2024年6月定例議会 7月5日最終日【発議13号山形県笑いで健康づくり推進条例に対する反対討論述べる】
ただ今議題となっております「発議第13号 山形県笑いで健康づくり推進条例の設定について」県政クラブを代表して反対の立場から討論申し上げます
私たちの健康増進に、効果が高いとされる日常活動は、多数存在することが近年、多くの調査や研究で明らかになってきていることは、承知致しております。当条例案で扱われております「笑い」もそうでありましょう。涙を流すことはストレスホルモンを体外に排出する効果があると言われます。かつて訪れた中国紹興市では早朝に小高い丘で「腹から大声を上げる」健康法を教えて頂いたことがあります。
いずれも、個々の判断によって、自らにふさわしい健康法を選び遂行することが、好ましく、その効果をさらに高めるものであろうと思うところであります。
この度の「発議第13号 山形県笑いで健康づくり推進条例の設定について」は、笑いに特化し、毎月8日を県民笑いで健康づくり推進の日に定め、県、事業者、県民にそれぞれ役割を課すものになっており、県民は1日1回笑うことに努めるとあります。
人は生まれながらにして笑うことが困難な障がいを抱えている方もいます。病気やケガによって、笑うことが困難になった方もいます。本県サクランボ農家の方々は今笑える状況にありますでしょうか。人はそれぞれが持つ困難に立ち向かいながら懸命に生きているものであります。
笑うことが健康に良いことを否定するものではありません。しかし、県民の最高規範である条例に定めることによって、笑うことが困難な方々の人権を損なうことがあってはならないと強く考えるところであります。他県の取組みについての提出者の説明には、北海道、福井県、大阪府いずれも条例ではなく、健康増進計画や県民の理解推進など、決して笑いを課すものではなく、活動、運動の方向を共有するものだと理解致します。
改めてもう一度申し上げます、笑うことが健康に良いことを否定するものではありません。しかし、県民の最高規範である条例に定めることによって、笑うことが困難な方々の人権を損なうことがあってはならないと強く考えるところであります。
よって、発議第13号山形県笑いで健康づくり推進条例案については、反対の意を強く示し、討論とさせて頂きます。
令和6年6月定例会 7月5日(金)本会議
討論者 県政クラブ 石黒 覚
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
令和6年7月9日
山形県条例第59号
山形県笑いで健康づくり推進条例
県民一人一人が心身ともに健康で充実した生活を送ることは、県民の幸福にとって基本となるものである。近年、少子高齢化の進行や疾病構造の変化等、県民の健康を取り巻く環境は変化しており、県民が明るく健康的に暮らしていくため、心身の健康づくりに取り組むことが求められている。
笑うことが健康に良いということは経験的に知られてきたところであるが、県民を対象とした研究によれば、声を出して笑う頻度が高い人は死亡のリスクが低いという結果も出ており、他にも笑いによる運動効果、心理的負担の軽減効果、他者とのつながりを豊かにする社会的な効果等が様々な研究において示されているところである。
このことから、県民一人一人が笑うことによる効果等に関心を持ち、理解を深めることで、健康の増進に生かすとともに、笑いが伝わり、笑いで人と人とがより良い関係を構築することが期待される。家庭や職場等で笑いによる心身の健康づくりを推進することにより、明るく健康的な県民生活の実現を目指して、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、笑いによる心身の健康づくりの推進に関し、県民笑いで健康づくり推進の日を設けるとともに、県、事業者及び県民の役割を明らかにすることにより、明るく健康的な県民生活の実現に寄与することを目的とする。
(県民笑いで健康づくり推進の日)
第2条 笑いによる心身の健康づくりについて、県民の関心と理解を深めるとともに、笑いによる心身の健康づくりへの取組が積極的に行われるようにするため、県民笑いで健康づくり推進の日を設ける。
2 県民笑いで健康づくり推進の日は、毎月8日とする。
(県の役割)
第3条 県は、この条例の目的を達成するため、健康、医療、福祉等に関する団体、笑いに満ちたまちづくりに取り組む者等と連携し、県民の笑いによる心身の健康づくりに関する意識の啓発に努めるものとする。
(事業者の役割)
第4条 事業者は、その業務の遂行に支障のない範囲内において、笑いに満ちた職場環境の整備等、従業員の笑いによる心身の健康づくりを推進するよう努めるものとする。
(県民の役割)
第5条 県民は、笑うことが健康にもたらす効果について理解を深めるとともに、1日1回は笑う等、笑いによる心身の健康づくりに取り組むよう努めるものとする。
(個人の意思の尊重等)
第6条 県、事業者及び県民は、この条例の実施に当たっては、個人の意思を尊重し、及びその置かれている状況に配慮するものとする。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。