでもないものと思います。
そこで、県が率先して模範的取組みを展開している様々な活動についての現状と課題についてお伺い致します。
例えば、今更の感はありますが、紙ベースの資料作成等の削減、リサイクルの状況など、計画樹立の取組みが新鮮な時期は、職場内全体が何となく盛り上がりを感じるのですが、時間の経過とともに、その思いが薄らいでしまいがちなのが、こうした日常における日々の取組みの難しさでもあると感じます。
例えば、県議会に初めて議席をお預かり致した当時は、何と大量の紙資料であろうかと驚きながら、同じ資料を何度も頂くことに違和感を覚えたものでありますし、机の上に資料を置いてもらうときに、封筒に入れて頂く必要があるのかと考えて、記入のない封筒はお返ししたこともありましたが、人間とは何とも弱いもので、時間が経過することで、それを当たり前の日常と思い込み、モラル低下に気づかない自分自身が、誠に情けない気が致します。
地球規模での資源を守るためには、ほんの些細な取組みの積み重ねでしかないのだろうと、今更ながら思うところでございます。最近県内の市町村議会等におきましても、紙ベースの資料から、タブレット端末などによる資料配布に取組むなどの先進的事例も出てきているようであります。私たち県議会においても、もっともっと「ごみゼロやまがたの実現」に強力に取組まなければならないことを自覚しつつ、まずは県におけるこうした取り組みの状況について、環境エネルギー部長にお伺い致します。

※ 吉村美栄子知事が「観光立県やまがた」を掲げ、インバウンドを含め本県観光振興におきまして「ごみゼロやまがたの実現」こそが、必要不可欠な取組みであろうと、私くしは考えるものであります。例えば、海外に行く機会には、必ず空港から高速道路などを経由して中心地や観光地に向かいます。その途中の道路や街のあちこちがゴミだらけ、落書きだらけという国があります。その国にもう一度行ってみたいかと聞かれて、行きたいと考えることはないと思います。この夏、酒田港には、初の外国船籍の外航クルーズ船が入港いたしました。お客様が最初に感じるのは、その港がゴミ一つなく、美しい港か否かということではないかと考えます。どんなに素晴らしい歌や踊りでお出迎えしようとも、ゴミのない美しい街の印象は、どこの国の方々でも同じではないかと思うのです。そうした意味で、これからの「ごみゼロやまがたの実現」には、観光振興という視点をしっかりと位置付けながら、全県民あげて「ごみゼロやまがたの実現」を早急に、強力に進める必要があろうと考えますので、大いに奮闘をご期待申し上げまして質疑を終わります。

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