県政クラブの石黒覚でございます。先日、新型コロナウイルス感染症発症以来、初めて「やまぎん県民ホール」にて、佐渡裕指揮、反田恭平ピアノ、新日本フィルハーモニー交響楽団50周年記念演奏会を聴くことができました。2時間、感動に震えながら、人が生きていく上でなくてはならないものの一つに、心震える芸術や文化、スポーツ、大好きな趣味や学びが欠かせないことを、改めて深く考えたところでございます。コロナ禍で疲弊しきった生活から、普通の生活ができるようになり、人の心の栄養が自由に取れる日が、一日も早く来るように人類の英知を結集しなければならないと、強く思った次第でございます。
戦争をすることなど、許されないし、そんなことをしている時ではないのです。世界中の子供たちが、笑顔で歌い、グランドを走り、学び、家族と平和に暮らすことができる社会を、そして山形県を創るために、大いなる英知の結集で、本県の未来を切り拓いていかなければならないことを、肝に銘じながら、質問に入りたいと存じます。
【質 問】
1 沖縄復帰50周年と本県戦没者慰霊等について
沖縄が返還されたのは、1972年、昭和47年5月15日、太平洋戦争終戦から27年目のことでございました。今年は沖縄復帰から50年目の年となります。
太平洋戦争最後の激戦地沖縄は、戦争など二度とあってはならないことを後世に伝えるには、あまりにも悲惨で、あまりにも多くの尊い命を犠牲にしたものと、改めまして全ての犠牲者に衷心より深く哀悼の誠を、そして戦後もその惨状を記憶に抱えながら生き続けてこられた方々に、ご心中をお察し申し上げる次第でございます。
さて、先般、地元紙の特集記事でも触れられておりましたが、沖縄県と本県とは、実に深くかかわってきたご縁がある訳でございます。明治14年に第2代沖縄県令につかれた、米沢藩最後の藩主上杉茂憲県令は、志ある若者を東京に送り県費で学ばせる制度を創設し、この教育施策は後の沖縄に大きな実を結び現在に至ると言われています。こうした茂憲の施策を背景に、ほぼ私と同年代の米沢市の金城利彦医師は、仙台で学び沖縄に貢献された後、縁あって本県の病院で診療にあたり、公立置賜総合病院副院長も務めた方でございます。
一方、米沢市出身の我が国を代表する建築家、伊東忠太東京帝国大学教授は、大正12年に決定した首里城取壊しの危機を回避するのに尽力されたと伝えられております。この時の伊東忠太氏と共同研究者であった鎌倉芳太郎氏の調査・研究の功績が、太平洋戦争で焼失した首里城の再建に繋がり、記憶に新しい2019年10月31日に再び焼失した首里城が再建される原動力となっていることは間違いないところでございます。
また、米沢出身の織物研究家、田中俊雄氏は昭和14年から沖縄織物の調査・研究を始め、氏が残された研究成果は、戦争を経てもなお沖縄織物が見事に現在に伝えられる原点になったと言われています。
さらには、7年前、我が国で安全保障のあり方について大きく揺れていた時に、自民党の若手国会議員が「マスコミを懲らしめるためには広告収入がなくなることが一番だ」と発言したことに対して、報道・言論の自由に対する冒涜だとして、2015年6月28日付朝刊1面に「言論封殺の暴挙 許すな」の見出しで、山形新聞寒河江浩二主筆・社長による緊急声明が掲載されました。琉球新報は、上杉茂憲県令による県費留学制度の1回生で、のちに社長になる太田朝敷が創刊に関わり現在に至る新聞社でありますが、2015年当時、琉球新報会長だった富田詢一氏は「沖縄の言論は山形に救われた」と、日本新聞協会役員退任の挨拶で山形新聞の緊急声明に触れられて、大いに勇気づけられたと謝意を示されたと聞いております。
戦後77年、沖縄復帰から50年経過した今もなお沖縄には戦争の影響が色濃く残っています。昨今、沖縄の地で遺骨が混じる土砂を採取し、埋め立て等に使用することに反対する請願等が全国的に議論され、本県議会でも継続審査になっている状況もございます。
先に述べました本県と沖縄との深いつながりの中で、さらに言及すれば、太平洋戦争末期、山形市の霞城公園を拠点としていた陸軍歩兵第32連隊・別名「霞城連隊」は、3千名のうち9割が戦死しておりますが、連隊の最後の地は、沖縄県糸満市でありました。その地には、1965年に本県が建立した「山形の塔」並びに残った戦友たちが建立した「鎮魂の碑」があり、私も5年半前に、手を合わせる機会がありました。世界平和を願う取組みでもある本県の戦没者慰霊については、戦争の惨状を繰り返すロシアの侵略行為を許してはならない今だからこそ、その歴史の重みとともに次の世代に受け継いでいくことが重要だと考えますが、吉村知事のご所見をお伺いいたしたいと存じます。
【知事答弁】
先の大戦では、国内外で多くの方が亡くなられました。本県出身者につきましても、3万8千余名もの方々が尊い命を失い、このうち、国内で唯一地上戦が繰り広げられた沖縄では約800名の方々が亡くなられております。
本県では、犠牲となられた戦没者の方々を追悼するとともに、戦争の悲惨さや平和の大切さを後世に継承するため、例年、春には山形県戦没者墓地「千歳山霊苑」拝礼式を、そして、秋には山形県戦没者追悼式、また、御質問でも触れられております沖縄慰霊碑「山形の塔」での慰霊祭を挙行しているところであります。
「山形の塔」は、沖縄及び海外諸地域で戦没された本県ゆかりの方々のご冥福をお祈りするとともに、自らの命に代えて祖国日本の平和の礎となられた戦没者の方々を永く後世に語り継ぐために建立されたものであります。沖縄の本土復帰以降、コロナ禍により昨年と一昨年は中止となりましたが、建立地であります糸満市など現地の皆様の多大なる御協力のもと、毎年慰霊祭を開催してまいりました。戦後70年にあたる平成27年には、私自身も現地に赴きまして、花を手向けて戦没者の方々を追悼するとともに、平和への思いを次の世代に継承することをお誓い申し上げてまいりました。
終戦から既に77年の時が過ぎようとしておりますが、たとえどれほど年月が経とうとも、我が国に計り知れない犠牲を生んだ悲惨な戦争の歴史があったこと、そして、今日の平和と繁栄が戦没者の方々の尊い犠牲の上に築かれていることを、決して忘れてはならないと考えております。
現在、既に3か月以上に及ぶロシアのウクライナ侵攻により、未来ある子供達を含め多くの尊い命が奪われております。愛する故郷を追われる人々の姿が連日のように報じられており、私も心を痛めているところであります。我が国では、先の大戦を身を以って体験された方々が次第に少なくなり、記憶の風化も懸念されるところですが、このような時代だからこそ、改めて私たちすべての県民が戦没者の方々の思いに心を寄せ、平和の尊さを深く認識することが大切だと考えております。
戦争の無い平和な世界を希求する声がかつてなく高まっている中で、これからの山形県、そして日本の未来を担う若い世代に平和への思いを継承していくため、将来にわたって戦没者慰霊の取組みを継続してまいりますとともに、県民の皆様がいつまでも平和で安心して暮らすことができる社会を守り続けていくために、これからも最善を尽くしてまいります。
【質 問】
2 新型コロナウイルス感染症対策のこれまでの取組みと今後の方向について
次に、新型コロナウイルス感染症のこれまでの取組みと今後の方向についてお伺いいたしたいと存じます。
約2年半前の2019年12月に中国武漢で発症したとされる新型コロナウイルス感染症は、人類と様々なウイルスによる感染症との長い闘いの歴史を振り返っても、極めて深刻な事態を引き起こし、世界中の国々で多くの犠牲者を数える状況でございます。6月6日現在、世界229ヵ国で発生し、感染者数は5億3千万人を超え、死亡者数は6百30万人を越えました。我が国におきましては、感染者数が8百94万人を超え、死亡者数は3万人を超えています。そして、本県におきましては、感染者数が28,908人となり、死亡者数が94人となっています。
こうした状況の中で、本県のこれまでの新型コロナウイルス感染症に対する対応は、私は総じて評価できるものであったと認識いたしております。個別の対応は申し上げませんが、吉村知事の県民の皆様方に対する発信力は、不安な日常へ少しでも安心感を届けてきたものと存じます。また、医療従事者を中心とする方々への感謝や支援体制の構築、療養施設確保への迅速な対応、さらには経済支援対策の機敏な対応など、日常生活や社会情勢の不安を少しでも取り除くことに最善策を講じてきたものと思います。
今定例会には、総額53億6千万円の補正予算のうち、コロナ禍における原油価格・物価高騰等への対応として、45億46百万円が提案されました。また、ウィズコロナでのチャーター便受入支援など、ウィズコロナ・ポストコロナへの対応として2億52百万円、医療機関等での資機材整備に対する助成など、新型コロナウイルス感染症への対応として5億32百万円が計上されています。
国におきましては、いよいよこの6月から海外からの旅行客の受け入れなど、ウィズコロナの政策展開に大きく舵を切る方向にあるようでございます。
吉村知事におかれましては、直近の記者会見等において、基本的感染防止対策をしっかり進めながら、経済回復へ向けた施策展開が急務との考えをお示しされたようでございます。
今回の補正予算案は、そうした考え方の上に立って提案されたものと受け止めておりますが、経済回復を目指す上でも、感染症対策をどうしていくかは非常に重要だと考えます。改めまして吉村知事の新型コロナウイルス感染症対策のこれまでの経過と今後の方向について、お伺いを申し上げたいと存じます。
【知事答弁】
県内で新型コロナウイルス感染症が初めて確認されてから2年2か月が過ぎました。この間、私は、県内の感染状況を見極め、県内経済の動向も踏まえながら、時機を逃さず、効果的に感染防止対策と経済対策を講じてきたところです。
特に感染が急拡大した局面では、県境を越える移動の自粛や営業時間短縮など、県民や事業者の皆様の日常生活や経済活動に一定の制約をお願いすることで、感染拡大の抑制に努めてまいりました。
県内第1波では県境検温、第2波では「県民泊まって元気キャンペーン」などの一時停止、従来株とアルファ株が拡大した第3波・第4波では、県独自の緊急事態宣言や市町村との合同要請を発出するとともに、デルタ株が拡大した第5波では、感染拡大防止特別集中期間を設定し、短期集中の感染防止対策を実施するなどの取組みを行ってまいりました。
また、オミクロン株が急拡大した第6波では、県内初となるまん延防止等重点措置を実施するとともに、措置終了後も、リバウンド防止特別対策やクラスター抑制重点対策に取り組んだところです。
このような取組みの結果、本県では、これまで、医療崩壊などの最悪の事態を招くことなく、全国的にも低い水準で感染拡大を抑制することができております。これもひとえに、県民の皆様や事業者の皆様の御協力、医療従事者の皆様の御尽力のおかげであり、改めて御礼を申し上げます。
今後の取組みの方向につきましては、現在の主流であるオミクロン株は、デルタ株に比べ感染性・伝播性は強いものの、入院・重症化リスクは低いとの科学的知見が得られております。県内でも同様の傾向であり、多い時には1日に100名から200名台、最近では二桁台の感染者が確認される一方で、病床使用率は低い水準で推移しており、直ちに医療提供体制がひっ迫するおそれは少ないものと捉えております。
このため、私は、クラスター抑制重点対策を終了した3月下旬から当面の間を、感染再拡大を最大限に警戒しつつ、可能な限り日常生活を取り戻す期間として位置づけております。今後も引き続き、しっかりと感染防止対策を講じながら、県内経済の早期回復に努めてまいりたいと考えております。
感染防止対策が経済対策の大前提となりますので、市町村や関係機関と連携し、対策の要となるワクチン接種の推進や、無料PCR等検査などによる陽性者の早期発見、基本的な感染防止対策や業種別ガイドライン遵守の徹底の呼びかけなど、第6波の収束に向けた取組みをしっかりと進めてまいります。
【質問】
3 コロナ禍における生活困窮者への支援について
次に、コロナ禍における生活困窮者への支援について、お伺いいたしたいと存じます。
新型コロナウイルス感染症が本県で初めて確認されたのは、2020年3月31日でございました。2年2ヵ月ほど経過する中で、後遺症に悩む方々の報道もございますが、コロナ禍における県民の方々の生活状況、特に、生活に困窮されている方々の現状をどのように把握され、どのような支援が行われておられるのか、改めましてお伺いをいたしておきたいと存じます。
私の所にも、時々、苦しい生活を訴えるメールなどが届いてまいります。コロナに起因するデータについては、中々集計が難しいものだと思いますが、例えば、私の住んでいる酒田市の状況を、社会福祉協議会にお尋ねをいたしましたところ「生活自立支援センターさかた」における新規相談者数実績の状況が、平成30年度208件、令和元年度218件、令和2年度490件、令和3年度249件、となっております。単純に判断できないものと思いますが、明らかに新型コロナが発症した令和2年度は相談が倍増している状況がございます。また、生活福祉資金緊急小口資金申請状況(特例含む)をみますと、平成30年度15件、令和元年度22件、令和2年度249件となっております。こうした状況の中、令和3年度から「新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金」の制度が始まり、酒田市では令和3年度中に、延べ383件の相談等に対応しております。
また、4月下旬、感染後の後遺症に悩まれている方々の実態調査を始められたとの報道がございました。取組みの姿勢を大いに評価いたすところですが、生活困窮者の方々の中にも、後遺症により職場に復帰できないなどの状況があるのではないでしょうか。コロナ禍が長期化する中、生活に困窮する方々の状況をどのように捉え、支援をされておられるのか、さらに今後どのような方向で支援していかなければならないとお考えか、健康福祉部長にお伺いいたします。
【健康福祉部長答弁】
新型コロナの発生以降、外出自粛や経済活動の停滞により、飲食業や宿泊・観光事業者をはじめ、幅広い業種の事業者が売上の減少等深刻な影響を受けたこともあり、失業や休業を余儀なくされたり、業務の縮小等で収入減となった方が増加しました。
県では、市町村や社会福祉協議会等と連携し、各地域における自立相談支援機関での相談等を通して、生活に困窮されている方の支援に努めてまいりました。県内の自立相談支援機関における新規相談件数は、令和2年度が約5,700件、令和3年度は約3,400件で、コロナ禍前である令和元年度の約2,400件と比較していずれも増加しており、県民生活へのコロナ禍の影響が大きいものであることがうかがえます。
また、生活に困窮されている方を支援するため、市町村等と連携し、生活福祉資金の特例貸付や新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金による支援等の取組みに加え、県独自の施策として、特例貸付を受けた世帯への県産米の提供等も実施してまいりました。なお、特例貸付は、令和4年4月末までの累計で約8,500件、約34億円の貸付を決定しており、自立支援金につきましては、3月末までに約6,500万円が支給済みとなっております。
また、新型コロナの影響に加え、今般、物価高騰等に対応した政府の総合緊急対策において生活困窮者支援策が示されたことを踏まえ、6月補正予算において、自立支援金の申請期限延長への対応に加え、独自に県産米の提供やフードバンク活動を支援するための経費を計上したところです。
県としましては、今後も市町村等と連携し、生活困窮者に対する緊急的な支援を継続するほか、今後償還時期を迎える特例貸付に関する猶予の取扱いを政府に対し提案するなど、実状に応じた支援に努めてまいります。
【質問】
4 本県エネルギー政策の進捗状況と目標達成に向けた取組みについて
次に、本県エネルギー政策の進捗状況と目標達成に向けた取組みについて、お伺いいたしたいと存じます。
吉村知事は2020年8月6日に開催されました全国知事会において「ゼロカーボンやまがた2050(ニーゼロゴーゼロ)」宣言をされております。
政府においては、2020年10月に「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする脱炭素社会を目指す」ことを宣言するとともに、2021年4月には、 2030年度の新たな温室効果ガス排出削減目標として 2013年度比で46%削減する方針を示し、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けていくという目標を掲げられました。
また、2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画において、再生可能エネルギーに関し、「主力電源として最優先の原則の下で最大限の導入に取り組む」と明記されております。今般のロシアによるウクライナ侵略のような事態も踏まえますと、エネルギー安全保障の確保の観点からも再生可能エネルギーの活用は極めて重要であることは、申し上げるまでもないところでございます。
本県では、東日本大震災による福島第一原発事故を踏まえ吉村美栄子知事が、当時滋賀県知事でございました嘉田由紀子知事とともに「卒原発社会」の実現を目指すこととし、平成24年に「山形県エネルギー戦略」を策定し、2030年度までの再生可能エネルギーの開発目標を約100万kWと掲げ、これまで順調に推移していると認識いたしております。
一方で、電源や熱源の種別ごとの進捗には、ばらつきが見られることも事実ではないかと考えます。
特に庄内地域では、洋上風力発電導入の検討が進められており、昨年9月には遊佐町沖が「有望な区域」に選定され、今年1月には政府が主催する法定協議会が設置されたところでございます。再生可能エネルギーの賦存量をみると、地域によるばらつきもさることながら、太陽光、風力、地熱などの種別間のばらつきもあり、一律に開発・導入を進めるのは難しい面もあるため、各地域のポテンシャルを活かしながら取組みを進めていく必要があるものと思われます。
本県エネルギー戦略に掲げる開発目標について、最新の進捗状況と、目標達成に向けた取組みについて、環境エネルギー部長にお伺いいたしたいと存じます。
【環境エネルギー部長答弁】
本県では東日本大震災を契機として、平成24年3月に全国に先駆け「山形県エネルギー戦略」を策定し、20年後の令和12年度までに本県の目指すべき姿の一つに「再生可能エネルギーの供給基地化」を掲げ、再エネ資源を活用した新たな電源の開発を積極的に進めてまいりました。この結果、令和12年度末までの再エネの開発目標101.5万kWに対する令和2年度末の導入実績は、58万kW、目標の57.1%となり、また、令和3年度末については現在公表に向けた精査を行っておりますけれども、目標の約65%程度まで進捗する見込みとなっており、全体としては概ね順調に推移しているものと認識しております。
県内の豊富な森林資源を活用したバイオマス発電や庄内地域の良好な風況を活用した風力発電など、これまで地域ごとの特性を活かして導入を進めてきておりますが、エネルギー種別毎に見ると、太陽光やバイオマス発電が順調である一方、風力や地熱発電は低調で、種別毎のバランスの取れた導入促進が課題となっております。
このため、開発目標達成に向けては、今後、大規模な導入が期待できる洋上風力発電をはじめとした大規模事業の県内展開に加え、既存の温泉資源に配慮した技術を活用する地熱発電、陸上風力や中小水力発電など、県内各地に豊かに賦存する多様な再生エネルギーを最大限に活かした取組みを更に促進してまいります。
また、最近の資源・エネルギー価格高騰の影響など、エネルギーを取り巻く環境が大きく変化する中で再エネへの期待がより一層高まっております。このため、こうした情勢の変化や開発目標の進捗状況、更には、カーボンニュートラル時代を見据え新たな資源として位置付けられている水素の社会実装や、蓄電池やEV等の分散型エネルギー資源の有効活用などを念頭に、来年度予定している「後期エネルギー政策推進プログラム」の見直しに適切に反映させて、再エネ導入拡大に向けてしっかりと取組みを進めてまいります。
【質問】
5 持続可能な地域医療体制を確保するための地域医療構想の推進について
次に、持続可能な地域医療体制を確保するための地域医療構想の推進についてお伺いいたしたいと存じます。
地域医療構想については、医療機関を中心に新型コロナの感染症への対応に全力を注いでいるため、実質的な議論が停滞している状況となっていましたが、令和4年3月に厚生労働省からコロナ禍においても構想の実現に向けた取組みを進めるよう通知されたところでございます。
同時に、総務省からも公立病院経営強化の推進について通知され、「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」が示されました。
当ガイドラインを解説している記事によりますと、公立病院経営強化の必要性について、最大のポイントは、従前のガイドラインが「赤字解消」を主目的とする消極的な内容であったのに対し、「経営力強化」「機能強化」を目指す積極的な内容であるとされております。これまでも、公立病院は再編・ネットワーク化、経営形態の見直しなどに取り組んできましたが、医師・看護師等の不足、人口減少・少子高齢化に伴う医療需要の変化により、依然として、持続可能な経営を確保しきれない病院も多いとされています。また、コロナ対応に公立病院が中核的な役割を果たし、感染症拡大時における公立病院の果たす役割の重要性が強調されているようであります。
そして、このガイドラインに沿った地方公共団体における公立病院経営強化プランは、令和4年度又は令和5年度中に策定し、期間を策定年度又はその次年度から令和9年度を標準とするとあります。「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となり、医療需要が大きく変化する2025年問題が深刻に受けとめられ平成26年に「医療介護総合確保推進法」が成立しましたが、その目指すべき2025年まであと3年という現在、我が国における持続可能な地域医療提供体制の確保は、待ったなしの状況でございます。
「公立病院経営強化プランに求められる内容」は、①役割・機能の最適化と連携の強化 ②医師・看護師等の確保と働き方改革 ③経営形態の見直し ④新興感染症の感染拡大時に備えた平時からの取組み ⑤施設・設備の最適化 ⑥経営の効率化 とあります。
さらには、「都道府県の役割・責任の強化」では、都道府県が、市町村のプラン策定や公立病院の施設の新設・建替等にあたり、地域医療構想との整合性等について積極的に助言とあり、医療資源が比較的充実した都道府県病院等が、中小規模の公立病院等との連携・支援を強化していくことが重要としております。
県は、置賜広域病院企業団や地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構の構成団体の一員であり、加えて病院等への指導助言を担うという重大な役割を果たしていかなければなりません。同時に、県立病院の「資金不足等解消計画」に基づく経営改善も進めなければなりません。
こうした状況の中で、「公立病院経営強化プラン」の策定にあたりましては、まず重要になるのは進行中の「第7次山形県保健医療計画」や「山形県地域医療構想」等、県の各種の計画、施策と整合性を図りながら、特に山形県地域医療構想についてこれまでの取組みに対する評価を、まずしっかりすることが重要と考えます。また、県内4地域に設置されている地域医療構想調整会議等においては、現場の実態や声をより一層反映させることが必要であり、日本海総合病院を核とした地域医療連携推進法人日本海ヘルスケアネットの先駆的取組みが、政府や都道府県の医療関係者から注目されていることも参考にしながら、地域医療構想の実現に向けた取組みを進めていく必要があると考えます。今後の地域医療構想の推進に向けた考え方について、健康福祉部長にお伺いいたしたいと存じます。
【健康福祉部長答弁】
県では4つの二次医療圏ごとに地域医療構想調整会議を設置し、関係者の皆様と協議しながら、地域医療構想に示した目指すべき医療提供体制の実現に向けた取組みを進めております。
これにより、病床機能ごとの病床数につきましては、構想策定時である平成28年9月と令和3年12月時点を比較すると、回復期病床への転換等により急性期病床は829床減少した一方で、回復期は603床増加するなど、一定の成果が上がっているものと認識しております。
一方、今般、総務省から新たに示された公立病院経営強化ガイドラインにおいては、病院同士の再編・統合を中心とする従来の考え方から、病院間の役割分担や医師派遣等による連携強化を重視する考え方への見直しも示されているところです。
これらの動きを踏まえ、今後は、各地域の基幹病院に急性期機能を集約し、それ以外の病院等は回復期機能を中心に担うなど、その役割分担を明確化するとともに、基幹病院からの医師や看護師等の派遣など、日本海ヘルスケアネットの取組事例のような、医療資源を有効活用し地域全体で連携する医療提供体制の構築について、地域医療構想調整会議等で協議していく必要があると考えております。加えて、この医療提供体制を実現するためには、今後、病院を設置する地方公共団体が策定する「公立病院経営強化プラン」と地域医療構想との整合性の確保が大変重要となります。県としましては、各病院の経営強化プランが、地域で果たすべき役割や機能を適切に評価・認識し、地域医療構想に沿ったものとなっているかといった観点から、地域医療構想調整会議等において積極的に助言を行いながら、協議を進めてまいりたいと考えております。
持続可能な医療提供体制の確保に向けて、今後も地域医療構想の進捗状況や課題などに関する情報共有に努め、各地域での積極的な議論を促しながら、地域と一体となって取り組んでまいります。
【質問】
6 水道事業について
(1) 「水道広域化推進プラン」策定の進捗状況と見通しについて
次に、水道事業についてお伺いいたしたいと存じます。
まず1点目は、水道広域化推進プラン策定の進捗状況と見通しについてでございます。
私も、これまで何度となくお尋ねを申し上げて参りましたが、中々難しい課題が多くあり、大変ご苦労をされているものと推察いたします。
本県では、2018年3月に策定されました『山形県水道ビジョン』におきまして、「人口減少等の課題に対応しながら、県民への安全で安心な水を安定的に届け続ける山形の水道」と示されているように、命の源であります「水」を供給する事業者として、県民皆様方からご負担を頂く「水道料金」をできるだけ低価格でお届けすることも極めて重要な使命であると考えます。
2018年には、この年の通常国会で「人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の直面する課題に対応し、水道の基盤の強化を図るため、責務の明確化として、都道府県は水道事業者又は水道用水供給事業者の間の広域的な連携を推進するように努める」とした水道法の改正がなされました。
総務省が公表しました、令和3年11月30日時点での各都道府県における「水道広域化推進プラン」の策定取組状況をまとめた資料によりますと、既に策定済みの5団体を除く42団体のうち、進捗を示す3つの指標、即ち、「A現状把握」、「B将来見通し」、「C広域化シミュレーション」の全てが完了しているのは3県だけとなっており、本県はそのうちの1県になっております。関係各部署のご努力に敬意を申し上げる次第でございます。
「水道広域化推進プラン」については、平成31年1月に、総務省並びに厚生労働省から、当時は平成34年度末まで、元号が変わりましたので本年度、令和4年度中に策定するようにとの通知がなされたと記憶いたしております。まさに佳境に入っているものと存じます。「水道広域化推進プラン」には水平・垂直統合等を含む、ブロックごとの工程並びに時期などについても記載されていくものと思いますが、現在の検討状況や進捗について、防災くらし安心部長にお伺いいたしたいと存じます。
【防災くらし安心部長答弁】
本県の水道事業は、経営基盤が脆弱な小規模事業者が多いことに加え、今後の人口や水需要の減少等により水道事業の経営が一段と厳しくなることが予想されております。
こうした課題は全国でも共通であり、政府では、経営統合や施設の共同設置、事務の広域的処理等の多様な広域化を推進するため、都道府県を「広域連携の推進役」と位置づけ、令和4年度までに「水道広域化推進プラン」の策定を要請しているところであります。
「水道広域化推進プラン」には、①水道事業者ごとの経営環境と経営状況に係る現状と将来の見通し、②広域化のパターンごとに将来見通しのシミュレーションと広域化の効果、③今後の広域化に係る推進方針等を記載することとなっており、本県では、県、市町村等の水道事業者、並びに水道用水供給事業者である県企業局で構成する「山形県水道事業広域連携検討会」を県内4地域で立ち上げ、検討を行っております。
検討会では、経営環境等の将来の見通しとして、急激な人口減少や水需要の減少に伴う料金収入の減少、水道施設の更新費用の増大、水道職員数の減少等を推計・想定し、課題解決のため県内4地域ごとに、広域連携シミュレーションを実施しています。
その結果、施設の共同利用、資機材の共同購入、広域化による一体的な経営など、それぞれの地域での有効な広域連携の姿や課題が見えてきており、現在、こうした結果についてさらに精緻化を図っているところであります。また、費用削減効果だけでなく、費用に現れない安全性、災害対応、人材育成と技術継承等、多角的な観点から比較検証を行っているところであります。
県といたしましては、県内4地域の検討会でこうした議論をしっかりと行い、今年度中に「水道広域化推進プラン」を策定したいと考えております。
(2) 酒田工業用水道の塩水遡上対策の現状と今後の対応について企業管理者
2点目は、酒田工業用水道の塩水遡上対策の現状と今後の対応について、お伺いいたしたいと存じます。
さる4月中旬に、酒田にあります企業の前社長様とお会いして、様々なお話をお聞きする機会がございました。
1985年に設立された当企業は、現在2000名を超える社員を有する、本県では数少ない大企業の一つでございます。
酒田工業用水道の大口受水企業でもあり、酒田工業用水道を利用いただく30社の企業のうち、半導体を扱う当企業様と苛性ソーダをはじめとする基礎科学製品を製造する企業様の2社で概ね過半の利用をいただいていると聞いております。この2社においては、製品を製造する際に使用する工業用水道に塩分が混じることがあると、生産に影響が生ずるともお聞きしております。しかしながら、近年の気候変動や河川の土砂堆積などの影響で、酒田工業用水道の最上川取水口において、2018年、塩水が遡上し、工業用水の塩分濃度が上昇したことにより、大口受水企業では操業を停止した例もみられたところであります。先ほど申し上げました企業の前社長様との面談では、塩水遡上の緊急対応策の一つとして、上水道でバックアップすることも可能ではないかとのご指摘を頂きました。
上水道を利用するとなれば、地元の水道事業者である酒田市にも対応が求められてまいります。塩水遡上に伴う企業活動への影響を最小化していくためには、ご指摘の対応策のように多角的な視点から、関係する様々な機関と連携した対応が重要になるものと考えます。
そこで、県企業局は、これまで酒田工業用水道における塩水遡上に対する対策としてどのように対応してこられたのか、そして今後どのように対策を講じていかれようとしているのか、企業管理者にお伺いいたしたいと存じます。
【企業管理者答弁】
酒田工業用水道は、昭和37年に市内大浜地区で給水を開始し、現在は酒田市と遊佐町の29事業所に用水を供給しております。
この工業用水の原水は最上川の河口から8.3キロ上流の地点で取水していますが、これまで平成27年と平成30年の2回、取水口までの塩水遡上が確認されております。気候変動に伴う河川流量の減少や河川環境の変化などが原因と考えられますが、塩水が工業用水に入り込むと、電気の通し易さを示す導電率が急激に上昇し、企業によっては操業に支障が生じます。
このため、河川流量が減少する時期には、取水口から下流域にかけて塩水遡上状況のモニタリングを1日2回実施し、受水企業に適時情報提供するとともに、取水口までの塩水遡上が予想される場合は、応急対策として取水口の800m上流に取水ポンプを仮設し、受水企業に影響が及ばないよう可能な限りの対応を講じております。
しかしながら、毎年のように塩水遡上が発生しており、年によっては仮設の取水地点まで遡上することもあり、恒久的な対策が必要になっております。これまで「灌漑排水を利用する案」や「取水口を上流に移設する案」などを検討し、こうした対策の内容について、受水企業に対し定期的なユーザー会議で説明し、意見の聴取などに努めております。しかし、使途や使用水量の違いなどから、受水企業の水質に対するニーズが一様でないことや、多額の工事費に伴う費用負担の考え方も様々なうえ、水利権の調整が現状では困難なことから、いずれも実施が難しい状況にあります。
工業用水の安定供給は立地環境に係わる重要なインフラ条件であるとの認識のもと、当面はモニタリングの精度を上げながら、企業活動に影響を及ぼさないよう応急対策に万全を期してまいります。併せて、水利権の調整や河川環境の改善に向けて河川管理者との協議を引き続き進めるとともに、受水企業の理解が得られるよう、有効性と経済性が両立する新たな恒久対策についても検討を進めてまいります。
【質問】
7 誘致企業に対するフォローアップについて
次に、誘致企業に対するフォローアップについてお伺いいたしたいと存じます。
地元庄内の誘致企業の経営者と意見交換した際に、企業として抱える課題についてもお聞きすることができました。その中で、いくつか気になる点がございましたので、お伺いいたすものでございます。
大企業、中小企業問わず、世界経済状況の変化、そしてコロナがもたらした変化が、企業経営に大きな影響を及ぼしたことは言うまでもありませんが、その経営者の企業が誘致を働きかけられた当時は、好条件で行政からの誘致があったそうです。しかし、操業以来の経過・社会情勢の変化の中で、様々な課題が発生したり、近年では人口減少も相まって「人」が集まらないという課題があるそうです。100人規模で雇用したい計画があるにも関わらず、庄内地域において雇用確保が極めて厳しい状況だということでございました。他県においては、企業が行政の支援を受けて事業や雇用を拡大するなど積極的な投資を進めている例があるようでございます。都道府県や市町村の企業支援にどのような違いがあるのか、私には中々実態を把握することは、困難なところであります。
山形県においても、例えば、大企業、中小企業に関わらず、的確な企業振興策を進めるためには、県内企業の状況調査はもちろん行われていると認識いたしますし、様々な企業との協議の場や意見交換の場などは数えきれないほどあるものと思いますが、企業が抱える課題や必要な支援等は様々であり、時の経済情勢によっても変わってくるものと考えます。県では、40年、50年前の高度成長期に誘致された企業が立地後、どのような課題を抱えているかなど、細やかな把握はどのような形で行われているのでしょうか。
近年は、新規起業や創業等のスタート支援に重点が置かれているように感じますが、これまでに誘致された企業の状況把握や支援等はどのようになっておられるのか、今後の雇用確保策も含め、産業労働部長にお伺いいたしておきたいと存じます。
【産業労働部長答弁】
誘致企業は、県が本県産業の発展・成長を目指すうえで是非とも必要な企業と判断し、様々な支援を提案しながら、幾度となく交渉した結果、山形県を信頼して進出を決断した企業であり、その信頼・決断に対しては、県としてもしっかりと応えていく必要があると考えております。
誘致企業が本県に進出し、事業活動を展開していく中では、事業の拡大、雇用の確保といった様々な課題に関連して、県に対する提案・要望等も生じてまいります。このような誘致企業の実情に対応するため、県と誘致企業等で組織する 「山形県新企業懇話会」を設置しており、これまでも緊密に意見交換を行いながら、誘致企業の課題や要望等に最大限応えられるよう、関係機関とも連携・協力しながら親身に対応しているところです。加えて、企業誘致の担当職員が誘致企業に直接出向いて、随時、要望や意見等を伺っているほか、県外事務所と連携して、誘致企業の本社を訪問して意見交換を行うなど、きめ細かなフォローアップを行っております。
誘致企業に対する支援につきましては、県の様々な産業振興に係る支援制度を活用いただくとともに、増設等の新たな投資を行う場合には、一定の要件のもと企業立地促進補助金の対象としております。また、雇用の確保についても、県が行う雇用確保対策に加え、新企業懇話会の事業として、県内大学等との交流会や高等学校の就職担当者を対象にした企業見学会を開催しており、今後とも雇用確保が図られるよう企業の意見や要望等もお聞きしながら、必要な事業を行ってまいります。
企業誘致の基本は、相手企業との顔の見える関係づくりであります。誘致後も互いに顔の見える良好な関係をしっかりと築き、本県への進出を決断して本当に良かったと思っていただけるよう、誘致企業と山形県の相互の発展に向けて全力で取り組んでまいります。
【質問】
8 建設資材価格の高騰による公共事業等への影響と円滑な執行に向けた対応について
最後に、ウクライナ情勢を巡るロシアへの経済制裁などにより原油やガスといったエネルギー価格の高騰だけでなく、食品全般や飼料、建設資材など業界を問わず多種多様な分野で影響が広がっています。このような影響が広がることにより、コロナ禍からの経済社会活動の回復の足取りが大きく阻害されかねない中で、政府においても「コロナ禍における『原油価格・物価高騰等総合緊急対策』」を決定するなど、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとするべく、今後は、実行の段階に移っていくものと思われます。
一方で、建設資材価格の高騰により、本県公共工事への影響が大いにあるのではないかと懸念しております。具体的には、道路や橋梁の整備・老朽化対策・予防保全工事など様々な社会資本の整備、機能維持に関する工事が、今回の価格の高騰と新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う物流の停滞により、事業の進捗、効果の発現にも多大な影響を及ぼす、あるいは、既に影響を及ぼしているのではないかという懸念でございます。
社会資本の整備は、我が県の発展になくてはならないものであり、老朽化対策などの機能維持も、県民の安全安心な暮らしに欠かせないものであります。今回の建設資材の価格高騰は、建設業界や公共事業にどのような影響をもたらしているのか、また、現在予定している公共事業を円滑に執行していくために、どのような対応策を講じているのか、県土整備部長にお伺いいたしまして代表質問とさせて頂きます。ありがとうございました。
【県土整備部長答弁】
建設資材価格については、今年4月の資材価格を昨年同月と比較しますと、燃油や鋼材類が概ね2割から3割の上昇となっております。事業者からは、今後の価格動向や一部資材の納期遅延などについて、不安や懸念の声をお聞きしているところです。
建設資材価格の高騰は、公共工事受注者の持続的な経営に影響を与えるとともに、県民の暮らしや産業を支える社会資本整備の遅れに繋がることも危惧されます。
このような状況に対応するため、県では、主に三つの観点から建設資材価格高騰への対応策を講じているところであります。
一つ目は、実勢価格を反映した、きめ細やかな設計単価の設定であります。設計単価は、通常、年4回、その時々の実勢価格を反映した単価に改定しておりますが、今般のような急激な建設資材価格の変動が確認される場合には、臨時の設計単価改定を行い、直近の価格動向を反映してまいります。
二つ目は、工事受注後の建設資材高騰に対する変更契約の対応です。公共工事の契約約款では、急激な価格変動等に伴い請負代金が不適当となった場合の変更の規定、いわゆるスライド条項を定めております。この条項に基づき、適切に変更契約を行ってまいります。
今月1日からは、各総合支庁へ県土整備部所管工事に関する「スライド相談窓口」を設置し、受注者からの相談に応じる体制を整えております。これらの取組みを建設関連団体や市町村などに広く周知し、円滑なスライド条項の適用に繋げてまいります。
三つ目は、柔軟な工期の運用です。工事期間中の資材の納期遅延等、受注者の責によらない工期不足の発生が予測される場合は、適切に工期を延長してまいります。
これらの取組みにより、安心して受注できる環境を整え、本県の発展を支える社会資本の着実な整備を推進してまいります。